第40話 初めての仕事と、ちょっとした「実験」
遅くなりました。1日遅れの投稿です。
前回のあらすじ
春風君、ギルド総本部で一晩過ごし、初仕事に挑む。
先に総本部を出たリエラを、春風は走って追いかけた。
「待ってよ、リエラ!」
「? どうしたの春風?」
自分を呼ぶ春風の声を聞いて、リエラは立ち止まって振り返った。そこで春風はようやく追いついて、
「『どうしたの?』じゃないよ。俺なんかに付き合って、ハンターの仕事はどうするのさ」
と、リエラに質問した。
「うっ! あー、それはぁ……そのぉ…」
リエラはダラダラと冷や汗を流しながら答える。
「ちょ、ちょっと待って! 今、仕事引き受けてくるから、昨日の門のところで待っててね!」
と言って、リエラはダダダっと駆け出した。
春風がハッとなった時には、もうすでに遠い位置まで走っていた。
しばらくして、リエラに言われた通りに昨日マイスターンに入った時に通った門の側で待っていると、
「ごめーん、お待たせーっ!」
と、リエラが手を大きく振りながら走ってきた。その様子に、春風は心の中で、
(やれやれ……)
と呟いた。
「よし! 仕事も引き受けたし、準備も出来たし、それじゃあお仕事頑張ろー!」
春風と合流したリエラは、拳を突き上げて元気よく叫んだ。「準備」という言葉が気になったが、春風も続くように
「おー!」
と、小さく叫んだ。
門番のロナルドに挨拶した後、門を通ってマイスターンの外に出た2人は、今回の仕事の目的地へと歩き出した。
そこは、マイスターンから少し離れた森の中で、昼間だというのに森の木々が邪魔をして少し暗かった。
「さあ、ここが目的の場所だよ!」
「……随分、暗いところなんだね」
「まぁ、ちょっと暗いけど、ここ結構薬草が多く生えていてね、私も薬草採取の仕事を受けていた時によくお世話になった場所なんだ」
明るく言うリエラに、春風は、
「へー、そうなんだ」
と苦笑いした。
「じゃ、私はここで一仕事してくるから、ハルも頑張ってね!」
そう言うと、リエラは春風の下を離れた。
1人取り残された春風は、辺りを見回しながらぼそっと呟いた。
「じゃ、こっちも実験&仕事を始めるか」
そして、春風がまず始めたのが、周辺への[鑑定]スキルの使用だった。
現在、春風の[鑑定]のレベルは最大値の10だ。ならば、どれだけの結果を出せるか、その実験を兼ねての使用だった。
春風はとりあえず、自分を中心に近いところから始めようと、そこら辺の草場を鑑定した。
草。
草。
草。
薬草。
「お、まずは1つ発見」
春風はすぐに、見つけた薬草を詳しく鑑定した。
薬草……正式名称「活力草」。癒しの力を秘めた、回復ポーションの材料になる草。そのまま食べることも出来るが、ものすごく苦い。
「お、おお。これ、食べられるんだ」
春風は一瞬食べてみたいと思ったが、今は仕事中だと諦めることにした。
「よし、早速採ってみるか」
そう言って、春風はまず右手を魔力でコーティングした。次に、そのコーティングした魔力の形状を変化させた。イメージは、「シャベル」だ。
春風は魔力のシャベルと化した右手で、薬草周辺の土を掘った。薬草の根っこを傷つけないようにするためだ。
掘り終わると、右手の魔力を一旦解除して、両手ですくうように薬草を持ち上げた。
その後、今度は水属性の魔力を使って根っこについた土をキレイに落とし、風属性の魔力で濡れた根っこを乾かした。
「うん、これでよし」
そう言うと、春風は腰のポーチから、昨日もらったお金が入っていたのよりも少し大きな布袋を取り出した。
この布袋は、春風がリエラを追いかけようとした際に、受け付けの女性が、
「あ、待ってください! 忘れ物です!」
と言って渡したものだ。
どうやら薬草採取の仕事に行く時は、この布袋でないという決まりになっていて、この布袋を採取した薬草でいっぱいにするというのが、今回の仕事の内容だ。
春風は採取した薬草をその布袋に入れた。
「よし、まずは1つめ」
そして、再び周辺を鑑定した。
草。
薬草。
草。
薬草。
薬草。
草。
薬草。
今度は結構な数の薬草を発見した。
「うひゃあ、いっぱいあるなぁ」
春風は布袋の中を見た。中の薬草は、まだ1つしかない。
「だったら、いっぱいとらないとなぁ!」
そう言って、春風は再び仕事を開始した。
次回、春風君の初仕事は続く。




