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10 金の使い方-2

「か、閣下。流石にそれはどうかと、、、」


恐る恐るといった雰囲気でヒムラーが口を開く。


「なぜだ、ヒムラー?私が指示して、私が指揮権をもつ部隊を動かしたのだ。何が問題なのだ?」


そう俺が言うと、皆が顔を見合わせる。


(ん、なんか間違って伝わっているか?)


かましで言った発言ではあるが、それにしても想像以上に皆の反応が悪い。


特に軍人サイドからの視線には冷たさを感じる。


「閣下、一応確認させて頂きたいのですが、その様な莫大な資金を何にお使いになるつもりですか?」


シャハト大臣がやや目を細めながら問うてくる。


「そうだな、一つ目はトラックのリース事業を行う」


は????


再び皆の目が点になる。


「、、、トラックのリース事業とはなんでしょうか?」


珍しくややポカンとしながらシャハト大臣が聞いてくる。


「うむ、それはだな」


俺は詳しく説明する。


ライヒにこれから1番足りなくなる物は何か?


それは内燃機関の製造能力だ。


これを補うにはどうすれば良いのか?

答えは海の向こうにある。


自動車産業の振興だ。


事実でもどこまでそれを見越したのかは分からないが、ライヒは多くの半官営の自動車工場を建造した。


オペル社のブランデンブルク工場やフォルクスワーゲン社のヴォルフスブルク工場がその筆頭と言える。

この世界でもブランデンブルク工場は既に完成済みであるし、ヴォルフスブルク工場も絶賛計画中だ。


来月からヴォルフスブルク工場の建築計画も本格的にスタートとなる。


アメリカのフォード社を視察していたポルシェ博士がライヒに戻ってくるのだ。

フォード社といえば言わずと知れた大量生産のメッカだ。


俺と(と言うよりちょび髭と)ポルシェ博士はビートルを1000マルクで販売することを目指している。


ほぼ不可能な目標とすら言えるが、それに一歩でも近づく為には効率の良い量産が不可欠だ。


だが、ライヒには高品質の物を少量作るノウハウは十分にあるが、一般的な品質の物を大量に作るノウハウはあまり蓄積されていない。


そこで大量生産のノウハウと製造装置を保有している会社に伝授を乞おうというわけだ。


そしてそこで白羽の矢が立ったのがフォード社なのである。


幸いにもフォード社長はライヒに寛容な姿勢をとっていてくれている。

同情的とすら言える。


そんな訳でフォード社に生産ノウハウの伝授と工作機械の売却を交渉しに行かせていたのだ。


(まぁ、これに関しては成功を疑ってないがな)


史実でも成功しているし、むしろ大型戦艦の建艦を中止したりユダヤ人排斥を鈍化させるなどしているライヒは史実よりは国際的に孤立していない。


(まぁ、比較的といった感じに過ぎないけどね・・・)


一方的に再軍備を開始したり、非武装地帯のライン地方に派兵をしたり、ベルサイユ条約の賠償金の支払いを反故にしたりとライヒはヘイトをかうムーブをかなり重ねている。


とは言え、まだアンシュルスもズデーテン併合もしていない今ならギリギリ工作機械を売ってくれるだろう。


だが流石に『軍需工場建設に使うんで、工作機械ってください!』なんてまともに言おうものなら総スカン食らう事間違いない。


流石のフォード社長も『協力できるかそんなもん』とお怒りになる事間違いなしだろう。


(そこでトラックというわけだ)


民生用トラックの生産というお題目であれば、輸出を認めてくれるはずというのが俺の読みだ。


その辺りのことを俺は居並ぶ高官達に丁寧に説明する。


俺の説明をきき、一同はなぜか安心したような顔をした後、ある者は難しい顔をし、ある者は興味深そうな顔をうかべる。


「なるほど・・・、ですが閣下。現状既にトラックの購入に補助金を出したり、税を免除したりと多くの優遇措置をとっております。これが現状でもかなり充実した補助内容となっており、各トラック製造会社はバックオーダーを抱える状態と聞き及んでおりますが」


そう口火を切るのはクロージク大臣だ。

それにシャハト大臣も同調する。


「そうですな、クロージク大臣のご指摘の通り

ライヒのトラック製造能力はパンクしております。トラック工場建設に注力するのは結構かと思いますが、どこの会社に投資しますか?」


『これ以上のオペル社への投資は市場バランスがおかしくなります』と、牽制を入れながらシャハト大臣が述べる。


オペル社はブランデンブルク工場の建設で、もともとライヒの中では頭ひとつ抜けていた競争力を更に高める事になった。


実はオペル社はアメリカのGMの子会社に近い存在といえる。

だからこそ大量生産のノウハウは元から持っていたし、作る製品ももとからダイムラーやハノマークといった他のライヒの会社よりもかなり安い。


そんなもとから競争力を持った会社を更にライヒは後押ししたのだ。


今は需要が供給を上回っているので他の会社もバックオーダーをかかえ好況に湧いているが、市場の調整局面がきたらオペル社以外は全滅しかねない。


現状ですらそんな状況であるから、更なるオペル社への出資をシャハト大臣が懸念するのも当然と言えよう。


「シャハト大臣。新たに製造するトラックはダイムラーに任せるつもりだ」


「閣下。それですと政府が出資するブランデンブルク工場といずれバッティングすることになるのではありませんか?」


シャハト大臣がやや目を細めながらそう言ってくる。


(相変わらずどことなくふてぶてしいよな)


そんな事をこれくらいで思ってしまうあたり、俺も独裁者という役柄に染まってきているのかもしれない、、、


(注意しないとな、、、)


そんな事を思いつつ、シャハト大臣に俺は言葉を返す。


「その点は大丈夫だ。ブランデンブルク工場では中から大型トラックを生産しているが、ダイムラーには大型トラックを生産してもらう」


「大型とはどれくらいですかな?」


ブロンブルク国防大臣が口を挟む。

有事に軍事転用できるか気になったのだろう。


「そうだな、車両寸法などは細かいところはメーカーに詰めさせるが、6mコンテナを積載もしくは12mコンテナを牽引できるトラックを製造させる」


「・・・それはつまり」


「そうだ、50トン牽引可能な250馬力エンジン搭載の超大型トラックだ」


「「「?!・・・・」」」


本日2度目の絶句をする高官達が俺の前に居並ぶのだった。

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― 新着の感想 ―
ポルシェ博士「そこでこのハイブリッドエンジンお勧めですよ」(ニッコリ)
確かに、250馬力のエンジンを量産できなければ25トンの戦車を量産できないか。 目指せ700馬力のタイガー2。どうせそれ以上はクラッチが持たん。
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