表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/65

第53話 春風、決着をつける

前回のあらすじ


 春風、バンデルの仲間達を次々と倒す。


 バンデルとの戦いは、いよいよクライマックスを迎えていた。


 4人の仲間を失い、現在闘技台に立っているのは、春風とバンデルの2人だけだった。


 春風は冷静な眼差しで、愛用の鉄扇、メタリックフェザーを構え、バンデルに向き合っている。


 一方バンデルの方はというと、両手で大剣を握りしめながらも、春風を見てガタガタと震えていた。


 「さぁてと、残りは、アンタだけだよ」


 冷たく言い放つ春風に、バンデルはさらにビクッとした。その表情は、もはや恐怖に染まっていた。


 そんな状態の中、バンデルはどうにか口を開いた。


 「お、俺に勝って、お前はどうするつもりなんだ?」


 その問いに対して、春風は「?」を浮かべて問い返した。


 「『どうするつもり』って?」


 「お、俺を倒して、『紅蓮の野牛』に入るつもりなのか?」


 「ちょっと待ってよ。その話なら、俺、断ったんだけど」


 春風のその答えに、バンデルは一瞬キョトンとなったが、すぐにハッとなって、


 「はあ!? お前、わかってるのか!? 『紅蓮の野牛』って言ったら、このマイスターンの中でも外でも知らない者はいないっていう、超一流のハンターギルドの1つなんだぞ!? そんな超一流ギルドのギルドマスターのスカウトを断っただと? 正気かよオイ!?」


 ブチ切れた表情で怒鳴り散らすバンデルに、春風は「ハァ」とため息を吐くと、うんざりした表情で、


 「アンタ、俺とヴァレリーさんの会話を聞いてなかったんですか?」


 「か、会話だと?」


 「2回目になりますけど、よーく聞いてくださいね」


 春風は周りを見回すと、真面目な表情でバンデルに話した。


 「俺は、女の子や女性方面で、『鬼』とか『悪魔』とか『腐れ外道』になりたくない男だ」


 「ちょっと待て、真面目な顔でなんてこと言うんだ!? 大体、『女の子や女性方面』ってなんだ!? 他の方面ならなってもいいっていうのか!?」


 「うん」


 『うんじゃねーよぉっ!』


 それは、バンデルだけじゃなく、男性ギャラリー達の叫びだった。ちなみに、女性ギャラリー達は顔を真っ赤にしていた。


 春風はそんな状況の中でも続けて言う。


 「ま、そういうわけで、俺はアンタが言ったように、女の子や女性方面以外ならなってもいいと思っている。必要なら何度だって他人を踏み台にするし、その気になったら多くの人を不幸のどん底に叩き落としてやるとも考えている。アンタらハンターってのは、報酬と引き換えにとはいえ、魔物の脅威から人々を守るってのが仕事であり使命なんだろ? そんな人達の中に、俺のような考えを持った人間が入っていいと思う? むしろ間違いなく討伐されちゃうと思うけど?」


 春風のその言葉に、小闘技場内はシーンと静まり返った。


 「さ、話はここまで、だ。そろそろ決着と行こうか」


 そう言って、春風は真っ直ぐな目でバンデルを見た後、メタリックフェザーを構え直した。


 「どうした? 俺を倒して、一流のハンターギルドとやらに入りたいんだろう? だったらそこまで言うくらいの覚悟や技、俺に思いっきりぶつけてみろや」


 春風に真剣な顔で言われたバンデルは、


 「覚悟……か」


 と小さく呟くと、大剣の柄をグッと握りしめて構えた。それまで春風に対する恐怖でガタガタと震えていたが今はそれがなく、表情も落ち着いた感じになっていて、目の前の春風をしっかり見ている。


 (お、さっきよりいい感じじゃん)


 春風はメタリックフェザーを両手で握り、全身を魔力で強化した。


 一方バンデルも、大剣に力を込めた。大きな技を使うつもりなのが春風にも伝わってきた。


 闘技台の上で両者はお互い見合う。


 見ているギャラリー達にもごくりと固唾を飲む。


 小闘技場内全体が緊張に包まれた。


 ギャラリーの1人が冷や汗を流し、一滴が床に滴り落ちた。


 ぽたり。


 その瞬間、両者が動いた。

 

 バンデル大技の名を叫ぶ。


 「大剣技、『豪快・兜割り』!」


 力を纏った大剣による振り下ろし。決まれば相手は間違いなく助からないだろう。


 しかし、春風は避けなかった。


 「うおりゃあああああっ!」


 メタリックフェザーに魔力を纏わせると、振り下ろされた大剣目掛けて力いっぱい振るった。


 大剣とメタリックフェザーがぶつかり合う。そして……。


 バキィイン!


 折った。魔力を纏ったメタリックフェザーが、バンデルの大剣を、真っ二つに折ったのだ。


 バンデルは折れた自分の大剣を見て、一瞬呆然となった。


 春風は、それを見逃さなかった。


 バンデルが両膝をついた瞬間、春風はメタリックフェザーを開いて、刃になっている先端を、バンデルの喉元に近づけた。


 その後、折れた大剣の切先が、闘技台の外の床に突き刺さった。


 我に返ったバンデルは、折れた大剣を捨てると、目を閉じて、


 「俺の、負けだ」


 自ら負けを認めた。


 それを見て、係員は叫ぶ。


 「勝者、ハル!」


 小闘技場内で、一斉に歓声が上がった。


 リエラとアリシアは、春風の勝利を喜び合った。


 フレデリックとヴァレリーは、ホッと胸を撫で下ろした。


 (ふう。なんとか勝てた)


 「おい」


 「?」


 戦いが終わって、メタリックフェザーをしまう春風に、バンデルが質問する。


 「俺ら5人を相手にここまで戦えて、お前は一体、何モンなんだ?」


 「何モンって、俺は……」


 春風はしばらく「うーん」と考え込んだ。すると、春風は腰のポーチから自身のギルドカードを取り出して、じっと眺めた。


 (うん。やっぱり名乗るなら、()()かな)


 春風はギルドカードをしまうと、バンデルに向き直って、


 「俺はハル。ちょっとユニークな、『冒険者』だ!」


 と、ポーズをとって名乗った。


 


 


 


 


 


 


 


 

 次回、春風君、名乗ったはいいけど、ちょっと困ったことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ