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第75話

総司の部屋--


総司は箪笥までなんとか這ったが、その場に伏してしまった。

体は熱く、もう鉛のように重くなっている。


総司(…だめだ…体が動かない…)


その時、外に人の気配がした。


「総司…入るぞ。」


土方の声だった。総司は驚いて体を持ち上げたが、手で体を支えるのがやっとであった。

ふすまが開いた。


土方「…このばかやろう!!」


土方が総司の異常に気づき、あわてて総司の傍に駆け寄った。

総司は土方に何か言おうとしたが、すぐには声がでない。そして、顔を見ることも出来ずに再びその場に伏した。


土方「おい!誰かっ!!…誰か医者を呼んで来い!!!」


土方が廊下に出てそう叫ぶように言うと、すぐに部屋へ入ってきて、障子を閉じた。


土方「総司…しっかりしろ…大丈夫か?」

総司「…すいません…」

土方「…謝るな…こっちが辛くなる」


土方はそう言いいながら、総司の着物を探している。


土方「…すぐに着替えないと…ああ、これか…。」


土方は総司の体を起こした。


土方「!…かなり熱いな…。どうして出動の前に言わなかったんだ!」

総司「…すいません…」

土方「ああ…いや…俺が悪いんだ。すまん」


土方はそう言うと、濡れた総司の着物を脱がせ、不器用ながらも、総司を抱くようにして着替えさせながら言った。


土方「…くそ…二番隊に出動させるべきだった…」


その時、大きな足音が聞こえ、障子が開いた。


「総司っ!!」


近藤であった。土方の声を聞いて、部屋から出てきたのだった。


土方「…また役に立たん人が…」


土方が呟くように言った。


近藤「なんだ?なんだって?」


近藤には聞こえていなかったようである。


土方「いや、なんでもない。布団を引いてもらえますか?」

近藤「布団だな!…よし、任せろ。…えーと布団布団…」


総司は何かいつもと違う二人の様子に胸が熱くなるのを感じていた。


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