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25 ズデーテン併合-1

「どうですか大臣!これが、これこそが我らが総統閣下なのです!」


めちゃくちゃドヤ顔でリッベントロップがノイラート大臣に言う。

それを聞いていたヒムラーが『俺が言おうとしていたのに!』と言いたげな顔でリッベントロップを睨みつける。


「ぐぬぬ」


(いや、ほんとに声に出すんかい!)


オッサンのぐぬぬなど可愛くもなんともない。

なんとも言えない生ぬるい気持ちになる。


「そうですね。流石は総統閣下です」


興奮しきった様子のリッベントロップに対し、ノイラート大臣は冷静だ。

それどころか大臣はぶっとい釘を取り出し


「ですが、もう次はないでしょう。今回の一件で英仏との外交関係は最悪です」


『特にフランスですが』と付け加えながら、俺に刺してきた。


「いやいいのだ、お前たち。私もそれはよくわかっている。これで本当に終いだ」


俺に苦言を呈した大臣にリッベントロップたちは嚙みつこうとしたが、俺はそれを遮ってそう大臣に告げた。


「大臣が懸念している通りだ。この辺りが血を流さずにやれる限界だ。これ以上を望むのであれば血を流す覚悟がいる」


そう言うと俺は各軍の司令官をみやる。


「各軍トップの諸君らに聞くまでもなくライヒはまだ準備が出来ていない。機が熟すまでじっくりといこうじゃないか」


(まぁ、将軍達が考えるような機なんて熟さんだろうけどな)


と内心思いつつ居並ぶ閣僚にそう告げる。


ミュンヘン会談後、今後のライヒの方針を定めるべく主だった閣僚を集め閣議をひらいていた。

これまで全てをアクセル全開にして進めてきたが、見直しが必要だからだ。


『まだ戦争の準備ができていない』と俺とちょび髭党一派の強硬姿勢に批判的だった軍トップ達は安堵した顔をしている。


「おっしゃる通りです閣下。軍はまだ準備が整っておりません。あと2、3年程は頂きたいところですな」


と語るのはフリッチュ総司令官だ。それにレーダー提督とゲーリングも控えめに相槌をうつ。


(まぁ、そうだろうな。だが、こいつらはたしては分かっているんだろうか)


ライヒの軍備が整うのはその時期かもしれないが、ライヒの再軍備を英仏が黙ってみている訳がない。

ライヒにとって一番いいタイミングは必ずしも軍にとって最良のタイミングではない。


充足率100%の軍同士で戦いたいのかもしれないが、充足率70%の軍で充足率50%の敵軍と戦った方が勝ち目が出るといったものだろう。


「年限は私が判断する。ゲッベルス。国民へのプロパガンダはこれから少し変更しろ」


そう俺はゲッベルスに命じる。


これまでは民族自決を前面に押し出し、国民を煽るだけ煽っていたがここからは慎重な舵取りが求められる。


幸い、オーストリア併合とズデーテン地方併合で俺とちょび髭党への国民の支持は最高潮に達している。


代償に国際社会からの孤立も最高潮になってきてはいるが・・・


ともかく、この最高潮に達した俺の国民支持を背景に過激派達を押さえ込む。


そして俺の理想の国家体制にするべく政治面での調整を行っていくのだ。


「承知致しました。ですが閣下、本当にポーランド回廊の併合は断念されるのですか?」


ゲッベルスが恐る恐る尋ねてくる。


ポーランド回廊。


この時期ライヒにはポンメルンという飛地の地方が存在する。

先の大戦の敗北の結果、ポーランドにドイツ帝国の領土の一部を割譲した為にこの地方は飛地になってしまったのだ。


そしてそのポンメルン地方とライヒ本国との間の土地がポーランド回廊と呼ばれる地域となる。


ポンメルンまでの連絡路の確保という観点において軍事的に併合の必要がある地域でもあるし、元ドイツ帝国領土とだけあってドイツ系の住民も多く住んでおり、民族自決の観点からも併合への機運が盛り上がりやすい場所だ。


だが、これは勿論ライヒの理屈だ。


ポーランドからするとこの地域を取られる事はバルト海への唯一の間口を失う事に直結し、それは英仏からの支援から切り離され孤立化する事を意味する。


彼の国からしても絶対譲れない地域なのだ。


「断念する訳ではないが、今がその時であるかの確証は私にもない。今併合への動きをかければ来年には『ダンツィヒか戦争か』という選択肢を我々は迫られる事になるだろう」


俺の言葉に居並ぶ閣僚は息をのむ。


これまで俺は『戦争につながる』とか『戦争になったら勝てない』とかブツクサいう将軍達や大臣達に『絶対戦争にはならない。絶対成功する』と言い切っていた。


その俺が言うのだ『戦争になる』と。


「閣下の予想通りだとすると、是非ともゲッベルス大臣には国民を押さえ込んでもらわねばなりませんな」


『まだ戦争準備が整ってませんからな』と言いながらブロンベルク国防大臣がのたまう。


「総統閣下のご命令です。勿論全力で取り組ませていただきます」


ゲッベルスはブロンベルク大臣の発言をスルーして俺に直接答える。


「あぁ、頼んだぞゲッベルス。それからヒムラー、新たに併合したズデーテン地方の併合方針だが、オーストリアと同様の扱いとする。それと残るチェコスロバキア領土を編入する場合も同様の方針で望む」


今後のおおまかな外交方針を伝えた俺は、チェコスロバキアの統治方針に話の軸足を移すのだった。







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― 新着の感想 ―
「至急メーメルくれや」しないのかな?
「ブリキの太鼓」読まなくては、ってなってます(積ん読おじさん
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