表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/175

スバロキアの戦い・開幕

 銀河共和国軍第1艦隊及び第2艦隊は、惑星スバロキア付近の宙域へと進出。

 スバロキアの衛星軌道上に浮かぶ巨大砲台に向けて艦隊を進めた。


「こうして見ると、やっぱりデカイな」

 旗艦インディペンデンスの艦橋にてジュリアスが呟く。


 巨大砲台の周辺には、砲台は丸裸とでも主張したそうに軽く7個艦隊規模はあるだろう護衛艦隊が展開している。


「敵艦隊は元帥閣下の予想通り砲台周辺に展開していますな。しかし、戦力はこちらの3倍以上はあります。仮にシールドが無かったとしても砲台を破壊するのは困難を極めるでしょうな」


 ハミルトンが真剣な面持ちで言うと、ジュリアスは静かに笑みを浮かべる。

「ふん。不利は百も承知さ。それにだからって引き下がるわけにもいかないだろ」


「ふふ。そうですな。ネオヘル軍はかなり強力な妨害電波を出しています。おそらくこちらのセンサーで砲台を覆うシールドの存在を悟られないようにするためでしょう」


「これなら通信は近距離か有線式に限定される。レーダーもほぼ役に立たない。少し不便ではあるけど、こっちの作戦としては都合が良い」


「確かに、これであれば僅かながらも勝機も見えてきたと言えるでしょう」


「全戦機兵(ファイター)部隊を出撃!砲撃戦では敵に分がある。いち早く敵の懐に飛び込んで接近戦を仕掛けるんだ!」


 ネオヘル軍のビスマルク級宇宙戦艦とフォートレスはどちらも砲撃戦に重点を置いた兵器であり、距離を置いての戦いでは、自分達の不利は免れない。

 そう考えたジュリアスは、スピード勝負に出るしか自分達が勝つ術はないと判断したのだ。


 艦隊からライトニング部隊が次々と出撃し、各々で編隊を組む中。


「敵艦隊より砲撃きますッ!」


「何だと!?」

 ジュリアスが思わず声を上げる。

 共和国軍のインディペンデンス級よりもネオヘル軍のビスマルク級の方が有効射程距離は長い。

 なので正面から戦うとなると、どうしても先手はネオヘルの物になってしまう。

 それは仕方がない。だが、だとしてもその有効射程にすらまだ入っていないはず。

 今から砲撃をするのは、あまりに早過ぎる。


 解き放たれたエネルギービームは、第1艦隊を構成する1隻のインディペンデンス級の装甲に命中した。

 艦は撃沈される事は無かったが、その損傷は決して安いものではない。


 一体どこからの砲撃なのか。

 ジュリアス達は一瞬困惑した。


 しかしこの答えはすぐに、旗艦インディペンデンスの艦橋に設置されているメインモニターに映し出される。


 ネオヘル軍艦隊の中央に陣取っている、ビスマルク級とよく似た形状、しかしビスマルク級よりも一回り大きな宇宙戦艦。


「あれが報告にあったネオヘルの新造戦艦グローリアスか」


 ネオヘルは共和国軍との戦争の激化に備えて、ビスマルク級を超える大型戦艦を建造している。

 という情報は、以前から共和国軍にももたらされていた。

 おそらくこの大型艦が情報にあった新造戦艦に違いない。


 共和国軍が状況を確認している間に、その大型戦艦グローリアスから二撃目が放たれる。

 その砲撃も命中こそしたが、艦を撃沈する事はなかった。

 どうやら射程距離の長さと砲撃の精確さは高いようだが、破壊力自体は従来の艦砲と大差無いらしい。

 ただ、ここから更に距離が縮まって至近距離から直撃を受けた場合はどうなるか分かったものではない。


 そして、この二撃目は攻撃開始の合図でもあった。

 他のネオヘル軍艦隊とフォートレス部隊が一斉に攻撃を開始してビーム砲の雨を共和国軍艦隊に向けて放つ。


「損傷した2隻は後ろへ回せ! 各艦、エネルギーシールドの出力は艦首方面に集中させろ! 背後の守りは薄くなっても構わん! とにかく前を守れ!」


 共和国軍艦隊は、ネオヘル軍艦隊の集中砲火を浴びながらも、最大戦速での前進を続けている。


 それを迎撃すべくネオヘル軍艦隊も前進して正面から衝突した。


 両軍の戦闘は戦機兵ファイター同士による格闘戦ドッグファイトをメインに展開された。


 近距離からの白兵戦を主戦術とするライトニングと遠距離からの射撃戦を主戦術とするフォートレスの戦いは、どちらが自分の得意とする形で戦えるかが勝敗を決した。

 一度間近にまで迫ってしまえば、ライトニングの勝利はほぼ決まったようなもの。逆に接近するまではフォートレスに分がある。


 そのような形で格闘戦ドッグファイトは一進一退の激戦が繰り広げられた。

 しかし、数の差は歴然であり、ライトニング部隊はやや不利な状況に立たされる。


「元帥閣下、これでは我が軍は包囲されてしまいます!」


「堪えろ! これも作戦の内だ!」


 ハミルトンの指摘はジュリアスもよく分かっていた。

 しかし、今は堪えるしかない。

 なぜなら自分達は敵の注意を引くための陽動なのだから。



─────────────



 共和国軍とネオヘル軍が激しい戦闘を展開する中、惑星スバロキアの裏側を航行する艦隊の姿があった。

 それは共和国軍第3艦隊である。

 ネオヘル軍が発した強い妨害電波の影響のおかげもあって、未だ敵に発見されていないこの艦隊は、今まさに奇襲作戦を実行しようとしていた。


 かつて銀河帝国軍時代にはエンタープライズ級宇宙空母を旗艦として空母艦隊とも呼ばれたこの艦隊も今では、インディペンデンス級宇宙戦艦7隻という編成で第1艦隊と第2艦隊と大差ない艦隊編成となっている。


 それはインディペンデンス級の高い母艦能力が評価された事。

 そして空母の欠点だった単艦での戦闘能力の低さが問題視されるようになった事。

 などが挙げられた。


 とはいえ、空母艦隊という異名は失っても、共和国軍の決戦戦力として第3艦隊は今も健在である。


 そんな艦隊を指揮するアレックス・バレット大将は、攻撃目標が目前に迫ると指示を飛ばす。


「全戦機兵(ファイター)を出撃させろ! 本隊もそう長くはもたない! 我が艦隊が敵要塞のシールド生成器ジェネレーターを破壊し、その足で砲台周辺の敵艦隊の背後を取る!」


 バレット大将の乗艦する旗艦レキシントンから指令が各艦に通達された。


 格納庫から次々と発艦するライトニング部隊は、ネオヘル軍のレーダーを極力回避するために、惑星の影に潜みながら低空飛行で飛翔する。


 そしてそんなライトニング部隊の前に、惑星にへばりついているアルヴヘイム要塞の巨大な足が姿を現す。


「な、何てデカさだ」


 パイロットの一人がそう声を漏らす。


 その時だった。

 要塞守備隊で警戒に当たっていたフォートレスがライトニング部隊を発見。

 そのフォートレスに搭載されている戦術AIはすぐに要塞のデータベースにアクセスして警報を発する。


 こうして要塞付近でも戦闘が開始された。


「怯まずに進め! 戦力はこちらが不利なのだ! 要塞内から敵の増援が出る前に決着を着けるぞ!」


 バレットはそう言って勇猛果敢な指揮ぶりを披露する。

 しかし、元々射撃戦特化のフォートレスは攻勢よりも守勢を得意とする機体だった。それが要塞の分厚い対空砲火という支援を得た時の破壊力は強力であり、ライトニング部隊はその火力とスピードを存分に活かせず苦戦を強いられる。


「敵要塞の対空砲を艦砲射撃で破壊しろ!要塞はシールドが張られていない!命中せずとも砲台をエネルギービームがかすめただけで無力化できるはずだ。撃って撃って撃ちまくれ!」


 この攻撃により要塞の表面に設置されている対空砲台が次々と破壊された。

 これで対空砲火も減り、ライトニング部隊も多少は戦いやすくなるのだが、別の効果も表れた。


 それはフォートレスの動きである。

 フォートレスに搭載されている戦術AIには要塞の防衛が最優先事項として設定されていた。

 そのため、目の前のライトニング部隊から、要塞を艦砲射撃で直接攻撃している第3艦隊へと攻撃の優先目標が移ったのだ。

 攻撃目標を対峙しているライトニング部隊から第3艦隊へと移行し、艦隊への攻撃に向かおうとしたその僅かな隙。

 ライトニングに乗る歴戦の勇士達は、そこを見逃さずにフォートレスを易々と撃墜。

 迎撃に出てきたフォートレスの半分近くを排除する事に成功した。


 これには旗艦レキシントンも喝采の声が上がった。

「もう一押しで敵陣を破れますな、提督!」


「ああ。……ネオヘルめ。安物のドローンなどに頼っているから、こういう事になるのさッ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ