第36話 春風、リエラと対決する……マジで?
前回のあらすじ
春風君、ギルド総本部を案内された後、リエラに武器を向けられる。
「ええっと、リエラさん。何がどうなっているのか全然わからないんですけど」
いきなりの展開に、思わず敬語になった春風。しかし、リエラは真面目な表情を崩さずに続ける。
「心配しないで。これは腕試しの模擬試合みたいなものだから」
「はあ、そうですか……じゃなくて! なんでいきなりリエラと戦わなきゃいけないんだ!?」
「言ったでしょ、『腕試し』だって。ああ、ちなみに、この闘技台には特別な術式が施されてて、多少の怪我もすぐに治してくれるから大丈夫だよ」
そして、
「係員さーん、審判お願いします」
という一言を最後に黙るリエラ。その後、係員が1人闘技台に上がる。それを見た春風の胸中では、
(ヤバイ。リエラめっちゃ真剣だ。いや、マジで勘弁してほしいんですけど!)
マジでビビっていた。
その時、何やら騒がしくなってきたので、ふと周りを見回すと、
(げっ! なんか人が集まってきている!?)
そう、いつの間にか闘技台の周りには剣士やら魔術師やら職人などが、「なんだなんだ」と少しずつ集まって、春風達に好奇心に満ちた眼差しを向けていた。
(ヤバイヤバイ、これマジでヤバイ! これじゃあ逃げることもできない!)
内心かなりビビっている春風は、いっそ[気配遮断]を使って逃げようかとも考えたが、目の前にいるリエラの真剣な眼差しと周囲の人間の視線を受けて、「ハァ」とため息を吐くと、
「カッコ悪いとこ、見せるわけにはいかねぇか」
と、ボソリと呟いた。
そして、目の前のリエラに負けないくらいの真剣な表情になると、腰のホルダーに納めた「武器」を手に取り、静かに構えた。
「それって……」
リエラはその「武器」について聞こうとすると、春風はその「武器」をバッと広げた。
それは、薄い金属の板を数枚重ねたものだった。
すると周囲から、
「なんだありゃ? 扇か?」
「いや、あれは『鉄扇』か?」
「鉄扇!?」
「あんなので戦うっていうのか!?」
という驚きに満ちた声が聞こえて、ざわざわと騒がしくなった。
そう、ホルダーから抜いた春風の武器、それは『鉄扇』だった。
だが、ただの鉄扇ではない。
それは、師匠にもらったお守りの鉄扇よりも大きく、一番上の板には「翼」を思わせる模様が刻まれていて、中央には丸く加工された透明な宝石のようなものがはめ込まれていた。
周囲がざわめく中、春風は気づかれないように左手を動かしながら、そこに表示した自身のステータスウインドウをチラリと見た。
幸村春風(人間/男/17歳) 職能:見習い賢者
レベル:20(所持BP:15000)
生命力:1210
魔力:1710
持久力:1460
筋力:610
耐久:610
知力:760
精神:920
敏捷:710
運勢:普通
魔力属性:無、風、火、水、土、光、闇
スキル:言語理解(レベル:10)、鑑定(レベル:10)、偽装(レベル:10)、警報(レベル10)、気配遮断(レベル10)、魔闘術(レベル:10)、鉄扇術(レベル10)、暗殺術(レベル10)
融合スキル:体術・真(レベル:10)、魔力制御(レベル:10)、4大魔法(レベル:3)
専用スキル:魔導式構築(レベル:3)、魔石生成(レベル:3)、魔導具作成(レベル:3)、力魔法(レベル:3)
装備:戦扇メタリックフェザー、魔装甲フォースギア、鑑定士のゴーグル、格闘魔道士のローブ、疾風のブーツ
称号:異世界(地球)人、神(地球)と契約を結んだ者、固有職保持者
春風はステータスを確認すると、真っ直ぐリエラを見つめて、口を開いた。
「あのさ、リエラ」
「? 何?」
「この戦いって、スキルの使用はありなの?」
「うん、ありだよ」
その答えを聞くと、春風はニヤリと笑い、広げた鉄扇ーーいな、戦扇を口もとに近づけて、
「そう、それじゃあ……」
ーー実験をさせてもらおうか。
その瞬間、小闘技場内に緊張が走った。
リエラは春風の雰囲気に飲まれそうになるが、すぐに首を振って気をしっかりと保ち、武器を構え直す。
周囲の人達は一部の人がたらりと冷や汗を流し、一部の人はごくりと固唾を飲んだ。
そして、審判役の係員は一瞬硬直したが、すぐに我に返って、
「そ、それでは両者、始めっ!」
と、春風とリエラに、模擬試合開始を宣言した。
次の瞬間、先に動いたのは、リエラだった。
一方、春風はその場から動かなかった。
リエラは開始の直後、素早く春風の前にジャンプし、春風目掛けて、持っている武器を振り下ろした。
次回、春風、ガチで戦う。ホントにマジで。




