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12.ゴブリンをけしかけるのは勘弁してください

ステンバーイ…ステンバーイ…( ^ω^ 三 ^ω^ )

 手足を縛られて横たわったまま太ももをこすり合わせて何かに悶え中っと、いろいろな意味で乙女のピンチへと陥った囚われのエクレア。


 このピンチをどう乗り越えるか頭を巡らせるも一時中断させる事態となる。


(誰か来る?)


 寝転がって耳を床に付けていたから足音がよく響いていたのだろう。

 何者かがこちらに来るならっとひとまず寝たふり。気絶中のふりでやりすごす事にした。


 やがて扉が開く音が聞こえる。



「ほぅ、これがお前らの言っていた収穫品か。随分上等なものを捕まえてきたものだな」


 ゴブリン達のゴブゴブと解読できない声と違ってはっきり聞こえる男の声。

 一体誰かっと気にはなるも今は気絶中。何も聞いてない聞いてないっと思うも……


「お嬢ちゃん、起きてるのだろう。寝たふりは止めたまえ」


(ぎくり)


 寝たふりがバレてたようだ。

 でもここで起きたら何か負けた気がするので寝たふりを続けるエクレア。


(寝たふり寝たふり……)


「起きないならゴブリンをけしかけるぞ」


「起きます。起きますのでゴブリンをけしかけるのは勘弁してください」


 覚悟できたとは思ってもやはりゴブリンにあれやこれやを前にしたら怖気ずくのか、さっと目を覚ますエクレア。何かの勝負は完全敗北である。



 再び仰向けからよっこいしょっと腹筋の力で身を起こし始める。

 寝たふりは失敗したけどまだまだ手は残ってる。次はとってもか弱くて無力な女の子を装って油断を……





……


…………


………………




「ほぉ、私をみて怯えるのでなくに逆にらみつけるとはただものではないな」


 はっと我に返る。

 エクレアは男の顔……いや、眼を見た途端逆に睨みつけていた。無意識の内に睨んでしまったのに気付いた。


 それもそのはず。あの眼はバジリスクと同じ魔眼の類。瞳を見つめた者の精神になんらかの影響を及ぼすもの。つい無意識に抵抗してしまったのだろう。


 でも……


「え~私か弱い女の子だよ~しかも縛られてて何の抵抗も出来ない女の子だよ~ほらほら」


 後ろで縛られてる手をもぞもぞさせて何もできないアピールっと、か弱い女の子路線は実行することにしたようだ。


「か弱い女の子がそんな目をするのか?」


「そ、そんなひどいですぅ!!」


 ガーンとショックをうけるエクレア。しかもちょっぴり涙をためて……っと路線変更はせずこのまま続行。様々な意味で豪胆だった。


「ふむ、確かにか弱い女の子らしくはなったな」


「しくしく……もういや、なんでこんな目に…おうちに帰してくださぁい」


「だめだな」


「ならせめて縄を解いてください。さっきから痛いんですぅ」


「ゴブリン50匹を素手で血祭りあげたお嬢さんを自由にしろと?何の冗談をお言いかな?」


「ゴブリンの言う事なんてきっと何かのまちがいですよぉ」


「その血まみれの姿で信じろと?」


「これはただ逃げる時に血の海に転んじゃった時のものでぇ~決してゴブリン達をちぎっては投げちぎっては投げをしてついたわけじゃないんですぅ……えぐえぐ」


「………」


「………」


 互いの視線の間に走る奇妙な沈黙。

 エクレアはとにかくか弱い女の子アピールするも、その様がまさに乙女ゲームざまぁ系のお花畑ヒロインを彷彿させすぎてるせいでうさん臭さが全く抜けない。

 ただまぁエクレア自身、こんな見え透いた嘘で騙せるなんて欠片ほども思ってない。

 この態度はある目的をもくろんでの釣り針であり……


「そうか、よくわかった。どうやら嬢ちゃんは紳士よりも乱暴者の方が好みであるということを」


 どうやら男はぱっくり食らいついてきたようだ。



(かかった!!)



 エクレアの目的は男を怒らせることである。

 出来なかったら出来なかったで『お花摘みにいかせてください』とか『即座に縄ぶちっで殴りかかる』とかいろいろ手を考えてたが、それらの案は無用となった。


 なら次は……

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