140 『……あー』
私とるーるーさんは弟子をとるつもりは微塵もありませんが、甘ロリさんは取る気があるようです。
弟子を取るならこんな子がいい、という甘ロリさんの希望を聞きながら桜並木を進んでいくと、露店の数が次第に増えてきました。
通りの端に露店が並んでいる他の国とは、また違った趣がありますね。
なんだかこちらはお祭りみたいに見えます。
まあ、売っているのは武器防具や素材など、お祭り感はまったくありませんけど。
観光よりもまずは素材集めということで、一通り露店を各自見て回ります。
【首都リバス】は【首都メリス】と違って、王鉄鋼のようなレアアイテムが値崩れを起こしているようなことはないようです。
まあ、あれはかなり珍しい例だと思いますから仕方ないですよね。
それでも、【ザブリナ王国】では流通量が少ない素材の代用品が少し安く売っているのを見つけたのでラッキーです。
とはいっても、あんまり使わない素材だったんですけどね。
露店をしているプレイヤー開拓者に、桜などの和テイストな素材はないのか聞いてみましたが、やはりそういったものはないようです。
散った桜の花びらを素材にできればよかったんですけどねー。
オリジナルとして混ぜ込むこともできないみたいですので、残念です。
押し花なんかにしようとした人がいたみたいですけど、それすらできなかったようですので、武器や防具になんてもっと無理でしょうね。
ただ、他の国では売っていない『魔石球』は何個か購入しておきました。
掲示板に取得できる本の情報も書かれていますが、まずはどういったものか実際に使って確かめてみてからですね。
『魔導人形』の方にも応用できるのなら、姫ちゃんの負担を減らす一助になってくれるかもしれませんし、研究する価値はあるでしょう。
ただ、中には【ふろんてぃあーず】特有の技術で作られているものもあります。
そういったものは、オリジナルで改良を加えるのはかなり難しいんですよね。
るーるーさんがイベントのお菓子を再現するのに苦労しているように、オリジナルで再現するのですらかなり難易度は高いです。
それをさらに改良となると……気が遠くなる話かもしれません。
まあ、まだ特有の技術が使われているかもわかっていませんし、とにかく試してみるしかありませんね、
るーるーさんの場合も、イベントの景品の再現だから難しいのかもしれませんし。
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【タバリスト皇国】特有の素材をある程度買い込み、他にも珍しいアイテムや素材をたっぷり購入しました。
お金があるとはいえ、買いすぎた感は否めません。
このうちの何割かの素材は、倉庫の肥やしになってしまうんでしょうね。
だって、所詮は代用品ですし、高ランクの素材でもなければ一、二回実験に使用したら使わなくなってしまうでしょう。
でも、実験の結果次第では数が必要になるかもしれません。
なので、ある程度まとめて購入しているわけです。
それにしても、人形が流行っている国だけあって、『魔導糸手袋』の種類はかなりの数です。
オリジナルの『魔導糸手袋』もあちこちで見かけますし、人形も様々な種類が販売されていました。
でも、人型の人形はひとつも見ませんでしたね。
やはり人型の人形は製作難易度が高いのでしょうかね。
私たちがやった魔改造で蜘蛛の上につけた人型も、土台に固定して運用するタイプだったので操作は比較的簡単なんですよね。
でも、もし完全な二足歩行タイプの人型人形を作ろうとした場合は、相当難しいと思います。
それこそ、ロボット工学とか人体バランスとか色々知識が必要なんじゃないでしょうか。
まあ、オリジナルで作るならの話ですけど。
『魔石球』もありますし、レシピさえ見つかれば時間の問題だとは思いますけど、人型の人形を操って戦う日もいずれはきそうですね。
姫ちゃんなら同時に二、三体を操って戦えそうです。
装備なんかも一線級のもので整えれば、ひとりフルPTとかやれそうですよね。
まあ、そこまでいくと絶対下方修正とかされそうですけど。
「和テイストでも神殿は神殿なんですねー」
「ちょっと残念ですよね~。どうせなら神社とか仏閣とかにしてほしかったです」
「……信奉している神が同じだから?」
「でしょうねー。あの女神様が神社に祀られてるのはちょっと違和感激しいですしねー」
「ぶふっ」
「……ララルさん汚いです」
「ご、ごめんなさい。だって……くっ! 面白すぎる~!」
オープニングやアップデート内容の説明でみた女神様は、完全に西洋の女神然とした神でした。
どうやら、そんな女神様が神社に祀られている様子を想像してしまった甘ロリさんは、完全にツボに入ってしまったようです。
私にもたれかかって背中をバシバシ叩くものですから、痛くはなくても衝撃が発生していますよ。
フレンド登録してなかったら、ハラスメント警告出るやつですねこれ。
一頻り笑い終えて落ち着いた甘ロリさんを加えて、神殿でゲートの解放と『各国横断スタンプラリー』のスタンプを押してもらいました。
これで全てのスタンプを集め終わったので、イベントは終了です。
移動に時間がかかるだけで、簡単なイベントでしたね。
まあ、もらえる景品も完全に飾りですし、こんなものでしょう。
メインは他の国を訪れる、ということにありますからね。
「そういえば、『スキルポイント変換神官』には会いました~?」
「まだですねー。LvMAXのスキルをSPに交換してくれるNPCですよね」
「そうです~。SP不足で進化できないスキルが多すぎる苦情の対応のために用意したんでしょうね~」
「……やりくりが大変ですからね」
「私もLvMAXで止まってるスキルがいくつかありますよー」
『スキルポイント変換神官』は、大型アップデートで追加された新システムを担当するNPCです。
女神様から特別な能力を授けられた神官という設定で、LvMAXに成長させたスキルをSPに変換してくれるという、そのまんまなNPCです。
ただし、必要なのはLvMAXまであげたスキルの他にも大量のニル、つまりはお金がいるそうなんです。
確かにSPは全然足りないので、とてもありがたいシステムではあります。
まあ、色々やることがあってまだ利用していませんが、落ち着いたら活用していきたいですね。
「SP用に育成しやすいスキルを用意しようと思ってるんですけど~……結構難しいですよね~」
「あーわかります。初期スキルだってLvMAXにするのって結構時間かかりますよねー」
「……効率よく、となると選定も大事です」
『訓練所』などで簡単に覚えられる初期スキルは、育成するのも今となっては簡単ですが、LvMAXまでとなるとそれなりに時間はかかります。
普段の生産でもLvが上がって、効率的に変換ができるようなスキルとなると、結構選択肢が狭まるんですよね。
必要なスキルは変換には回せませんし、そうなると効率はあまりよくなくなってしまうんです。
でも、掲示板でも変換用スキル考察スレが立っているくらいには注目度が高いシステムですから、最適解がそのうち見つかるでしょう。
「でも、変換するのにかかるお金っていくらくらいなんでしょ~?」
「掲示板に載ってなかったんですか?」
「【タバリスト皇国】観光スレばっかりみてました~」
「……初期スキルでもばらつきがあるみたいです」
「ほほー」
公式でも大量のニルと書かれるくらいですから、変換するのにかかるお金は結構な額のようです。
でも、スキルによってばらつきがあるみたいですから、効率よくLvMAXにできるスキルよりも変換料金の安いスキルの方が喜ばれる可能性もありますね。
私はとんでもない額でもなければ、ある程度高くても問題ないですけど、安いならそっちの方がいいです。
「今までものすごく苦労してましたからね~。その緩和措置なんですから、ある程度お金がかかっちゃうのは仕方ないのかな~」
「お金を稼ぐ意味もでてきますから、いい追加だと思いますよー」
「バケツさんお金たくさんもってそうですしね~。あまりに稼ぎすぎて使いみちがなかったりしませんでした~?」
「そんなことないですよー。設備とか目が飛び出るほど高いですからねー」
「あ~」
「……あー」
スティール系の『オプション品』で荒稼ぎをしているとはいっても、全ての設備を上級に切り替えられたわけではありません。
それに、携帯設備も欲しいかなと思っているので、お金はいくらあっても足りないんです。
設備の切り替えも時間をかければ終わるでしょうが、大型アップデートで追加されたものに設備がないとは言えないわけです。
きっと上級よりも上の設備があるに違いありません。
というか、ないと困ります。
設備や道具はスキルLvと素材と同じくらい大事ですからね。
王鉄鋼を使った装備で『オプション品』を製作するにも、スキルLvや素材の強化の他にも設備と道具の更新なんかもひとつの手です。
まあ、今までの経験上、設備や道具の更新はかなり難しいんですけどね。
それでもできるならやった方がいいです。というか、優先項目ですよね。
一先ずは全設備上級に更新するのが当分の目標ですかね?
「ついでですから~見に行ってみません? 『スキルポイント変換神官』」
「いいですねー。見るだけ見てみますかー」
「……行きましょう」
変換しないでも確認するくらいなら無料のはずですから、ちょっと見学に行ってみることにしました。
私の場合、掲示板で情報を集めて変換するスキルをLvMAXまで育成してからじゃないと来なさそうですからね。
甘ロリさんとるーるーさん、三人なら何をしてても楽しいです。
ミカちゃんと姫ちゃんと遊ぶのも楽しいですけど、ふたりとはまた違った楽しさがあるんですよね。
さてさて、どこにいるんですかね?
あ、あの行列ができてるところでしょうかねー。
……行列長いですね。やっぱりやめません?




