8 カルタヘナ奇襲-3
「くそ、何が正面から陽動をかけるだ!いい恰好しやがって!」
『チィッ』と鋭い音がなり、近くの岩がはぜる。
悪態をついていたトーマスがあわてて頭をさげる。
「くそ、まったくだ!」
俺もトーマスに叫び返す。
俺たちは正面から敵基地へ攻撃を仕掛けていた。
先ほどまでの静けさが噓のように銃弾が飛び交っている。
(とはいえ、確かにこれ以上の隠蔽浸透は無理か)
岩肌に開いた洞窟の入り口を取り囲むように敵基地は設営されている。
全周防御に近く、弱点部からの浸透突破は困難を極めそうだ。
「やばいな、あまり手間取ると敵増援がくるぞ」
そう言うトーマスの声には焦りがまじる。
俺たちも敵機関銃座に撃ち返すが、MP28の弱点がここにて露呈している。
(くそ、拳銃弾だと威力不足だ)
反動がマイルドで連射がきくMP28は近接戦闘でこそ真価を発揮する。
固定された機関銃座との打ち合いにはあまり向いていない。
「お前たち、そろそろのはずだ備えろよ」
手元の時計をちらっと見ると、もうじき大男が指定した時間だ。
ドーン!!
不意に敵基地の中から爆発音が響く。
「よし!撃て!」
分隊長の叫び声と共に、機関銃手のMG34が火をふく。
ダダダダ!
「うぉッ」
俺は思わず変な声をもらす。
(あいかわらずなんて射撃速度だ)
MG34は陸軍にも正式配備が始まった新鋭の機関銃だ。
SSには最新の機材が優先配備されており、分隊付き機銃手にはMG34が支給されている。
ひそかに射撃位置についていたMG34は敵のヴィッカース重機関銃を圧倒した。
MP28の低威力弾に次第に慣れていた敵は、MG34の急な弾幕に肝をつぶしたようだ。
「突撃!」
敵がひるんだのを見て分隊長が突撃の号令をかける。
「いくぞ!」
「あぁ!!」
トーマスと俺もMP28を構えて敵基地に突進する。
MG34に頭を下げさせられた敵も、接近する俺たちに気づく。
あわててこちらに銃口を向けてくるが、もうすでにここはMP28の間合いだ。
タタタタッ
MP28は設計通りの役割を果たし、近距離の敵小銃手を圧倒する。
乱戦になったらこっちのものだ。
敵基地は瞬く間に我がSSにより制圧されていった。
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「おい、クラウス。お前にはこれがボリシェヴィキの武器にみえるか?」
「・・・まぁ、武器にかわるかもしれないブツなのは間違いない。」
俺たちは敵基地を制圧後、洞窟内の敵も掃討していった。
文字通り袋のネズミ状態になった敵は、多少の抵抗はしたが程なく制圧は完了した。
そして洞窟内を奥へと進み、ボリシェヴィキから送られてきたはずの武器を探したのだが、ここに武器はなかった。
「そりゃそうだ、このブツは何にでも形を変えられる。なんせ金だからな」
武器はなかったが、それよりもえらいもんが山ほどあった。
見た事もない量の金だ。
延べ棒・コイン・インゴット。
その形は様々だが全部まぎれもなく金だ。
そんな金が詰め込まれた箱が洞窟をくり抜いた部屋に延々と並んでいる。
俺たちは目の前に広がる光景に呆然と立ちすくんでいた。
普段は俺たちをどやしてくる分隊長も啞然としている。
「おい、お前たちボヤボヤするな!さっさと外に出るぞ!」
フリーズしている俺たちに小隊長からの檄がとぶ。
(ん?小隊長はまったく動揺してないな・・・)
俺は小隊長の様子に違和感を覚える。
「小隊長殿。この金はいかがいたしましょうか?」
分隊長も違和感を覚えていたようだが、今後の方針を小隊長に確認することにしたようだ。
「諸君らには黙っていたが、これは想定内である。我々は現場を回収班に引継ぎ直ちに防衛線の構築を実施する。回収には丸3日かかることが予想される。それまで我々は防衛線を保持しなければならない。」
「マジですか」
ぼやくトーマスを分隊長が鬼の形相で睨みつける。
「3日ですか・・・補給があればなんとかなると思いますが、むしろ3日でこの金の山を動かせるのですか?」
分隊長がもっともな質問を投げかける。
「それは回収班のお手並み拝見だな」
ニヤッと笑って小隊長が答える。
(なにか知ってるようだが・・・軍機なのだろうか)
もったぶってなにも答えない小隊長に少し苛立ちを感じつつ俺たちは洞窟を出るのだった。
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「おい、ありゃ一体なんだ」
トーマスが呆けた声をあげる。
「こいつは・・・凄いな」
俺たちは一旦海岸線付近まで戻っていた。
頼りになるMP28も野戦での防衛ともなるといささか心もとない。
フルサイズ小銃のKar38kを受領しに戻ったのだ。
そこで目にしたのは信じられない速度で整備されつつある上陸拠点だった。
俺たちを乗せてきた母船より一回り大きい船が沖合いに泊まっている。
さらにはその船のまわりにイタリア海軍が軍艦を展開させている。
そしてその船の後部からは次から次へと大型の上陸艇が滑り落ちてきており、兵員を満載してこちらに向かってきている。
「・・・これなら3日は大丈夫そうだな」
唖然した声で分隊長がつぶやいた。
「「そうっすね」」
図らずも、トーマスと俺はハモって答えていた。
タイトルがギャグっぽいとの意見をたまに頂きます。
ガラッと変えるかどうするか悩み中です。
よければご意見お願いしますm- -m




