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ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第2章

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第38話 春風、今後の方針を決める

前回のあらすじ


 春風君、リエラとの戦い(模擬試合のようなもの)に勝利する。


 大変遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。1日遅れの投稿です。


 (どどど、どうしてこうなった!?)


 表情にこそ出てないが、内心ではかなりオロオロしている春風。するとそこへ、


 「あのさ、ハル……」


 「?」


 「そろそろどいてくれると嬉しいんだけど」


 「え……あっ! ご、ごめんリエラ!」


 リエラのその言葉に我に返った春風は、慌てて彼女から退いた。リエラは自由になったのを確認すると、よっこらせと立ち上がった。


 「いやー、負けちゃったよ。私これでも強い方なんだけど、自信なくすなぁ」


 「ごめん」


 「謝んないの。試合を望んだのは私なんだし、勝ったのはハルなんだから、堂々としてればいいの」


 「う、うん、わかった」

 

 「よろしい」


 闘技台の上でそんなやり取りをする春風とリエラ。その時だった。


 「なかなか素晴らしいものを見させてもらいましたよ」


 と、パチパチと拍手をしながら、1人の初老の男性が闘技台に上がってきた。


 見たところ、男性は綺麗に整った髪型に眼鏡をかけていて、ビシッとしたスーツに身を包み、丈の長い上着をマントのように羽織っていた。


 リエラはその男性を見て、


 「こんにちは、()()()()()()


 と、頭を下げて挨拶した。


 「総本部長……さん?」


 春風はリエラが何を言っているのかわからず首を傾げると、総本部長と呼ばれた男性が穏やかな口調で、


 「はじめまして、私はこのギルド総本部の総本部長を勤めている、フレデリック・レンブルトンと申します。以後、お見知り置きを」


 その言葉を聞いた瞬間、春風は目の前の男性がギルド総本部のトップであることを理解し、


 「す、すいませんでした! あの、自分は今日ギルド登録しました、ハルと申します! よろしくお願いします!」


 と、先程以上に大慌てで頭を下げて自己紹介した。


 「ああ、これはご丁寧に。いろいろと聞きたいことがあるのですが、ここではなんですので、2人共、私の部屋で話をしましょうか」


 そう言われて、春風とリエラは男性ーーフレデリックと共に小闘技場を後にし、彼の部屋まで案内された。


 部屋の中に入ると、フレデリックは2人を部屋の中央に配置した2つのソファの一方に座らせて、フレデリック自身はその向かいのもう一方のソファに座った。


 「さてと、それじゃあ君達……というか、ハル君だったかな? 君の話を聞かせてもらいましょうか」


 フレデリックが穏やかな口調で話しかけると、春風は緊張しながらも、あらかじめリエラとの打ち合わせで決めた「設定」を話した。


 「なるほど、君はリエラさんのお父上の友人の息子で、魔術の修行のためにリエラさんのところに送り込まれた、というわけかな?」


 「はい。父は『世界を見てこい』と言って、転移の魔術を使って自分を故郷からここまで飛ばしたのです」


 「ふむ。君のお父上はかなり優秀な魔術師のようですねぇ」


 「ええ、俺の憧れなんです」


 「で、君自身の職能も魔術師なんですよね?」


 「はい」


 しばらくの間、お互い沈黙していると、


 「魔術師なのに、あれほどの接近戦が出来るのですか?」


 「やろうと思えば誰でも出来るのではないですか?」


 4秒の沈黙後、


 「あー、そうですね」


 これ以上はやめておこうと考えたフレデリックは、強引に納得した後、次の話題に移った。


 「ところでハルさん」


 「はい」

 

 「あなたの今後の予定についてですが、何か考えてますか?」


 「はい。すぐにでも仕事を始めたいと考えてます」


 「とすると、どこのギルドで働くのかな?」


 「『どこの』……とは?」


 「このマイスターンにはここ総本部を中心に、魔物の討伐や要人の護衛を主とする『ハンターギルド』、武器や道具を製作を主とする『生産ギルド』、物資の商売を主とする「商業ギルド』、そしてその他の小さなギルドが多数存在しています。ちなみに、そちらのリエラさんはハンターギルドで働いています」


 春風は「うーん」と考えて、フレデリックに1つの質問をした。


 「あの、この総本部ではどのような仕事が受けられるのですか?」


 「他も専門的なギルドには劣りますが、討伐、護衛、生産、収集、さらにちょっとしたお手伝いなど、様々な仕事が受けられます」


 その答えを聞いて、春風は「うん」と決意したように頷くと、


 「いろいろとやってみたいので、総本部(ここ)で働かせて下さい」


 と、フレデリックに頭を下げて頼んだ。


 その姿を見て、フレデリックは少し驚いたが、すぐに優しい口調で言う。


 「わかりました。ではしばらくの間はここの簡易宿泊施設を使って下さい」


 「え、それってどういう意味ですか?」


 「話を聞いてなんとなく感じたのですが、ハルさん、あなた所持金はあまり持っていないのではないですか?」


 「うぐ! は、はい……実を言いますと……」


 気まずそうに話す春風に、フレデリックは、


 「やはりですか」


 と、ため息を吐いた。その後、また優しい口調で、


 「とりあえず、今日受けられる仕事はあまりありませんので、今夜はこちらに泊まって明日から仕事を始めて下さい」

 

 「は、はい、わかりました」


 春風はそう返事をすると、隣りにいるリエラの方を向いて、


 「ごめん、勝手に決めちゃって……」


 「あー、いいよいいよ。私も始めはここでのスタートからだったし、仕事だったらもしかしたら一緒に受けられることもあるから、気にしないで」


 「あ、ありがとう」


 明るく答えるリエラに、春風は申し訳なさそうにしながらお礼を言った。


 その様子を見たフレデリックは、静かにソファから立ち上がって、


 「それでは、ハルさん」


 「?」


 「改めて、ようこそマイスターンへ。私は、君を歓迎しますよ」


 と言って、右手をスッと差し出した。


 春風はそれを見て、


 「こちらこそ、よろしくお願いします」


 と、その手を掴んだ。


 すると、フレデリックは顔を春風に近づけて、


 「()()()()()を話したくなったら、いつでもよろしいですので、聞かせてくださいね」


 と、リエラに聞こえないように小声で言った。


 それに対して、春風は困ったように笑うことしか出来なかった。


 




 

 

 


 


 

 


 

 


 


 


 


 


 


 


 

 

 というわけで、なんだかんだの末にギルド登録を終えた春風君、果たして彼にどんな出来事が待ち受けているのか?


 次回、初めての仕事に挑戦する……予定です。

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