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神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
第三章 迷宮編

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39話 太陽神

お待たせしました(*´▽`*)

 ああ・・・熱い・・・


 体から灼熱の炎が轟轟と燃え盛る。

 その熱に耐えられず地面がマグマのように溶け出す。


・・・やはり環境の事を考えれば戦神(マルス)が一番だな。最も周囲と自分への被害が少ない。


「はぁ」


 思わず溜息が漏れる。

 それは服部さんに対してである。

 彼女は部隊の生還率を上げる為に俺をスカウトしたはずなのに、当の本人は俺に下がれと言い一人で戦っている。


 馬鹿か、と。


 それでは本末転倒だろう。俺のいる意味がなくなってしまうではないか。

 俺の能力を身体強化だと思っているにしても他に方法は幾らでもあるはずなのに。


「何ダコノ忌々シイ炎ハ?!」


 怪物が驚愕の声を上げる。


 ・・・そうだな、今は戦闘中だった。

 服部さんへの苦言は後回しだ。まずは目の前の敵をさっさと駆除するか。


「確か、俺達はお前との相性が悪いと言っていたな。その言葉、そのまま返してやろう。

 ――俺はお前にとっての死神だ」





 隼人と敵との相性を考えるならば、全てにおいて隼人はやつらの天敵だと言えるだろう。


 隼人の能力は己の存在を操作するというものだ。

 今までの戦闘では戦神(マルス)に存在を近づけていた訳だが、


 何もその対象を戦神に()()()()()()()()()


 あらゆる存在に己を昇華させる力。

 それが隼人の能力、【超越者(トランセンダー)】の真価である。


「戯言ヲッ!」



 怪物は激昂したように攻撃を繰り返すが、その一切が隼人に届かない。

 六千度にまで高まった隼人の体表が全てを燃やし尽くしているのだ。


「炎よ」


 隼人の命じるままに炎が揺らめき服部を包み込むように彼女を守護する。

 無論、それは怪物からではなく隼人の攻撃からである。


 隼人の体から発する熱量では意図せずとも周囲の生物を焼き殺してしまうのだ。


「舐メルナヨ小僧ォオオオ!」


 怪物が赤黒く変色していく。

 それは怪物の切り札であった。この状態は全ての攻撃に対して圧倒的な耐性を誇り、例え自分にとって弱点である炎を受けたとしてもほぼ完全に凌ぎきる事が出来る。


 槍、大剣、槌、ランスと様々な武器に形を変え、隼人目掛けて躍りかかる。それらは全てが桁違いな威力を誇る一撃だ。


 それに対し、その尋常ではない速さのせいか。それとも己の炎を過信しているのか。隼人は動こうとしない。


 怪物は笑みを浮かべ、「殺ッタ!」と確信した。

 最早隼人に回避する時間はない。

 数秒後には怪物の攻撃を受け、その臓物を撒き散らす。

 その例外は存在しない。


――はずであった。


炎纏(えんてん)


 それは決して規模の大きい攻撃ではなかった。

 いや、そもそもそれは攻撃ですらなかった。

 青白い炎が隼人を包む。それはどこか神秘的で現実ではない朧げなものだった。


 そして怪物の想定通りに隼人は無数の攻撃をその身に受ける。


 そのまま怪物の攻撃は隼人の体を突き抜け――る事はなく()()()()()()

 おかしな光景だった。隼人を貫いていないはずなのに直進し続けるのだ。それはまるで炎が攻撃を呑んでいるかのような光景だった。


 流石にその異変に気付いた怪物は一旦攻撃の手を止め、己の腕を見やる。


「何ダ・・・コレハ・・・」


 融けていた。

 圧倒的な耐性を誇るはずの、目の前の小僧を殺すと確信したはずのそれが。

 怪物は、その事実が信じられないのか呆けたように己の腕を見つめる。


 何故、どうしたらこんな結果になると言うのか。

 答えは簡単、絶対の耐性ではなかったからだ。

 山が消し飛ぶ程度の攻撃であれば耐えられただろう。海が割れる程の攻撃でも耐えられたかもしれない。


 しかし、今の隼人はその領域を超えていた。


 炎纏、その熱量はおよそ一千万ケルビン。怪物の攻撃はこれに衝突したそばから融けるだけに留まらず蒸発していく。それによってまるで炎に呑まれているかのように見えたのだ。本来であればその熱量に耐えられず全ての物質が電離した気体、つまりプラズマとになる訳だが、隼人が空間全体の熱を操り己の周囲に留めているため未だ空間は崩壊していない。


 このあまりの熱量によって地球上ではほぼ使用できない技の一つだが、今回は幸い、怪物にとっては不幸極まりない事にこの空間は地球上に存在しない為、周りの被害を気にせずに使用する事が出来た。


「お前、一瞬勝ったと思っただろ?

 紛い物とは言え、神を前にして。太陽神を前にして。

 何とも愚か、滑稽過ぎて笑うに笑えん」


 地の底から響くような声だ。

 それに含まれるのは怒り。隼人であり、()()()()()()()()()だ。


 存在を近づけるとは、同時にその対象の心理にも近づく。

 今隼人の心は隼人自身の思いと、己の存在を軽んじられたと怒り狂うもう一人、いや、もう一柱の心情が混在していた。


 これが隼人が能力を多用したくない理由の一つであり、使い続ければどうなるかは隼人自身にすら不確かなものだった。


 隼人は早急に決着を着けるべく炎に命令を下す。


「踊れ、狂乱(きょうらん)道化(どうけ)


 隼人の命令を受けた炎がピエロの姿を形どる。

 それはサーカスなどで見る長袖の寛衣を着て滑稽な動きをする道化役と何ら変わらない。


 ピエロが数体作られたところでそれらは一様に踊りながら森に飛んでいく。


 そして森の中に降り立つと、各々(おのおの)が自由に踊り出した。

 跳んだり、跳ねたりする喜劇の道化はその体を揺らめかせ森を駆けまわる。


「ヌッ?!」


 一瞬遅れ、現実に意識を戻した怪物がその不気味なピエロを潰そうと襲い掛かる。

 先程の理解の及ばない現象は一度棚において。

 そんな事はありえないと。何かの間違いであると。

 そうでなければ、目の前の存在に何も通用しない事になるからだ。それは事実上の敗北と何ら変わらなかった。それも、ただの敗北ではない。何も抵抗できずに蹂躙されるという悲惨なものだ。


「消エロォオオオ!」


 怪物は一心不乱にピエロに攻撃する。


 しかし、ピエロは踊りながら避け続け、その姿はまるで舞踏会でのワルツのようであった。


 そして終幕。


 ピエロが一礼する。


 ドガァアアン!!!


 と同時にその体が爆発した。

 ピエロを中心とした三百メートル圏内の空間全てが吹き飛ぶ。それが複数回。


 ピシッ、と二つ目の核が割れる音がする。

 とはいえ未だ怪物が倒れる様子はない。


「しぶといな・・・」


 隼人は思う。もう核とかどうでも良くね?と。


 正直、狂乱の道化だけで全てに片が付くと思っていたが、未だ健在の怪物にいい加減面倒くさいと感じ始めていた。


(リスクはあるが早急に終わらせる方がいいな。)


 出来るだけ長時間の能力使用は避けたい為、隼人は短期決戦を選択する。


「位階上昇――滅亡の時だ、太陽神(ラー)


 隼人の炎が一際強く煌めき、その背後には後光のように六つの手が現れ浮遊する。


「貴様ハ、一体・・・」


 怪物が畏怖の声を漏らす。

 目の前の存在はどう見ても人間のそれではない。そう、例えるなら・・・『神』と言い表す以上の言葉はなかった。


 隼人が左腕を前に突き出すと後ろの腕もそれに倣う。

 続いて、その手には漆黒の奈落の底を思わせるような炎が生まれた。


(お前は人間を理不尽に殺してきたんだろ? ならば俺も同じように殺してやるさ)


 その瞳に殺意を込め、この戦いの終止符を打つ。


終焉(しゅうえん)(ほむら)


 漆黒の炎が放たれた。

 それは森を次々に呑み込んでいき瞬く間に無へと(いざな)っていく。炎が通り過ぎた後には何も残らない。


「グワァアアア!!!」


 怪物はその炎から逃れようと藻掻くが炎は消えるどころかその威力をますます増していく。そして遂に、一切の抵抗を許さず敵を燃やし尽くす死の焔が、空間全てを掌握した。


 その間およそ二十秒となかったが、怪物は己の体の全てを焼かれる苦痛を味わい続け、ようやく死が訪れた時その心を占めたのは、絶望ではなくようやく死ねる事への安堵であった。




実は27話で漆黒の球体から脱出する際も太陽神ラーを使っていました。一応太陽神ラーの描写もあるのですが、その時点で太陽の神のいずれかを予測できた人は凄いです!

次話26日朝6時

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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
かっこいいが、、、 仲間同じ空間におるけど、、1千万ケルビンはもえない?
[良い点] 今話の最初など、一人称と三人称が混ざってしまっていますが、基本的に理解に難のない程度の情景描写はされており、能力のおかげでキャラがある程度立っていることから読みやすい部類に思えます。 [気…
[良い点] こういうのめっちゃ好きです。厨二心がくすぐられます。 [気になる点] 一千万ケルビンって、10000273.15度のことですよね。数値がめっちゃ微妙。 細かくてすいません。 [一言]…
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