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21.知ってるのか雷電!?

A「……雷電って誰?」

現代日本のオタクネタを知らない現地住民なら当然の反応だろう?

 教会は悪魔を敵視している。

 理由は定かでないが、冒険者が見かけ次第ゴブリンを皆殺しにするかのごとく、教会は悪魔を見かけ次第滅しにかかる。そのせいで昔は魔女狩りのような冤罪が多発したので現在は正当な裁判なく悪魔を滅するのは禁止されてるようだが、そんな教会所属者と思わしき聖職者相手にエクレアは堂々と悪魔の力を……『魔眼』を披露したのだ。その辺りどうなってるのか事情を聞いてみたら


「エロ神父様達は教義より自分の信念っというか欲望に従って好き勝手生きてるような破戒僧だし、私の正体を知っても『こまけぇこたぁいいんじゃよ!!そんな事より今日のパンツ何色なのかの方が重要じゃわい!!』とかで堂々スカートめくってくるような変態だから別に問題なし」


 とんでもない事をさらっと言ってのけた。ちなみにその際はかかと落としで脳天かち割ったそうだが……


「ちょいまてぃ!!それ別の意味で問題あるだろ!!!」


「いいのいいの。エロ神父様達は清々しいまでのオープンスケベな上に『我々の業界ではご褒美』精神でわざとボコられるような真似してるもん。特に酒場内だとセクハラ働くような馬鹿には遠慮なくボコっていい伝統あるし、私やモモちゃんもエロ神父様達をボコる事で適度な力加減が出来るようになったからむしろ感謝してるぐらいだし。もちろん『魔眼』もその延長上で実験台になってもらってるの」


「……さすが修羅の村。俺達都会人には到底真似できない事を平然とやってのけるなんて」


「痺れる?あこがれる?」


「すまんが、全くそうは思えない……後、『魔眼』をそんなポンポン使って本当に大丈夫なのか?あれ、万が一でも暴走すればとんでもない被害が出てきそうなんだが」


「それも大丈夫。村内は結界のおかげでさっき見せたほどの出力が出せないし、万が一の時は聖女のタカナおばさんが対処してくれるから」


「はぃ!?タカナおばさん……って受付の?あの人聖女だったのか!?」


 ケバブも初対面時の印象からタカナはただの受付嬢ではないと思っていた。ギルド長かそれに準ずる立場の者と思ってたが、実際は想像の斜め上を逝くほどの立場であった。エクレアも肯定するかのごとくコクリとうなづくが、ただしっと付け加えて来た。


「元だけどね。詳しくは知らないけど、おばさんは自他ともに認めちゃってる破戒僧なエロ神父様の実の娘だし、中央で何かやからしたせいで資格を剥奪されたんじゃないかなって勝手に思ってる」


「その話、たぶん詳細知ってる」


「「知ってるのか雷電!?」」


 唐突に割り込んできたアシュレの言葉に思わず定番のネタで返したケバブとエクレア。

 ネタを知らないアシュレからみれば『雷電って誰だ!』なんて疑問がわきそうながらも、


「……30年前の話」


 スルーを選択したアシュレは淡々とした口調で解説し始めた。



「……30年ぐらい前、教会での聖女選出試験で何十年ぶりかの合格ラインに達した者が出るも、直後に田舎から物見遊山気分で参加してた芋娘が合格ラインどころか初代に匹敵する力を披露。貴族の反対こそあれど多数の一般市民や大司教の後押しを受けて聖女認定。任命式で大司教様から聖女の証を受け取って芋娘は正式な聖女になると思いきや、次の瞬間その証を次席の子に放り投げたとか。その後すったもんだの問答から大乱闘の大立ち回りに発展。最後には恋人にプロポーズされて、そのまま各関係者の追手を振り切って愛の逃避行を繰り広げたという、あらゆる意味で自由人な初代と瓜二つな芋娘聖女のお話が伝わってる……その芋娘の名前は『オサカナ』とか『オタカラ』とかあやふやだけど、受付のあの人の名前が『タカナ』なら……元聖女というなら、当人で間違いない」


「そ、そーなのかー」


 アシュレの実話か創作か判別付きづらい解説を聞いて、思わず定番の台詞で返してしまったケバブ。

 だが、エクレアは違った。


「そんなの初めて聞いたけど、もしその話本当だったらタカナおばさんと逃避行したのはギルド長のオーシンおじさんって事に?!普段の姿が姿なだけに全然そんな姿想像できないけど、腐ってもおやっさんの息子だから案外やる時はやる……って今は関係ないし、本題戻ろうか、うん」


「あ、あぁ……」


 エクレアは村の住民だけあって信じる根拠ありそうだったが、我に返ったエクレアの言う通り今は本題。エクレアのチートの方が重要だからと話題を切り上げる事にしたらしい。

 ……勇者としてみれば聖女は勇者と対となる存在。決して無視できない存在ながらも、中年のおばさんが勇者の仲間になる展開なんてないからっとエクレアにならって切り上げた。というか……


(全員が成人間もない若手パーティーにお袋より年上な中年おばさんが加わるなんて、どこの誰に向けた需要になるんだよって話じゃないか。だからあの人の娘が聖者として目覚めて5人目の仲間となるご都合展開を希望する。……思いっきりフラグになってるのはわかってる。すでにハーレムパーティーで夢破れた現実をみてるが、せめて確約するまでの間ぐらいは夢をみさせてくれ)


 煩悩と浪漫がごっちゃになったご都合展開を夢想する事で……後程タカナの娘は祖父であるおやっさんの気質、息子が受け継がなかった戦闘狂の気質を持つギルドNo3の戦士であり、聖女の才覚が全くなしという現実を直面する事になるが……

 そんな事実を今は知らない、知る由のないケバブは後の希望を信じながら聖女の話題を一時脇へと置く事にした。



「じゃぁ改めて私のチートを見せる前の二つ目の注意……今から私は“キャロット”という私の内に潜んでる『悪魔』を表に出すけど、気はしっかり保っておいてよ。はっきり言う。悪魔を表に出した私……『悪魔化』した私の姿はSAN値直葬まったなし。人の精神どころか世界の法則にすら浸食して無茶苦茶にしてしまう“深淵”が顕界されるから本当に気合入れて堪えてよ」


 そう注意を述べるエクレアは切実であった。先ほどまでの飄々とした態度とは違って、真面目な顔で語るエクレア。

 その雰囲気を察してかケバブとアシュレも気を引き締める。


 雰囲気でわかる。今からエクレアは到底世に出してはいけない冒涜的なものを顕界させるっというわけで大真面目に気を引き締める。


「わかった。あまり得意ではないが精神耐性系のバフ系魔法全盛りしよう。アシュレも一緒にかけるがいいな」


「くくく……覚悟完了。いつでもどうぞ」


 こうして全ての準備ができたのを見計らったエクレアは……



 内に潜んでると言われる悪魔を表に出した。


ちなみに当初だと聖女うんぬんはこのタイミングで話す内容じゃなかったけど、話さなかったらヒロインちゃんが酒場で平然と『魔眼』を披露した理由が不明とすっきりしなさそうなので急遽付け加え。


割と創作あるあるだけど、そのせいで書き溜めしてる話に修正箇所が多数発生という事態に……(笑)

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