5-11.開拓団(10) 両手の手のひら
絵は昔書いたものの再利用です
お嬢様、なぜか魔法について調べています。
……そして、なぜか、フラグを立てます。
フラグが立ったら、回収するのが良い作者なので、良い作者になるためにフラグを回収したいと思います。
いつか……きっと……
いえ、そんなに遠い話では無いと思います
(フラグ)
手のひらに印ができたのは右手だけ。左手にも現れるのだろうか?
そう考えて火炎輪の印を書いた木の板を左手で使い続けると、左の手のひらにも円が残った。
火傷と関係なくできたもので、やはり、リタにしか見えないようだ。
リタは何度も練習したが、魔女様のように好きな場所に火炎輪を出すことはできなかった。
必ず手のひらから出る。
左手からも出せるようになったが、やはり魔法が出るとき、手のひらに印があるように思える。
リタ(マルグリット)は、印を書き写した板を使わずに魔法を使えるようになっても、結局、見たことのある印を手のひらで再現しているだけ。
つまり、リタ(マルグリット)は印を使って魔法を再現している。
これだ。
大聖女様が文字が読めなければ魔法が使えないと思った理由。
そして、文字が読めなくても魔女様が魔法を使える理由。
恐らく大聖女様は、魔法に文字を使っていた。
だから文字、或いは言葉で教えようとした。
ところが、魔女様は言葉では魔法を使えなかった。
だが、魔女様は文字を読めなくてもいろいろな魔法を使っている。
おそらく、魔法の使い方には、かなり大きな個人差がある。
魔女様がどうやって魔法を使っているかはわからないが、リタには印が見える。
魔女様にも印と言えば伝わるから見えているはずだ。
リタは偶然、火炎輪の印を使ってしまった。
だから印があれば使えることに気付いた。
魔女様は何もないところで魔法を使うことができる。
だから印の有無なんか気にしていなかった。
人それぞれ、こんなに大きな差があるのだ。
リタには子供の頃から町の大火炎輪の印が見えていた。
使い方がわかっていないときでも印が見えていた。
たぶん、他の人には見えていなかったのだと思う。
だから、リタ(マルグリット)の町に大火炎輪があることは知られていなかった。
お母様にはどのように見えていたのだろうか?
リタ(マルグリット)は、転移の印も見たことがあった。
町の近くにあるのだ。
転移の印が町の近くにあるということは、魔女様はそこまでは来ていたことになる。
一回ではないだろう。おそらく、町に入れずこの場所と森を何度か行き来した。
その跡が、この印なのだと思う。
魔女様はこの世界中の好きな場所に、いつでも行けるわけでは無い。
実は、行ける場所は数か所しかない。
その理由はすぐに分かった。印を調べればわかる。
実は、転移の印はどこに行くものも、ほとんど形が同じで、
場所によって変わるのは、極僅かな部分だけだ。
印で場所に相当する部分は4パターンしか作ることができない。
転移の印が正しければ、場所の指定をしなくても、森に戻る。
4種類のうちの1つは魔女様の森を意味する。
だから残る場所は3種類だけになると思う、
なのに、魔女様は町への転移ができた。
町に一回も入ったことが無いのに。
おそらく何度も町に入ろうとしたのだろう。
きっと寂しかったのだろう……
と思ったが、実は違った。
「うむ。ようわかったの。
実はサンドラに会いに行ったのじゃ」
てっきり、何のあてもなく町の近くまで行っただけかと思ったが、お母様に会おうとしていたのだ。
「サンドラが見えれば、そこまで行ったのじゃが、
高い壁があって見つけることができなんだった」
「そうだったのですね」
門番に魔女様が来たと伝えればお母さまは最優先で対応したはずなのに、それをしなかった。
まあ、魔女様がお母さま以外の人間を信用していなかったことは良く知っている。
「お母さまが見えたらどうするつもりだったのですか?」
「見えれば、そこに行けばよいではないか」
だったら、見えなくても門番に言えば良いのに……と思うと理由がわかった。
「見えるなら、そこに飛べばよいのじゃ」
「ああ、そういう魔法があるのですね」
見える場所に移動する魔法があるのだという。
印がわからないのでリタには使えないが。
たぶん、魔女様は、自分が望む魔法を作ることができるのだ。
何しろ、魔法の種類が多い。
リタ(マルグリット)が使えるのは、火炎輪と転移だけなのに。
リタ(マルグリット)には魔法は印に見える。
この印は、大聖女マリアンヌ様が見ると呪文に見えるのかもしれない。
或いは全く見えないか、言葉として聞こえるのかもしれないと思う。
魔女様が使った魔法の跡は私には印に見えるが、魔女様は印を見てどの魔法かを見分けることはできなかった。
印があるのはわかっても、魔女様には別の形で見えているのかもしれない。
リタ(マルグリット)は、印で魔法が使えるなら印を記した本があるはずだと思った。
だが、今は存在しない気がしている。
印で魔法が使える人間はリタ(マルグリット)以外にも存在するかもしれない。
でも、魔法の使い方は人それぞれ違うのかもしれないと思う。
リタ(マルグリット)は、右手だけでなく、左手でも魔法を使えるようになったが、
両手を使うと両手から同じ魔法が使えるだけだった。
リタ(マルグリット)が、今調べたいと思っているのはこんなところで、一区切りついた。
リタ(マルグリット)は魔女になりたいわけではない。
魔法なんか使えたら、望まない方向に発展してしまう可能性がある。
だからもう、魔法を使うのはなるべく控えようと思った。
※フラグ




