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神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
十四章 神々の争乱編

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216話 新井宗也

 力を増幅した一撃を放った反動で壊れた腕を数秒の間に再生し、軍神は破壊神の懐に瞬時に移動する。


「はい終わり」


 唖然とした表情で、状況を理解できないといった風の破壊神。

 隙だらけの体、その頬に軍神の拳が直撃し、破壊神は衝撃でのけ反りながら――瞳に宿る力が変わった。


「――どこに完璧である必要があるんだろうね」


 僅かに反らされる顔、拳が血で滑り、強引に前に出た破壊神が懐に入る。

 雰囲気の一変した相手に僅かに硬直しながらも、腕をクロスさせて防御する。


 防御した腕にめり込む相手の拳。


「再生するなら」


 軍神は確かに相手の技量を見抜いていた。

 ただ、彼もまた人間を知らず、そしてどこかで侮っていたのだろう。


「枷なんて外し放題だ」


 クロスした腕が折れ、腹部に拳が突き刺さる。

 技量を越えた一撃に、軍神は頬を引き攣らせ、その脳裏に己に一撃を食らわせた過去の人間の姿が過った。


「ぶッ・・・・・・?!」


 衝撃で飛ばされ壁にめり込む。

 内臓と腕を再生しながら壁から這い出て、軍神が辟易した口調で呟く。


「ああ、そういうことか」


 相手の腕は血まみれだった。

 自身の限界を超えての攻撃。先程までの破壊神ではまず考えられない。


 腹部の風穴と腕を権能で瞬時に再生させ、笑みを携えながら口を開く。


「初めまして、神様。僕は新井宗也、短い間だろうけどよろしく」


「凡才の人間に主導権を握られるとは、破壊神はよほどこたえたのかな」


「ははっ、正面から捻じ伏せられたことがなかったのかもしれませんね。僕じゃ相手をするのも嫌ですか?」


 隙は幾らでもある。

 しかし、攻める気にはならないのは確実に一撃を貰う確信があるから。


 ただでは転ばない。非才を受け入れ損切りができる人間である事を軍神は察し、力を抜いた。


「交代だ。この手の相手にいい思い出が無い」


 意識が入れ替わる。

 戦闘を傍観していた隼人へと肉体の主導権が移行し、左目の色が変わる。


「結局こうなるのか・・・・・・天網久遠」


 投擲した槍に糸を伸ばして二本とも回収する。

 そして対峙する人間へと視線を向ける。


「わざわざ理由は聞かない。聞いたところで結果は変わらないしな。殺しに来るなら、ただ殺すだけだ」


「大層な理由ではないから有難いね。今僕がこの場に立っているのは、新井(あらい)宗也(そうや)なんていうちっぽけな人間の、ちっぽけなプライドのためだ」


 ちらりと破壊神が、否、新井宗也が体をこわばらせている地母神へと顔を向ける。


「すいません。ここは僕に任せて欲しい」


「・・・・・・分かりました。人同士の決闘であれば私は関与しません」


「ふっ、決闘なんていいものではありませんが」


 笑みを携えながら隼人へと向き直り、構えと同時、両者が激突する。




◇新井side




 槍なんて使えない、だからただ我武者羅に拳を振るう。

 二本の槍をこの身で受け、破壊の権能を込めてカウンターの拳を叩き込む。


 お互いに血だらけで床は趣味の悪い絵画のようになってしまっている。


(怪物め)


 どれだけ肉体を破壊しても一向に怯む気配がない。

 先程の神の方が幾分か戦いやすかっただろう。


 そんな姿が見たいわけじゃない。才能だけではない姿を見たいわけじゃない。


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」


 対峙して、迷いのない瞳が何度も僕を射抜く。

 攻撃を受け、彼が背負っているものの重みを知る。振り返れば、僕の背にはなにもない。空っぽの器しか見えない。


――ごめんね。ちゃんと生んであげられなくて。

 

 否が応でもその声が聞こえてくる。

 考えずにはいられない疑問。普通である必要が、完璧である必要がどこにあるんだろうか。


「絶槍」


 槍が己が体を貫き、宙を舞う糸が僕の体を拘束し壁に叩きつける。


「かはッ・・・・・・!」


 ああ、意識が朦朧としてきた。

 捨て身で挑んだとしても届かないのか。


「・・・・・・どこで道が反れたんだろうか」


 なんとなく口から漏れた独白。


「間違いがあったのなら、それは自分を想ってくれる人を泣かせた時だろうさ」


 相手の言葉に記憶を思い浮かべる。

 大事な人と呼べていた人は、何時笑っていただろうかと。


 僕が産まれた当初は確かに笑っていてくれたと思う。

 物心ついた時には既にその笑みは消えていた。いつも謝ってばかりだった。


「自分を想ってくれる人を泣かせた時、か」


――ごめんね・・・・・・ごめんなさい


 それを知るには幼過ぎて。


――あいつといるの嫌なんだけど

――どうして平然と外に出てるのかしら

――死ねよ


 一歩踏み出そうとするには環境が悪過ぎた。

 本当にこの世界は不平等で、狂っている。


 これは理不尽に対するどうしようもない怒りで。

 せめてもの小さな反逆、ちっぽけなプライドの元の衝動だ。


「ははっ・・・・・・はははっ!」


 あったはずの反抗期の代わり、子供の我儘、なんでもいい、兎に角この醜くも湧き出て仕方がない衝動をどうにかしたかった。

 けれど、そんなしようの無いものであっても。願わくば、全力で受け止めて欲しい。


「十番、終焉来たりし夜」


「ッ!」


 世界が変革する。

 色が褪せ、夜が落ちるように澱んだ空気がその場を支配する。


 僕を拘束していた糸が崩壊し、正対する彼は、僕としばらく視線を交わした後、一呼吸を置いて構えをとった。


「位階上昇――超えろ、超越神(ヨグ=ソトース)


「ははっ、有難い」


 咽そうになる程の力の奔流が彼から放たれる。

 明らかな力の差、故になにもかもをぶつけられると無意識に口角が上がる。


「持っていけッ」


 我武者羅に歪み集まった感情を全て、この拳に乗せて放ちたい!

 復讐だとか、悲しみだとか、怒りだとか、そんな感情を忘れられるぐらいに限界を超えて。


「来い」


(全く・・・・・・)


 苦笑が漏れる。

 誰も、誰もいなかった。


 けれど、君は見てくれるんだな。

 無能力者ではなく、恐怖の対象でもなく、ただ新井宗也のことを。

 君があの村にいたならば、未来もまた変わっていたのだろうか。そんな意味のない仮定の話が頭を過る。


 目を見開き、全ての力を腕に収束させて、彼の頭上から腕を振りかぶる。


「終番、盤上兇変(ばんじょうきょうへん)


 正真正銘、全身全霊の一撃。

 僕の拳を受け止めるのは無数の触手と彼の拳。


「柳、隼人ォォおおお!!」


 柄にもなく叫んで、感情をむき出しにして・・・・・・気づけばもう、僕は倒れていた。

 文字通り全てを出し尽くし、再び立つ気力も残っていない。


 見上げれば、無傷の彼が静かに見下ろしていた。

 神殿は崩壊しかけているのか各所に罅が入り、軋む音が耳朶を打つ。


「・・・・・・敵わないなぁ」


 彼は眼を逸らさない。

 今の立ち位置は、目を逸らし続けてきた僕にはぴったりなのかもしれない。


 人は平等ではない。

 生まれを選べず、才能にも差が出る。

 虐待も、病気も、精神の違いも我慢するしかない。それが運命なのだからと。


 一歩踏み出せばよかったと言うが、変革をできる人間などどれだけ居るというのか。

 それも子供の段階で。大人にいくにつれて比例する精神面が未熟な段階でなにを変えろと言うのか。


 明確な回答がないから言うのだ、運が悪かったと。


「っ・・・・・・でも、ムカつくよね」


 左腕を天に伸ばし、拳を強く握る。

 訝しみ理解できていないといった風の彼の姿に少しだけ出し抜いた喜びを覚え、拳をそっと開く。


「ドッカン」


 置き土産を発動させる。

 場所はこの空間ではなく、各国の要所と別の数カ所で。今から起こるであろう世界の混乱を思うと自然と口角が吊り上がり、それをこの目で見る事が出来ない事が残念でならない。


 ああ、体の感覚が無くなってきた。

 瞼が下がっていく。


(笑っていてくれたら、それで良かったのに)


 意識が薄れていく中、最期に彼を見る。


 震える手で右目を抑え、か細く声を漏らす。


「・・・・・・服部、さん・・・・・・?」




隼人の目に関しては199話参照。

ちょいと忙しくて感想返せませんでしたが、明日返信しまっす! アイラブ休日(*´▽`*)

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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
[良い点] 服部さん、なんでここに!?って思ったけどこれ隼人の異能か [一言] やっぱヨグ様最強だなぁ……触手プレイ(ボソッ
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