表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/100

第89話

新選組屯所 土方の部屋-


巡察から帰ってきた総司が土方の部屋を訪れている。

二人とも、真剣な表情。


土方「…総司、それは本気でそんなことを言っているのか?」

総司「…本気です。」


土方、ため息をつく。


土方「…確かに、養生しろと言ったのは私だ…。だがお前は、我々と一緒にいると言ったじゃないか。急にどうしたんだ。」

総司「このまま隊にいたら、迷惑をかけつづけるだけだと悟ったのです。…どうか、私を隊から抜けさせてください。それができないのならば、せめて一番隊の長から降ろしてください。」


土方の目が釣りあがった。


土方「…長から降りてどうしようと言うんだ。」

総司「なんでもします。…近藤さんの小姓でも…土方さんの小姓でも…」

土方「ばかを言うなっ!!」


土方は、いきなり怒鳴りつけた。総司は、じっとそんな土方をにらむように見つめ返している。


土方「…お前は…どうあっても一番隊の組長だ。それをやめさせるつもりはない。…小姓なんかにするものか…。」

総司「……」

土方「一番隊を率いることができるのはお前しかいない…。あれだけ腕のたつ人間が揃ったら、逆に統率が取りにくいものだ。しかし一番隊は結束が固い。気づいていないかもしれんが、おまえには人を惹きつける何かを持っているんだよ。」

総司「それは、買い被りすぎというものです。…皆、私がこんなだから…不安なだけなんです。」


「そりゃ、違うな。」


外から声がした。障子に大きな影が映っている。


総司「…近藤先生…?」


障子が開いて、にこにこと微笑んでいる近藤が入ってきた。


近藤「歳さん、助太刀に来たよ」


近藤がそう言って笑い、土方の横に座った。


近藤「不安ならば、散ってしまうのが普通だ。しかし一番隊はそれがない。まぁ、なかには変わり者もいるが、うまくまとまっているじゃないか。…逆に、お前が隊から抜けたら、ばらばらになってしまうのは目に見えている。」


総司は何も答えず、じっと畳を見て黙っていた。


近藤「…隊に迷惑をかけているなんてことは考えるな。…いいな。」


総司は何か言いたげに顔をあげたが、やがて、こくりとうなずいた。

土方がほっとした表情をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ