第43話 対決、ロックボア
前回のあらすじ
突然の魔物の登場に、春風とリエラ、戦闘態勢に入る。
春風とリエラによる、ロックボアとの戦いが始まった。
突進するロックボアに対して、まずはリエラが前に出た。
リエラはロックボアに向かってジャンプすると、持っている両剣、フレイムローズを力いっぱい振り下ろした。
ガキィンッ!
ロックボアは振り下ろされた刃を、自身の体を覆う岩のような装甲で弾き返した。その衝撃で後に飛ばされるリエラだが、その表情に驚きはなく、むしろニヤリとしていた。
ロックボアがそれを見てハッとなった時だった。
「バレット!」
ロックボアがリエラに視線を向けた時、すでに春風は魔法の準備をしていたのだ。そして、準備が完了した瞬間、春風は力魔法「バレット」をロックボアに向けて放った。
ドォンッ!
春風が放った「バレット」が、ロックボアに直撃した。しかし、倒れるかと思ったが、すぐに力いっぱい踏ん張った。どうやら、大きなダメージは与えられなかったようだ。
ロックボアが春風に視線を向けて、突進の準備を開始した。
「させない!」
リエラはすぐに、両剣技「ダブルエッジクロス」を放った。十文字になった斬撃が、ロックボアを襲った。
しかし、
ーーフンゴォ!
ロックボアはその斬撃を、鼻息でかき消した。
「うっそぉ!?」
流石のリエラもこれには驚いた。
ロックボアはニヤリと笑い、ターゲットを春風からリエラに変更した。
そして、リエラにものすごい勢いで突進した。
その時だった。
「求めるは“土”、アース!」
春風が新たな魔法を唱えた瞬間、ロックボアの足元の土が盛り上がり、ロックボアを攻撃し始めたのだ。
無属性の「バレット」では大ダメージを与えられないとわかった春風は、すぐに別の魔法スキルを発動した。
(融合スキル[4大魔法]、発動)
そして使用したのは、土属性の魔法「アース」だ。
4大魔法(融合スキル)……万物を構成する4つの元素(火、水、土、風)の力を扱う魔法。攻撃、防御、支援、回復を得意とする。
アース(4大魔法(系統:攻撃))……レベル1の土属性の4大魔法。魔力を宿した土を盛り上がらせて、敵を攻撃する。当てる位置を調節すれば、敵の新たな扉を開くことが出来る。消費魔力:6。初回魔法詠唱:「求めるは“土”、アース」
「もう一丁!」
それから春風は、連続してロックボアに「アース」を放った。ロックボアは「くらってたまるか!」と言わんばかりに避けまくった。
すると、春風は今度は別の魔法を唱えた。
「求めるは“水”、ウォーター!」
その瞬間、ロックボアの真上に大きな水の塊が現れて、ハンマーを振り下ろすかのようにロックボアに落ちた。
ドバァン!
ーーブフォッ!
ただの水ではない、魔力によって生み出された水が、ロックボアにダメージを与えた。
ウォーター(4大魔法(系統:攻撃))……レベル1の水属性の4大魔法。魔力で作った水の塊を敵にぶつける。位置を調節すれば、精神的ダメージを与えることが出来る。消費魔力:6。初回魔法詠唱:「求めるは“水”、ウォーター」。
「ウォーター! ウォーター! ウォーターッ!」
春風は「アース」と同じように、何度も「ウォーター」を唱えて、ロックボアを攻撃した。
当然、ロックボアはそれを避けるが、連続で放つ攻撃に、少しずつ体力が削られていた。
これ以上はまずいと思ったのか、ロックボアはその場から離れようとした。
だがーー。
ズルリ。
急にロックボアの足が滑った。
転びそうになったが、どうにか踏ん張る。
ロックボアが周囲を見回すと、地面が水気を含んでぬかるんでいた。
ロックボアは避けるのに夢中で気づいていなかったが、そこは先ほどまで、春風が「アース」を放った地面だった。そしてそこへ「ウォーター」が当たってことによって地面がぬかるみ状態になっていた。
ロックボアはその瞬間、自分が罠に嵌ったということを理解した。
春風が「アース」と「ウォーター」を放ったのは、攻撃をするためじゃない。地面をぬかるみ状態にすることによって、ロックボアの動きを封じるためだったのだ。
「リエラ、まだ行ける?」
ロックボアがぬかるみで動けない隙に、春風はリエラのそばに近づいて質問した。
「私は大丈夫。だけどあと少しで強化が切れそう」
「それなら、ここで一気に決めよう」
「どうするの?」
「正直、俺には言う資格がないセリフなんだけど、あえて言うね」
「?」
春風はキッとロックボアを睨みつけて言う。
「正義のヒーローの、必殺キックだ!」
「え、なにそれ!?」
「俺がやるのをよく見て!」
そう叫ぶと、春風は右足に魔力を集めた。属性は、「風」だ。
([体術・真]、プラス、風属性[魔闘術]……)
春風はロックボアに向かって駆け出した。そして、勢いよくジャンプし、飛び蹴りの姿勢になった。
(イコール……)
春風は、静かにその技の名前を口にする。
「トルネード・ストライク」
次の瞬間、右足に集めた風の魔力がドリルのように渦巻き、ロックボアの眉間に炸裂した。
ーーブゴオオオ!
手応えはあった。しかし、それでもロックボアは倒れなかった。
その時だった。
「でりゃあああああああ!」
リエラが、炎を纏った飛び蹴りをかましたのだ。狙った位置は、春風と同じ、眉間だった。
風と炎の必殺キックに、流石のロックボアも耐えられるはずもなく、白目を剥いて、意識を失った。
技を決めた春風とリエラは、スタッと同時に着地した。その時、ロックボアの体から光が出てきて、2人の体に入った。そして、頭の中で声が聞こえた。
『レベルが上がりました』
「やった、レベルアップだ」
「うん、私もレベルアップだって」
さらに、春風の頭の中で声は続いた。
『気迫による相手の吹き飛ばしを確認。スキル[気迫解放]を取得しました』
「え、ちょっと待って……」
次の瞬間、春風は激しい頭痛に襲われた。
こうして、2人の初めての共闘は終わった。
だが、その共闘の一部始終を、離れた位置で見ていた者がいたことを、2人は知らなかった。
今回は2人の初めての共闘と、春風の新たな魔法、そして必殺攻撃、さらに久しぶりのスキル取得について書きました。
戦いを見ていた人物は一体何者なのか? というわけで、次回、戦いを終えた2人の前に、新たな人物が登場する……かもしれない。多分。




