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ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第2章

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第56話 語られたのは、リエラについて

前回のあらすじ


 春風君、ユーリエさんに食事に誘われる(ただし、リエラを除いて)。


 「『どういう関係』とは?」


 春風は一瞬、何を聞かれたのか理解できなかった。


 「ああ、ごめんね、深い意味はないの。ただ、リエラが随分とあなたに心を開いてたから、ちょっと気になってね」


 「『心を開いてた』って……え、どういう意味ですか?」


 謝罪しながら言うユーリエに、春風はますます理解が出来ないという表情を浮かべた。


 ユーリエはそんな春風の様子を察したのか、順を追って説明した。


 「うーん。私自身もそこまでリエラと仲が良いってわけじゃないんだけど。彼女、『紅蓮の野牛』に入るまで総本部で働いてたってのは知ってるよね?」


 「ええ、本人に聞きました」


 「その総本部で働いてた頃の彼女なんだけど、いつも1人で行動していて、誰かと組んで仕事に挑んだ事はあまりないのよ」


 「そうなんですか!?」


 「うん。それでも、他の人と組むことはあったけど、距離を置いているっていうか、なかなか心を開かないってことが多いの。そしてそれは、『紅蓮の野牛』に入った後も変わらなかった」


 思わぬところでリエラの話を聞いた春風は、驚きのあまり少し呆然となった。


 しかし、そんな状態の春風を前にしても、ユーリエは話続けた。


 「だけどね、総本部にあなたを連れてきた時のリエラは、他の人の時と違ってとっても明るく見えたわ。あんなリエラ見たことなくって、まるで、あっちが本当のリエラって感じがしたの」


 「……」


 「ねぇ、ハル君。もう一度聞くけど、あなた、リエラとどういう関係なの?」


 「それは……」


 春風はしばらく考え込んだ。正直に全てを話してしまおうかとも思ったが、リエラがいない時にそんな事は出来ないし、証拠がないから今ここで彼女を納得させることも出来ないと考え、あらかじめ話し合った「設定」で通す事にした。


 「俺の父と、リエラのお父さんが友人同士で、リエラとは幼い頃に何度か会ったことがあるんです。といっても、ほんの数回ですが」


 「『ほんの数回』であそこまで心を開いた、と?」


 ユーリエの目はかなり真剣だった。しかし、春風も負けんと言わんばかりの真剣な目で、


 「ええ、そうですよ」


 と、返した。


 しばらくの間、真剣な眼差しによる睨み合いが続いた。


 「……わかったわ。そういうことにしといてあげる」


 先に根を上げたのは、ユーリエだった。春風はホッとしたが、


 (あれ、きっとまだ疑っているなぁ)


 と、心の中で呟いた。


 「それじゃあ、昼休みも終わるし、戻ろっか。ああ、今日は私が奢るね」


 「え、ですが……」


 「付き合ってくれたお礼よ。お姉さんが奢ってあげるわ」


 「……ありがとうございます」


 その後、会計を済ませると、2人は喫茶店を出た。


 総本部への帰り道、ユーリエが春風に話しかける。


 「今日はごめんね、ハル君。変なこと聞いちゃって」


 「いえ、別に気にしてません」


 2人はゆっくり歩きながら話した。


 「あのさ、ハル君」


 「? 何ですか?」


 「リエラのこと、お願いね」


 「え、それってどういう意味ですか?」


 「さっきも言ったけど、あの子が心を開いてるの、あなただけだから。もしこの先、彼女が困ったことになったら、多分、あなたしか助けられないと思う」


 「……」


 「だから、これは私からのお願い」


 春風は少し俯いたが、すぐに顔を上げて、


 「はい」


 と、返事した。


 しばらく歩いていると、ユーリエはふと立ち止まって、ある場所を指差した。


 「ありがとう。あ、ほら、あそこ」


 「え?」


 ユーリエが指差したのは、ギルド総本部。その入り口では、


 「ハールーッ!」


 リエラが2人に向かって手を振っていた。


 「行ってあげて」


 ユーリエはそう言って春風の背中をトンと押した。


 春風はバランスを崩しそうになったがなんとか持ち直すと、ユーリエにコクリと頷いて、リエラに向かって駆け出した。


 その様子を見守ると、ユーリエもギルド総本部に向かって再び歩き出した。


 

 

本当なら間話と設定も書きたいところですが、残念ながら今回の話で本編の第2章は終了です。


また、本日はもう一本、重要なお知らせがあります。

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