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神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
十四章 神々の争乱編

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213話 視点

「ほいっと」


 黒い空間に突撃した先には、視界の悪い暗い草原が広がっていた。空間はかなり広いようで、区切りのようなものは見えない。

 周囲を見渡せば、遠くの方に幾つかの生命反応を感じる。


「雑魚だな」


 数が多いだけで相手ではないと断じて視線を外す。あの程度であればすぐに対処可能、それよりも今は元凶を潰すことを優先したい。


 不意に圧力を感じて上空に顔を向ける。


「あそこか」


 暗がりで見にくいが、遥か上空には浮いている島があった。

 翼をはためかせ、浮遊島目掛けて飛翔する。


 途中で妨害が入るかと思ったが、特にそういったことはなく島に辿り着く。


 近くで見るとかなり大きい。

 都市一つ分はあるであろう面積を誇り、奥の方には巨大な神殿があった。


 とりあえず島に足を踏み入れて神殿へと近づいていく。

 見上げる程に長い階段を越え、扉を開いて神殿の内部へと入っていく。


「お?」


 入った途端、二柱を除く神々とのパスが切れた事に気付く。

 神殿の制限、基準は分からないがまさかこういう形で力を削がれるとは。


(・・・・・・やるっきゃねえか)


 先の一戦での感覚から【大天使(ルシファー)】と【憤怒(イラ)】だけでも渡り合えると感じた。ただ、こんな場を用意してより厄介になっているであろうことは明白。どこまで食らいつけるかは未知数だ。


 止まっていた足を動かし奥へと進んでいく。


 内部は明るく、一本の道だけが続いていた。

 外観を考えるならば、無駄な通路を排除し俺を手招いているのだと考えられる。


「わざわざどうも」


 コツンコツンと足音だけが響く。

 最奥の扉の前で一度立ち止まり、右足で蹴って勢いよく開く。


 巨大な石の柱が林立する広い部屋だった。

 そして、部屋の奥にそいつはいた。


 椅子に腰を下ろし静かに目を瞑っている。

 俺が一歩部屋の中に踏み込むと、三つの目がゆっくりと開く。


「来たか」


 三つの瞳が俺を捉え、対峙するように俺も視線を向けた。


「準備万端のようで。どうやら俺をご所望らしいですが・・・・・・お互いに決着といきましょうか」


 既に白髪少年の身には破壊神が降りている。

 額にある第三の眼、そして左手に持つ三叉の槍。恐らくは破壊神(シヴァ)の武器、トリシューラ。槍の先端がそれぞれ行動・知恵・欲望を意味する三叉槍。


 前回の戦闘では見なかったが、この神殿であれば可能になると。なんらかの強化術式が付与されているという認識でいいのか?


(まあそんなことより)


 破壊神の後方に視線を向ける。


「あなたは初見ですが、できれば戦闘に介入して欲しくはありませんね」


「ご安心を。私はただあなたを見極めるためにこの場にいるだけですので。明確に危険だと判断しない限りは手を出す事は致しません」


 すんごい美人さんだ。

 彼女が伝令神の言っていた女性だろう。


 男所帯に咲く二つ目の花となるか、俺をぶち転がす死神となるか。

 う~ん、見た感じあまりいい印象を持たれてはいなさそうだ。勧誘が難しいどころか最悪途中で二対一になる可能性も考慮しておいた方がよさそうだな。


「一つ疑問を晴らしておきたいのですが、何故俺の命を狙っているのか聞いても?」


 無視されるであろうと思ったが、予想に反して破壊神は口を開き問いに答えた。


「・・・・・・この世界は破壊する必要がある」


「破壊?」


「この世界は混沌に満ちすぎている。一秒先には死ぬ可能性のある安全が保障されない世界。捌け口として他者を貶め、争いは加速する」


 確かに、怪物が出現していなかった頃と比べて今の世はお世辞にも平和とは言えない。


「混沌を作り出したのは貴様等人間自身だ。最早秩序の維持はできぬだろう。故に破壊する必要があると言っている。崩壊することが分かっていて保持していくことは無駄以外のなにものでもない」


 破壊神が指を俺に向ける。


「邪魔になるのが神殿だ。世界を再び創ろうがその神殿の理は生き続ける。理を壊す方法は神殿自体の破壊しかない」


 破壊できなかったから選定者を決めて神殿を護って来たんじゃないか、と疑問が湧いたが、昔と現在の違いを思い浮かべる。


 決定的に能力者の力に差があるのだ。

 その筆頭が絶対者になるだろう。彼等であれば、以前では成し得なかったことも可能となるかもしれない。


「最早選定者など必要ではない」


 成程、立場の違いだな。見ている範囲が全く異なる。


 世界の維持を守っている破壊神と、身近な人間だけを守ろうとしている俺。

 お互いの意見が合わないのは当然だろう。


 話は理解した。理解出来た。


「救いはここに、【断罪剣(ウィルテム)】」


 大剣を呼び出し、構える動作と共に右翼が黒く染まる。

 俺の姿に破壊神が眉をひそめた。


「忌々しい力だ。この時代でも神に反逆するか、かつての熾天使よ」


 神の傲慢を許さず、その在り方に反逆する。


「世界の破壊ね」


 確かに人間は度し難い。

 醜い欲望に溺れ、お互いを貶める姿は見限るには十分だろう。


 それでもだ。

 確かに光は存在する。儚い寿命の中で必死にもがいて進む人間はいる。数は少ないのかもしれないが、それでも切り捨てられていい存在ではない。


「その中には当然、俺の家族も含まれている訳だ」


 全てを壊してやり直す。

 そんな単純な言葉で片付くものではない。片づけていいものではない。この世界はおもちゃではないのだ。

 上から見下ろしているだけの神の横暴を、許せるわけがない。


「――()()()()、傲慢も大概にしろよ?」


 同じ目線にも立とうとしない存在など、人間には不要だ。


憤怒(イラ)ッ!」


 身体能力、感覚を増大させ破壊神へと斬りかかる。


「ならば苦しみの果てに息絶えろ」


 上段からの斬撃は、三叉槍に反らされ、瞬時に手元に引き寄せた三叉槍の一撃が繰り出される。


「ふッ」


 大剣の柄で穂先を叩き弾き落とし、柄を強く握り直すや、小さい呼気と共に無数の斬撃を繰り出す。


 三叉槍と大剣が交差する度火花が飛び散る。


(まだ、まだまだ。もっと上がるだろッ!)


 徐々に【憤怒】による増加で剣戟の速度が増加していく。


「唸れ、トリシューラ」


 斬撃の合間を縫うように眼前に突き出てくる槍。

 権能の力が付与されているのか槍の周囲の空間が歪んでいる。


 瞬時に後方に飛んで回避した、つもりであったが頬を手で拭えば、血が甲に付着していることに気付く。


「ちッ」


 思わず舌打ちを漏らす。

 単純に全てのスペックが高い。予想の倍ぐらいは動けそうだな。


 そしてなによりも厄介なのがあの額の目だ。相手の思考を読める目。前回はレオンさんの【獅子宮】を模倣することで対処したが、今回はそれでも若干厳しいかもしれない。


 分かってはいた事だが、相手の土俵で戦うのはキツイな。


「ッ!」


 破壊神が投擲の構えを取る。

 瞬時に横に飛ぶのと着弾は同時だった。脇腹を多少抉られ鮮血が舞う。


 回避した先、鮮血を浴びながら素手で構えを取る破壊神が待つ。


「やっばッ?!」


「三番、破獄螺旋(はごくらせん)


 対象を破壊し尽くす一撃、体に掌底が触れる寸前で大剣を滑り込ませて防ぐが、まともに攻撃を受けた反動で大剣が半ばから折れる。


 衝撃で吹き飛ぶ俺に追撃せんと宙を舞う俺に追いつき、拳を振り下ろさんと弓なりに腕を引く破壊神。


(ちと、【大天使】では荷が重かったか)


 仕方ない。


「位階上昇――」


「ッ! 来るか、外神ッ!」


 今の俺なら超越神の位階上昇状態で四十から五十秒は持つだろうか。

 その間で相手を倒せなければ、俺の敗北。


 ――そう思っているんだろう?


「なッ?!」


 振り下ろされた破壊神の拳を、着地の際にクレーターを作りながらも片手で受け止める。

 それは全てを破壊する破壊神の権能を無効化していることに他ならない。


「まさか、同形・・・・・・」


 見開かれた破壊神の懐に拳を叩き込む。

 後退した破壊神がこちらを睥睨する。


「貴、様ッ! 忌々しい破壊者がぁッ!」


 ほぼほぼ無意識に口の端を吊り上げながら射殺すような視線を受ける。






「反転せよ、軍神(アレス)


さあ、暴れようか(にちゃり)by破壊神

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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
[一言] そりゃ、願っても助けてくれない癖にそっちの都合で「混沌に満ちてるから壊しまーす」なんて言われたら神風情がってなるよな
[一言] キタキタキタキター!
[良い点] アイエエエ!?アレス!?アレスナンデ!? [一言] いやまさかこのタイミングで新しい神登場とは……
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