サバイバルナイフに潜む落とし穴
挿絵の画像を作成する際には、「Gemini AI」を使用させて頂きました。
国際的防衛組織である人類防衛機構に白兵戦要員の特命遊撃士となるべく養成コースに編入した私こと生駒英里奈は、誠に頼もしい御方と親交を育む運びと相成ったのです。
「私の事は態々『吹田千里』って呼ばなくて大丈夫。英里奈ちゃんの好きに呼んで良いよ。」
「そうさせて頂きます、千里さん。」
軍人家庭の三代目として生を受けた千里さんは、同期の中で特に秀でた実力者。
それを私は、改めて実感させられたのです。
座学を終え帰路に着いた私共は、児童公園で不審な黒背広姿の男性を目撃したのです。
「君達、特命遊撃士養成コースの子達だよね。良かったらモニターに協力してよ。我が社のサバイバルナイフ、便利なんだよ。」
斯様な悪徳業者は無視に限るのですが…
「へえ、見せて下さいよ。」
「えっ、千里さん!?」
余りに意外な行動でしたが、驚くのはこれからです。
「はっ!とうっ!」
「な、何っ!?」
何と男が鞄から出した商品を蹴り上げると、即座に自動拳銃で撃ち抜いたのでした。
すると高々と宙に浮いたサバイバルナイフが、柄を中心に大爆発を起こしたのです。
「不審な電子音から盗聴器とGPSまでは察したけど、爆弾まで柄に組み込んでたとはね。未熟な訓練生相手の爆破テロとは、テロ屋の残党にしては考えたじゃない!」
「おのれ、公安の犬め…ぐわっ!」
即座に銃を抜いた黒背広の男は、しかし直ちに肩を射抜かれたのでした。
「こちらは生駒英里奈准尉であります。只今、不穏分子と交戦中!」
私が軍用スマホで応援要請をしている間も、千里さんは戦いを有利に進めていたのでした。
「そのナイフ、使ってあげようじゃない…但し爆弾としてね!」
「ぐおおおっ!」
鞄に銃弾を直撃させ、ナイフの柄の爆弾を誘爆させる。
この高等テクニックが功を奏し、黒背広の男は炎に包まれたのでした。
「彼奴が不穏分子であります!」
「御見事です、吹田千里准尉!」
そうして半死半生の男を拘束した処理班の特殊車両を見送る千里さんの横顔には、満足気な微笑が浮かんでいたのでした。
「軍や特殊部隊御用達と銘打ったサバイバルナイフが通販によくあるけど、勝手に基地に配属して既成事実を作る輩もいるんだ。それで粗悪品に付加価値を付ける悪徳業者もいるんだけど、ああいうブービートラップを仕掛けるテロ屋もいるから厄介だよ…」
「気を付けます、千里さん…」
やがて私は千里さんを戦友として多数の作戦に参加するのですが、それはまだ先の話で御座います。





