表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/161

8.私 の 怒 り が 有 頂 天 に 達 し た

 馬鹿には今までの件でイエローカードやレッドカードは出てたが、逆にいえばレッドカード程度で済んでいたともいえる。

 馬鹿が勝手に騒いでるだけという、妄想に取りつかれた馬鹿として非公式に処理できたが……


 冒険者ギルドに依頼した時点でもう妄想では済まされない。

 冒険者ギルドは所属する冒険者に害悪が及ばないよう不審な依頼は必ず裏を取る。

 裏取りのため侯爵家へ確認を取る。

 っというか、ギルドが確認という名前の保留にしなければ、あの馬鹿がギルド内に詰めていた冒険者からなぶり殺しにされかねないぐらいの緊張状態となってたのだ。

 『馬鹿に対してどうしますか?』とギルドは緊急時以外には使えない通信魔道具で侯爵家に連絡してきたのだ。


 返事は『馬鹿の逝かれた妄想』と断じた。

 マドレーヌ個人ではなくスイーツ侯爵家として毅然な態度で馬鹿を処断した。


 穏便に済まそうものなら侯爵家そのものが舐められる。レッドカードではなく地獄行きの片道切符、罪人奴隷として鉱山行きの切符を渡すしかないのだ。



 その切符を先ほど辺境から護送されてきた馬鹿に渡してきたところだ。


 一応馬鹿にも弁明する権利はあるので報告は聞いた。聞いたが……聞いてすぐマドレーヌは後悔したのだ。


 馬鹿の言い分はめちゃくちゃだ。

 どんだけ勘違いしてれば、どんだけ妄想してればあんな発想ができるのか……

 控えていた面々が殺意の波動を漏れ出す中、マドレーヌは殺意どころか表情一つ変えずに耐えていた。

 エクレアが悪魔だなんてトチ狂った発言も『毒花畑ヒロイン』街道真っ最中なら仕方ないっという前提知識があったからこそ耐えれたが……


 そんなマドレーヌにも限界はあった。

 鉱山行きが決まったのに馬鹿は今だ現実をみなかった。

 侯爵家の威厳がどうとか貴族の体面がどうとか今だに現実を理解せず喚く馬鹿にマドレーヌはついにぷっつん。









 私 の 怒 り が 有 頂 天 に 達 し た。








 気が付いたら握りしめた拳を……無意識に魔力を纏った雷属性の左を馬鹿の顔面にぶちこんで黙らせていた。

 侯爵令嬢としてはしたない行為だったが、それでもぶん殴っていた。

 顔面ぶん殴るなんて初めてだから加減もわからず、気が付いたら血塗れの左拳に青ざめた。

 自分の血なのか馬鹿の血か判別できず、ずきずきとした痛みでパニックとなり大慌てとなるも……


 その姿は現場に居合わせてた側近二人(マロンとカロン)に商会長や護衛の方々、さらに憲兵の皆から



『よくぞぶん殴った!!』



 と言わんばかりに拍手喝采が送られるなど、マドレーヌの印象を良い方向で変えてしまったようだ。






 その後は顔面血塗れで気絶した馬鹿がドナドナよろしくに鉱山へ向けて出発したのを見送った事でようやく終わったこの一件は一言でいうと




「はぁぁぁ………どうしてこうなったのよ」



 であろう。






 この一件は大きくなり過ぎてしまった。

 今まで貴族のごり押しは数あれど、エクレア本人に逆恨みをこじらせて襲撃するような連中はほとんどいない。

 そこまで企むような馬鹿な貴族は一握りだし、それでも私兵とかギルドを通さず冒険者に直接依頼とか代理を立てるとか足が付かないような裏工作ぐらいはする。

 そんな知恵すらまわさず直接冒険者ギルドで依頼するなんて究極の馬鹿は侯爵家のみ。



 辺境を出入りする商人は多い。この一件は商人経由でそれなりに出回ってるだろう。

 信用第一の商人は馬鹿ではない。大半は勝手に侯爵家を名乗って暴走した馬鹿の末路か侯爵家を妬んだ他の貴族のお粗末な陰謀として笑い話にするのだろうが貴族はそうでもない。

 冤罪ではなく真実だと思ってる貴族もいれば、冤罪とわかった上で陥れるチャンスとする貴族もおり、彼等はこぞって広めるだろう。

 スイーツ侯爵家は『味噌』と『醤油』の製作者の弟子にとんでもない無礼を働いたっと社交界に広めるだろう。


 とんでもない致命的失態(ファンブル)だ。



 今後は社交界での発言力が低下っというこの大事な時期に父の陣営の足を引っ張ってしまう事間違いなしである。




「不幸中の幸いとして両親は貴族社会だとよくあるっと笑い話にしてくれた事。この一件を勉強代と思って今後も精進するようにっと咎めることなく許してくれた事と……エクレア本人の所在地と現状がわかったことかしら……

 後はレシピが手に入ったわけだけど」


 マドレーヌは改めてレシピを……『味噌』と『醤油』の材料が記されたレシピをみてげんなりとした顔になる。


「そのレシピに何か不都合あるのですか?」


「たぶん書いてる内容は本当よ……エクレアにとってでたらめ書く理由ないと思うから」


「じゃぁそれさえあれば『味噌』と『醤油』が作れるんだろ。現代知識を持つ俺達なら再現」


「出来たらね」


 マドレーヌはカロンの呑気な発言を遮るかのようにレシピをピンっと指ではじくようにして投げる。

 手渡しはしない。このレシピみたらもうそんな気力でないのだ。


「随分雑な渡し方ですね」


 姉のマロンが落ちたレシピを拾い、それを弟のカロンが後ろからみて………




 固まった。



 目が点になった。

マドレーヌの寿命がストレスでマッハちう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ