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ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第2章

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第50話 春風、再び闘技台に立つ!?

前回のあらすじ


 春風君、スカウトを断る理由を話すが、予期せぬ乱入者に遭遇する。


 (ハァ、どうしてこうなった?)


 と、心の中でそんなことを呟く春風は今、小闘技場の闘技台の上に立っている。


 そんな春風の前に立っているのは、背中に大きな剣を背負った、ガラの悪い戦士風の男だ。


 春風はその男を知っている。


 実はその男は、昨日春風とリエラにロックボアを擦りつけたハンターグループの1人で、アリシアが言うには、そのグループのリーダーだという。ちなみに、名前はバンデルというそうだ。


 ただ、昨日あの後、アリシアにボコボコにされたせいか、顔の所々に絆創膏が貼られていた。春風はそれを見て、


 (痛そうだなぁ)


 と、心の中で呟いた。


 さて、そんなバンデルと春風が、何故小闘技場で戦うことになったのか。それは、少し前に遡ることになる。


 数十分前。


 「ちょっと待ったーっ!」


 『!?』


 突然、バァンと総本部長室の扉が乱暴に開かれると、数人のガラの悪そうな男女が、ズカズカと中に入ってきた。男女はそれぞれ戦士や魔術師、そしてよく見たら斥候を思わせる格好をした者も混じっていた。


 (あ、コイツらは!)


 春風は少しして、その男女のことを思い出した。


 「? ハル、誰か知っているの?」


 その様子に気づいたのか、リエラは春風に質問した。春風はリエラにわかるように、小声で答える。


 「ほら、昨日俺達にロックボアを擦りつけたハンターグループだよ」


 「! ああ!」


 春風達のやり取りをよそに、フレデリックとヴァレリーが、連中に質問する。


 「おやおや、皆さん大事なお話中にどうかしましたかな?」


 「そうだ、お前達。今は話の途中だぞ。一体なんのようだ?」


 すると、グループのリーダーらしき大きな剣を背負った戦士風の格好をした男が、春風を指差して、


 「話は聞いたぜ、ヴァレリーさんよぉ。俺らはそのガキの加入には反対だぜぇ!」


 いきなりそんなことを言う戦士風の男に、春風、リエラ、アリシア、フレデリック、ヴァレリー、そして零号の中のヨルサは、一斉に「?」を浮かべた。


 それから4秒の沈黙後、ヴァレリーが口を開く。


 「あー、お前は確か、バンデルといったな? グループで昨日うちの加入テストを受けて不合格になった上に、アリシアにボコボコにされた」


 そう言われて、「うぐ」っとなって後ろに一歩下がったバンデル達。そこへ、フレデリックが続く。


 「ふむ、なるほどあなた方でしたか、擦りつけの犯人は。で、そんなあなた方が何故ここに?」


 フレデリックの質問に、バンデルと呼ばれた男が怒鳴りながら答える。

 

 「決まってんだろ! 昨日の不合格って結果に納得がいかなくて文句言おうと思ったら総本部に行ったって聞いて、扉越しに話を聞いていたら、こんないかにも弱そうなガキに、ギルドマスター直々のスカウトと加入テスト免除の話だと!? 笑えねぇにも程があるってもんだろうが!」


 バンデルの言葉に、彼の仲間達が「そうだそうだ!」と続く。


 「いや、ちょっと待ってください。話を聞いていたんでしたら……」


 春風が弁明しようとしたその時、


 「ちょっとあんた達……」


 隣から不穏な気配を感じたので、恐る恐る振り向くと、そこには鬼の形相のリエラとアリシアがいた。しかも、2人とも武器を抜く体勢に入っていた。


 「昨日人にロックボア擦りつけておいて、何変なこと言ってんの? ていうか、ハルがなんだって?」


 「どうやら、もう少し痛めつけておいた方が良いようだな」


 「ちょ、2人とも落ち着いて!」


 今にも連中に斬りかかろうとする2人を、春風は必死になって止める。


 しかし、鬼の形相になっている人物がもう1人いた。


 「ほう、私の判断に文句があるとは、良い度胸しているなお前ら」


 ヴァレリーさんだった。リエラとアリシア以上に、凄く怒っている様子だった。


 怒りのオーラを出すヴァレリーにビビるバンデル達。しかし、彼らはそれでも何か言おうとしていた。


 そんな時、


 「コホン」


 と咳き込む声がしたので、全員声がした方を向くと、


 「あー、失礼しますね皆さん」


 ギルド総本部長のフレデリックだった。


 「バンデルさん達」


 『は、はい!』


 「あなた方の話はわかりました。では、こうしましょう」


 フレデリックはチラリと春風を見て、


 「彼に勝てたら、『紅蓮の野牛』に私の方で加入させてもらえるように話をつけましょう。それでよろしいですね?」


 再び、4秒の沈黙後。


 「はぁあっ!? ちょっと待ってくださいよ! 何勝手に決めてるんですか!?」


 我に返った春風は、「冗談じゃない」とフレデリックに抗議した。


 一方、フレデリックの提案を聞いたバンデル達は、


 「へ、へへ。いいぜ、その提案受けるぜ!」


 と、全員やる気になっていた。


 それを見て、春風はさらに焦った。


 「ちょっと! 何やる気出してんのあんた達!? ヴァレリーさん、あなたからも何か言ってやってください!」


 春風はヴァレリーに助けを求めた。だが、


 「良いだろう、やってみると良い。彼に勝つことが出来たなら、な」


 無情にも、ヴァレリーさんは乗り気だった。


 「リエラ! アリシアさん! 2人も何か言って……」


 ダメだと思った春風は、今度はリエラとアリシアに助けを求めた。だが、


 「フッフーン! 言っとくけど、ハルはあんた達より強いんだからね!」


 「その通りだ! ハル君にかかれば、お前達などあっという間に叩きのめしてくれるわ!」


 『な、何をおおおおおお!』


 「挑発するなぁあああああ! そしてあんたらも乗るなぁあああああ!」


 2人の挑発を聞いて、バンデル達のやる気はさらに上がった。そんな彼らを見て、春風は絶叫した。


 そして、そんな彼らのやり取りをよそに、フレデリックは、


 「では、早速小闘技場の使用手続きをしましょうか。それと、ギャラリーも集めませんと……」


 着々と準備を進めていた。


 「ふざけんなぁああああああ!」


 こうして、春風はバンデル達と、戦うことになってしまうのだった。


 

 

 




 

 次回、春風君、闘技台で思いっきり暴れる。

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