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7.なぜお前がそこにいる!!

ヒロイン「いつも( ^∀^ )ニコニコ あなたの隣に這い寄るなんとやら( ~゜∀゜)~」

「あーあの男……なんで私はあんな馬鹿を信用してしまったの」


 マドレーヌがあの馬鹿に託したのは個人的な要件であった。貴族としての権力は一切使わない、何でも屋として様々な雑務を引き受けてくれる冒険者ギルドに依頼してもいいようなもの。

 魔女の弟子にマドレーヌ個人の手紙を渡すだけっという簡単なお使いミッションなのに……


 それをどう勘違いしたのか、あの馬鹿は侯爵家の代理人になっていた。

 侯爵家が一切認めてないのに侯爵家の代理人を名乗ったのだ。




 そんな馬鹿がやらかした案件の一つ


 『味噌』や『醤油』は流通少ないとはいえ現地にいけば制限付きながらも販売はされている。運が良ければ村人が作る量産品ではない、製法を熟知している弟子が直々に手間暇かけて作り出した品質の高い『味噌』や『醤油』が販売所に出される事がある。

 もし手に入ったら特別ボーナスを出してもいいと言ったが……


 ボーナスに目がくらんだのか、あの馬鹿は権力を使って確保に走ったのだ。

 販売所で最後の一つを運良く手に入った行商人に思いっきり脅迫したのだ。


 この時点で相当なやらかしなのだが、馬鹿のやらかしはまだ終わらない。

 次が二つ目の案件。



 脅迫を見かねて注意してきた販売所の売り子だった少女に対して、これまた権力で黙らせようとしたが……その売り子の少女こそが魔女の弟子である、エクレア本人だったのだ。


 知らされた時は驚いた。








(なぜお前がそこにいる!!)









 思わずお嬢様言葉ではない素の口調で突っ込み入れてしまう程に驚いたが……あろうことかあの馬鹿は毒花畑に踏み込んだのだ。

 貴族や王族に対してすさまじいまでの憎悪を抱いてる『毒花畑ヒロイン』のフラグが立っているエクレアに喧嘩吹っ掛けるような真似を行ったのだ。




 幸いな事に同行してた護衛の冒険者曰く、エクレアは高圧的な馬鹿相手の売り言葉を買う事なく冷淡な態度を貫いてたらしい。

 ただ冷淡といっても馬鹿に託してた手紙……マドレーヌが魔女の弟子充てに託していた手紙を受け取るなり、その場でびりびりに破きながら。




“残念。これで手紙紛失しちゃったから依頼失敗になっちゃったね”





 そう笑顔で言い切ったらしい。


 これはこれで割とアレな対応だが、別に咎めない。


 っというか咎められない。


 むしろ咎めたらだめだ。


 こればっかりはエクレアの気持ちもわかる。礼儀の観点からみたら失礼であっても、最初に礼儀を欠いたのはこちらだ。無礼には無礼で返すのは心情的に理解できる。

 『お花畑ヒロイン』のエクレアならともかく『毒花畑ヒロイン』のエクレアならこれぐらいの意趣返しは行う。



 だというのに……あの馬鹿は激怒した。

 侯爵家に泥を塗る行為だと激怒した……


 『泥塗ってるのはお前だこの馬鹿!!』っと突っ込んでやりたい。

 手紙は確かに侯爵令嬢であるマドレーヌの直筆ではあるも、侯爵家の印はないのでそこに権力などない。

 あくまでマドレーヌ個人の書いた手紙であって侯爵令嬢マドレーヌ・スイーツの手紙では断じてない。




 この時点でもう退場ものだ。

 イエローカード2枚で退場ものだったのに、馬鹿の愚行は止まらなかった。

 次が3個目、レッドカードもののやらかし。



 馬鹿は激情のあまり、護衛の冒険者にエクレアの処断を命じた。

 侯爵家の代理人として冒険者に処断を命令したのだ。



 こちらも幸いな事に、護衛の冒険者は常識人だった。

 彼等は冒険者ギルドを通して雇われた護衛。依頼内容である護衛以上の事はできないっと突っぱねた。侯爵家の命令であろうとも、突っぱねた。

 それどころか、馬鹿の脳天をぶん殴ってまで止めてくれた。


 護衛対象をぶん殴る。これは護衛として考えると問題行動であっても、年端の無い少女に処断を命じる依頼人の方が問題大ありだ。

 殴ってでも止めてくれた冒険者はまさにファインプレイといえよう。

 なのでエクレアも護衛には素直に感謝と同情までしてくれたようで、こっそりと『味噌』と『醤油』の材料を示したレシピを託してくれた。

 『馬鹿の手柄にならないよう護衛の皆さんの手で渡してね』っと割といい笑顔で言いきったそうだ。


 渡す時にエクレアは少し内情をぼやいてたが、どうやら彼女の元にはああいう貴族からの催促がよく来て辟易していたらしい。そういった輩には『味噌』と『醤油』の材料を記したレシピを渡して黙らせてるようだ。


 あくまで材料のみで製法までは記してない。さらに暗号化してるから後はそっちで頑張ってねっというメッセージだそうだが………

 護衛はそのレシピと共に今回の一件の詳細を記した報告書を馬鹿への面会前にこっそり渡してくれた。

 おかげで馬鹿のやらかしが事前で知れた。諸々のファインプレイやフォローをしてくれた彼等には特別ボーナスを進呈。今後も懇意にしておこうと思う程度に仲良くなった。



 その報告書にあった馬鹿の最後のやらかし。

 イエローカード2枚に加えてレッドカードまで出てたのに……あの馬鹿はまだ止まらなかった。

 もはやレッドカードですら止まらない、地獄めぐりの片道切符を渡すしかないやらかしがあった。


 その内容は……




(あの馬鹿……まさか冒険者ギルドにエクレアを襲撃するように依頼するだなんて……しかも侯爵家の名前まで使うなんてどんだけやらかしてくれちゃってるのよ)

人それを『手の込んだ自殺』という

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