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23.なぜこんなことに……(side:俯瞰)

前々回はひどいオチだったけど今回はサイテーなオチが待ってるのでご注意くださいまし

 せっかくのシチュエーションが台無しという微妙な空気の中、男はごほんっと咳払い一つ。

 場の空気を一度整えてから、男は威厳たっぷりに問いかけた。



「さてっと、改めて聞くが君たちの目的はこの嬢ちゃんでいいのだな」


「あぁ、その通りだ。それでお前は誰だ?」


「お前は誰だ………か。実は言うとな。名前はまだない」


「「「はっ?」」」「むっ?」


「まだ設定してないのだ。本来私の出番はもっと先だというのに……私はダンジョンに異常があったので修正と経過観察のために派遣された、いわば裏方の黒子だ。

 一応現地人との遭遇時はただの通りすがりとして振る舞おうと思っていたが、ここまでがっつり関わるのは想定外なのだよ。こうなるなら派遣前に設定しておけばよかったと少々後悔しているところだ。全くなぜこんなことに……ぶつぶつ」


 ぶつくさ愚痴っぽいものを垂れ流す男こと名無し。

 おかげでせっかく持ち直した空気が台無しである。


「……おいエクレア、こいつなんなんだ?」


「むむー!!(私の方が聞きたいぐらいったってー)」


 ランプの問いかけに簀巻きでじたばたもがきながら答えるエクレア。

 これで鎖とか縄で宙づりならまだしも、簀巻きで宙ぶらりんだから囚われ感が全くないっとやっぱり空気台無し。

 3人からみたら、ただの茶番劇にしかみえないのだ。


 そんなわけで3人ともすたすたと無防備にエクレアへ向けて歩みを進めるも






ダン!!!





 名無しが踏み鳴らした足を中心にして放射状に広がる衝撃波。

 さらに男から放たれる威圧に3人はさっと距離を取って臨戦態勢をとる。



「すまなかった。ちょっと取り乱していたようだ……全く嬢ちゃんの“狂気”は嬢ちゃんと同じようにじゃじゃ馬過ぎる。しっかり意識を保たなければ私のイメージがどんどん崩れてしまう」


 口ではまだ少々取り乱し中であっても纏う空気はしっかり大物感がでたようだ。

 3人の警戒心はマックスまで高まる。



「すまんな。さっきは遊びと思ったが訂正する。奴は強い、とてつもなく強い」


「同意。おやっさんと同じ空気がする」


「とりあえずエクレアちゃんが大人しくしてるのはわかった。あれだけ強者の空気を醸し出すなら交戦を避けるのも無理は」


「交戦したぞ」


「えっ?」


 ローインの予想にしっかり返答する男。

 一瞬惚けたが、それならそれで真意を探るチャンスっとローインは続きを促す。


「結果は?」


「私がこうして立っており、嬢ちゃんが御覧の有様。そう言えば伝わるのではないかね」


 くくっと笑う男に3人はその通りだと思う。

 ただそれだとこの男はエクレアよりも……そこらの有象無象なら軽く屠れる『魔人化』したエクレアより強いという事になる。

 3人からのまさかっという思いを感じたのか男は笑う。


「いいぞ、その表情。ちなみにいい事を教えてやろう。嬢ちゃんは私の左手を蹴りで吹っ飛ばした上で腹の風通りをよくしてくれた。君たちは3人がかりなのだから最低限でもそれぐらいの傷は残してくれたまえ」


 

 自信満々ながらも男からにじみ出る威圧から、3人は理解した。

 まともに戦えば、到底かなわないっと……


「トンビ、ローイン。フォーメーションIB、速攻でいくぞ」


「オーケーランプ」


「いきなりか。いや文句ないよ。出し惜しみできるような相手じゃないし覚悟決めるよ」


「むぐーー!!!(やめてーその作戦はやめてー!!!)」



 作戦は決まった。エクレアから抗議の声を上げてるが猿轡のせいでそれは届かず……

 ローインはすでに行動を終えていた。

 ランプとトンビが威圧を跳ね返しつつ武器。ランプは両手にナイフでトンビは盾と大鉈を構えながら対峙する、その後ろにいたローインは一つの行動。試験管を投げるという行動を終えていた。


 それをみてさーっと青ざめるエクレア。


「むっ」


 男は放物円を描いて飛んでくる試験管に気付くも、そちらに眼を向ければランプとトンビが即座に動く。飛び込んで来る。どちらに注意をはらうか一瞬悩むも……


 悩むのは一瞬だった。

 男はボスとして、少年達の作戦に正面から迎え撃つのが礼儀っとあえて試験管を叩き落とした。


 中身がなんだろうと真正面から踏みにじらんっとばかりなその態度は………












 ふっとんだ。




 激しい閃光と共に文字通り吹っ飛んだ。









 叩き落とした瞬間に飛び出たのは凄まじい爆音と衝撃で吹っ飛んだ。


 ちなみにローインが投げたのは『黒石火薬入り試験管』だが、ここでさらなる解説を入れよう。

 これはエクレアの錬金術で改良を加えた事で従来の物より火力がアップした他、持ち主の魔力によって火力が変化する代物となっていた。


 参考的にローインの魔力は本職でしかも才能面からみたら超有能、数値にしてエクレアの3倍だ。

 さらにローインは火属性の適正が強いために火薬との相性も抜群。これによって爆発の威力はさらに3倍増し。


 エクレアが全力で魔力を込めて使えばゴブリン数匹軽くミンチにしてしまう威力。それをローインが同じように全力で……出し惜しみなく全力で魔力込めて使えば単純計算で⑨倍。とんでもない威力となる。


 そして……彼等は知らなかった。青ざめた表情からエクレアは前世知識で知っていたが彼等は知らなかった。

 閉鎖空間での爆発は壁に反響して威力が増幅されてしまうことを……

 そう、今の世界には稼働中のダンジョンが存在せず、野外で戦闘を繰り返してきたせいで閉鎖空間での爆発物がどれだけ危険なのかを知らなかった故……









どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!









 男だけに限らず室内に居たもの全員が吹っ飛ぶという大惨事となった。

爆発オチってサイテーだよね……ヾ(:3ノシヾ)ノシマァオトコノショウタイカラカンガエルトサモアリナン

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