表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/161

19.下手すれば『呪言』や『魔眼』よりも破壊力あるぞ

お兄ちゃんなんて大っ嫌い!!

は兄にとって即死魔法に等しい言葉なのはお約束w

「「義理の姉妹!?」」


「あぁ。最初は友人のようにみえたが、あのやりとりは姉と妹に近い気がしてな。俺も故郷には弟や妹がいるわけだし」


 ただし、弟や妹からのわがままともいえる要求で兄である俺が困らせるという二人とは逆パターンだがっと付け加えたりもする。


 そんな提案を受けた二人はしばらく見つめ合い……


「アシュレお姉ちゃんか……うん、それだったらいいかな。見た目も黒髪黒目っと師匠そっくりだし、むしろそっちの方がいいかも」


 エクレアも義理の姉妹の関係ならっと受け入れたようだ。


「ふふふ……もしかしたら本当に血縁者かもしれない」


「それない。だって師匠転移者だもん」


「転移者、魔女サトーマイは転生者じゃなく転移者なのか?」


 『味噌』と『醤油』を作ろうとした時点で日本出身の転生者だと思ってはいたが、転移者だったのは少し意外であった。なのでケバブはつい驚きの声をあげる。


「うん。何が原因でこちらに来たのかは……もう……わからないけど……本当、もっといっぱい教えてほしい事、習いたい事たくさんあったのに……」


「あっ、えっと……」


 窯をかき回す手を止め、急にしんみりとした空気となったことで慌てるケバブ。

 これは触れてはいけない話題だったと思って慌てて話題変えようと思うも……


「なんてね。今はもう師匠の死に関して整理付いてるからそこまで気遣ってもらう必要ないよ……ケバブお兄ちゃん」


「えっ?」


 ケバブお兄ちゃん……

 いきなり兄呼ばわりされて、先ほどとは別の意味で慌て始めるケバブ。


 一体なぜそうなったのかと思うと


「だってアシュレお姉ちゃんだけだと寂しいかな~っと思って……もしかして迷惑だった?」


 キュンっと寂しそうに縮こまりながらも、伺うようにして上目遣いで問いかけてくるエクレアにうっと詰まる。


(そのポーズ……反則すぎだろ!!)


 ケバブは妹持ちといっても、あちらはわんぱく盛りの生意気盛り。

 男というか兄の庇護心をくすぐるような可愛いらしい萌える妹ではない。

 そんな実妹がまず取らない、萌えを強調されたエクレアの態度は最早『悪魔の誘惑』


 本来なら突っぱねるべきだと思うも……今回ばかりは『もう一人の俺』が真逆の意見を出していた。萌えに対してよく理解している『もう一人の俺』が受け入れろっと強く訴えて来る事もあって、ケバブは陥落。


「ハハハ!全くそんなことない!!!エクレアさん……いや、エクレアちゃんみたいな子が妹なら俺も大歓迎だよ!!」


「わ~い!ありがと~ケバブお兄ちゃんだい~すき」



(ぐぼはぁ!!?)



 寂しそうな表情から一転、癒しに溢れた笑顔でのお兄ちゃん呼ばわりに思わず鼻から忠誠心がほとばしりかける。


 その破壊力に耐え切れず、思わず後ろ向いて鼻を抑えながらうずくまる。


(やばい……これはやばい……下手すれば『呪言』や『魔眼』よりも破壊力あるぞ)


 一応ケバブも『呪言』や『魔眼』を使われた可能性を考え、うずくまりながらも自分のステータス画面を開く。

 デバフが全く付与されてないので結果としてエクレアは『呪言』も『魔眼』も使ってない事はわかるも……


 チラ見したエクレアは先ほどの可愛らしい姿とは一転、にやりと口を三日月のごとく歪ませながらアシュレに向かって『勇者様チョロ過ぎじゃね』とぼやいていた。そんな姿をみてしまった事で……


(あーそうだった。あの子は癒しとは程遠い性格してたんだ……酒場で散々本性みていたのに、何期待してたんだよ俺は)


 そう気付いてしまうと、一気に萎えてしまうケバブであった。


 だが……



 ケバブの反応……チラ見して萎えてしまった反応すらも含めて悪戯大成功っとばかりな小悪魔的な笑顔でくすくす笑うエクレアもこれはこれで可愛らしかった。

 少なくとも先ほどのやりとりは妹の可愛らしい悪戯レベル。『呪言』や『魔眼』とは違ってあからさまな悪意を込めてない。十分許せる範囲であろう。


 ただこれが計算づくだとしたら……そう思うとエクレアがとんでもない魔性の女にみえた。


 そんなエクレアの恐ろしさを改めて肌身で感じた事で、再度戦慄が走るケバブであった。




「さてっと、アシュレお姉ちゃんのせいでちょっと脱線しちゃったけど改めて口止め料の報酬を決めよっか。何を希望する?か」


「あ、あぁ……本当に脱線ばかりだけど報酬は別になんでもいいんだよな?」


「モノによるかな。勇者様にふさわしい伝説の聖剣は無理だけど切れ味の鋭い日本刀ぐらいなら大丈夫。もちろん俗っぽくポテトチップスとコーラという禁断の組み合わせ食べ放題でもいいよ」


「そ、それは惹かれるものあるけど……エクレアちゃん。君が得たチート能力を聞きたい。中に居る化け物含めて」


 その報酬は意外だったようだ。エクエアは「えっ?」とした顔のまま固まった。

 ただ、ケバブとしてもダメ元で聞いたものだ。無理なら無理で別のお願いと思ってたら


「………それ、いろいろと落ち着いた後で話すつもりだったけど」


 エクレアは自分の能力の事を無条件に明かす気だったようで、拍子抜け的な意味での「えっ?」であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ