第34話 ギルドの聖地、マイスターン
前回のあらすじ
春風君、リエラと再会後、マイスターンに向かう。
大変遅くなりました。1日遅れの投稿です。
中立都市マイスターンに到着した春風、リエラ、ヨルサの3人は、まず都市に入るための門へと向かった。もちろん、その間ヨルサは零号の中に入ってもらっている。
門にたどり着くと、そこでは多くの人達や馬車のような乗り物などがズラリと並んでいて、皆、次々に門番の審査を受けていた。そして審査を終えた人達が、門の向こうに入っていった。
春風達は急いで列の後ろに並んだ。一組、また一組と門の向こうに入っていくのを見て、春風は次第に緊張し始めた。そんな春風に、リエラは優しく声をかける。
「大丈夫、ちゃんと『打ち合わせ』通りにやれば、怪しまれずに中に入ることが出来るよ」
「う、うん。わかった」
そして、いよいよ春風達の番になって門番が話しかけてきたので、リエラが対応した。
「ロナルドさん、ただいま戻りました」
「やあ、おかえりリエラ、ずいぶん早かったな……っと、もしかして、そっちの彼が『例』の?」
「はい、私のお父さんの友人の息子さんです」
と、春風の方を振り向きながら言って、それに合わせるように春風は名乗る。
「はじめまして、ハルと申します」
「これはご丁寧に。私は、ここの門番を務めているロナルドだ、よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
そう言って、門番のロナルドとの挨拶を終えた春風。
その後、ロナルドは大きな水晶玉を用意すると、
「それじゃあ早速、怪しいところがないかチェックをするからな」
と、春風の目の前に水晶玉をかざした。
すると、水晶玉が白く光り、その『光』が春風の体を包んだ。
(なるほど、この『光』で審査するってわけだな)
そんなことを考えながら、春風は黙って『光』に身を委ねた。
それから少しして、白い『光』が水晶玉の中へと入った。
次の瞬間、水晶玉に赤い丸印が浮き出た。それを見たロナルドは「うん」と頷いて、
「よし、合格だ。都市に入ることを許可する」
その言葉に、春風は心の中でガッツポーズをとった。
「ありがとうございます」
ロナルドにお礼を言うと、春風はリエラに
「じゃあ、行こっか」
と、手を引かれて門を潜った。
(ああ、良かった。気づかれなかった)
安心した春風は心の中でそう呟くと、
「ね、うまくいったでしょ?」
と、リエラが小声で話しかけてきた。
「うん、正直なところ、引っかかるんじゃないかとヒヤヒヤしたよ」
「だから大丈夫だって。あれくらいの『光』なんかが、神様の加護を受けた春風に通じるわけないじゃん」
誰にも気づかれないように小声でやり取りする春風とリエラ。
マイスターンに入るための審査に使う水晶玉については、春風は既に1週間前にリエラから聞いて知っていた。
なんでも、あの水晶玉は神(侵略者)から与えられた特別な道具で、そこから出た『光』から「大丈夫」と判断されれば丸印が浮かび、そうでなければバツ印が浮かび上がるようになっている。つまり、あの『光』はその神の力の、ほんの1部ということになる。
しかし、その力も元々はヘリアテスとループスーー真の神様のものである。故に、春風はリエラとの再会前に、ヘリアテスからわずかだが加護を受けることによって、光に触れられても問題がないようにしたのだった。
後は、あらかじめ話し合いで決めておいた春風の偽の設定を堂々と言うことによって、門番に怪しまれないようにすれば良いだけだった。
「さ、もうそろそろだよ」
しばらく歩いて、門を抜けた先にあるのは、
「ようこそ、マイスターンに!」
リエラにそう言われて、春風は辺りを見回すと、そこは、多くの人で賑わう大都市だった。都市といっても建物は日本と違って石造りや木造が多いのだが。
「す、すっげぇ」
春風は前に見たファストリアの王都以上の活気に加え、どこか「力強さ」を感じさせるこの都市に、僅かではあるが感動した。
「ほら、春かーーじゃなかった、ハル、あれを見て」
そう言ってリエラが指を差したのは、大きな塔のような建物だった。
「あそこがこの都市の中心、ギルド総本部だよ」
(へぇ、あそこがそうか)
リエラは春風の手を取って、
「行くよ」
と言うと、その手を引っ張りながらギルド総本部に向かって歩き始めた。
ここで少し謝罪があります。第33話の前回のあらすじで、再「会」と書いたつもりが、再「開」になっていました。間違えてしまって申し訳ありませんでした。
そして、今回の話では、都市に入るための審査についてですが、文章的におかしな部分がありましたら、ぜひ指摘してください(もちろん他も文章もですが)。よろしくお願いします。
というわけで、次回、春風君、まさかの事態に遭遇する。




