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22.こりゃぁ確かにSAN値直葬もんだ

「こりゃぁ確かにSAN値直葬もんだ」


「警戒するのわかる。そして……ふつくしい」


 エクレアの内に潜んでる化け物……“キャロット”とか呼ばれる悪魔を憑依させたエクレアは一言でいえば闇を纏った『悪魔』だった。


 “深淵”の中に潜む“混沌”ともいうべき闇を纏った『悪魔』。

見る者……精神判定に失敗したもの、もしくはSAN値が0になった者を二度と正気に戻れない“狂気”の中に引きずり込んでしまう……

 人の心に入り込んで支配する“混沌”の化け物。


 そんな闇がエクレアの背から顕界し、翼を形作っていた。



「これが私のチート能力。転生特典なんかじゃなく前世の私から引き継いだ私の内側に広がる“深淵”とリンクさせて“混沌”を具現化させたものだけど……ぶっちゃていうと、この『力』は世界の理を悉く潰す。なんせ見ただけでSAN値直葬されて“狂気”に侵される上、これに触れたら“深淵”の中に引きずり込まれて……」


「引きずり込まれて……?」


「……まぁ~取り込んだ者の知識とかスキルとかそういった物が私にも使えるようになるから、たぶんそういうこと」


「なるほど……」


 内容が内容なのでエクレアも言いにくそうにして誤魔化してるが、つまり『食えば食うほど強くなる』とかそういった類のものだろうと理解できた。


「とにかくその“闇”は見ただけで強制的にデバフが付与され、触れたら即死の吸収攻撃が繰り出せるのか。チートにもほどがあるな」


「能力そのものはチートだけど、本体となる私自身がチートに追いついてないから言うほど無双はできないよ。スキルとか覚えても大半が使い方わからない代物だし、引きずり込みも相手がボスのような強敵だと脳内ウィンドウで『もっと弱らせるんだ』とか出るから一撃必殺とはならないし、まぁその分デバフが凄まじい性能誇ってるけどね。特に“狂気”の付与はボスのような絶対効くわけないだろって相手すら通しちゃう上に私が付与する“狂気”は伝染までするから……」


 そこから語るのはあくまでエクレアの予想だが、彼女の“狂気”に侵された者は人間どころか魔物や魔獣……果てには魔族すらもお構いなしに伝染。いずれは“狂気”に大群となって“狂気”に導かれるまま村や街に襲い掛かるという、魔王の進行よりも恐ろしいスタンピードが起きてしまう。

 もしそうなればどれだけの被害が出るか予測不能。下手すれば国を通り越して全てが滅ぶ。

 だが……


「ケバブお兄ちゃん、『だったら人前で出さなければ安全じゃね?』とか思ってない?」


「丁度そう思ったが……もしかして『ところがぎっちょん!』だったりするのか?」


「いくざくとり~この“狂気”の付与は生き物だけじゃなく自然……自然界に宿ってる精霊すら及ぼすみたい。ちなみに“キャロット”曰く、精霊が“狂気”に囚われて暴走すると局地的自然災害が出るらしくって、一応検証のためにダンジョンの森フロアで全力全開に“狂気”をばらまいたら……どうなったと思う?フロア内で大地震と大嵐と大火災と大津波といった自然災害が同時発生とかいう、見てた私自身よくわかんないカオスな現象起きちゃったんだよ!!!慌てて引っ込めても一度ばらまかれた“狂気”は引っ込められないし、逃げようにも出入り口潰れて大災害のど真ん中に取り残されるとか……生還できたのが今でも不思議に思うよ!!もうこれ絶対外で披露していい力じゃねーよ!!!」


「わかった!わかったからちょっと落ち着こう」


「はぁはぁ……うん、ごめん。あの時の事思い出してちょっと興奮しちゃったけど、まとめるとこれは扱いを誤ると確実に世界をぶっ壊す核兵器クラスのヤバい代物。大量虐殺が可能なだけあって暴走しないよう“キャロット”に制御の補佐をしてもらったり、いざという時は監視役の死神が首を斬り落としての強制終了な算段になってるけど……それらは言い換えると『神』のシナリオを潰せるだけの『力』がある証拠にもなる。だからこそ乙女ゲームシナリオを仕込んだ黒幕となる『神』に知られたらまずいわけ」


「そりゃぁそうだよな。転生物だとよくスルーされるが常識的に考えて世界をぶっ壊すようなチート持ちを自由にさせてる方がおかしいし、監視や対策はとうぜ……ん?だったら『勇者』の俺はどうなるんだ?これも割とチートだが……」


 さすがにエクレアの世界を壊すに足る核兵器クラスのヤバい『力』よりかは遥かにマシだが、勇者も勇者で十分バランスブレイカーだ。

 『魔王』相手なら適切な力であっても、『魔王』以外では完全なオーバーキル。なのでケバブは最悪を想像するも


「それはたぶん大丈夫。原因は『魔王』が現れたから対となる『勇者』が現れただけだろうしね」



「それ大丈夫じゃないだろ。大体『魔王』なんて現れた……ら?」


 話の途中、ケバブはエクレアの発言におかしい点がある事に気付いた。



“『魔王』が現れたから対となる『勇者』が現れた”



 それはわかるが、エクレアは自分を『魔王』とは言ってない。


 今の『悪魔化』したエクレアはどうみても『魔王』と呼ぶにふさわしい貫禄がある。能力からみて十分『魔王』と認識できるのに、彼女は自分を『魔王』ではなく『お花畑ヒロイン』と称している。



 さらにいえば、彼女はダンジョンマスターとも言ってない。

 もしかしたら伝えてない可能性はあるも……


「なぁ……エクレアちゃん。一つ聞きたいけど、君はダンジョンマスターなのかい?」


「あっ、伝えてなかったっけ。私はマスターじゃないよ。一応権限を少しもらってるからサブマスターみたいなものではあるけど、マスターはマスターで別にいるから」


「じゃ、じゃぁ……そのマスターが……『魔王』なのか?」


 ケバブの問いかけにエクレアは「うん」っとあっさり……世間が知れば大混乱必須な情報をあっさり肯定。そのまま『魔王』について語り始めた。

書いてて思うけど、本当ヒロインちゃんは『魔王』としか言いようがないwww

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