第14話
新選組屯所 総司の部屋-
翌朝、中條は総司に呼ばれた。
総司「いつも、私の汚れものまで洗わせて申し訳ない。」
総司が、部屋に来た中條に言った。最初は断っていた総司だったが、小者に頼むよりもきれいに洗うので、最近はつい中條に甘えてしまっていた。
中條「いえ!僕、こういうこと好きですから。」
中條が恥ずかしそうに言った。総司が笑った。
総司「あなたには、本当に感謝しています。」
総司がにこにこと微笑んで言った。中條は嬉しさに体を小さくした。
総司「甘えてばかりで申し訳ないんだが…剣術の稽古の後に文を届けてもらえないかな。」
中條は、顔をあげた。
中條「可憐様にですか?」
総司が照れくさそうにうなずいた。
総司「明日一日休みがもらえるから、会いたいと思ってね…。頼まれてくれるかい?」
中條「はい!」
総司「ありがとう。稽古の後にまた寄って欲しい。その時に文を渡すから。」
中條「承知しました。」
総司がふと眉を寄せた。
総司「…中條君…顔色が悪いように思えるが…大丈夫かい?」
中條はぎくりとして総司を見た。
中條「…大丈夫です。」
総司「…それならいいけれど…。」
中條「そうだ…稽古の前に持って行きましょうか?まだ時間もありますし・・」
総司「いや、いい。稽古に遅れたら君を怒らないといけなくなるからね。」
総司が笑って言った。
中條「わかりました。」
総司「今、ちょっとでも体を休めておきなさい。」
総司が言った。やはり、中條の顔色が悪いように見えるのである。
中條「ありがとうございます。」
中條は頭を下げると、部屋を出た。
……
中條(…そんなにひどい顔をしてるかなぁ…)
実は、昨夜も頭痛で眠れなかったのである。しかし中條は、今日想い人に文を届けにいく…という思いに心を躍らせていた。
中條は、想い人が文を受け取った時に見せる幸せそうな表情が好きだった。
中條(…久しぶりだからな…きっと、お喜びになるだろうな…)
中條は大部屋に向かいながら、顔を緩ませていた。
……
大部屋についてから、中條は稽古の支度をすると、再び立ち上がった。
やはり、何か落ちつかないのである。
中條(ちょっと外を一回りして帰ってこよう…)
中條は、外へ出た。




