第32話(第2章プロローグ) それは、新しい始まり
お待たせしました。第2章の始まりです。
ルールを無視した「勇者召喚」が行われてから1週間。
エルードではない別の空間にて、大きな球体を囲むようにに5人の男女が椅子に座っていた。
今、球体に写っているのは、別の世界から召喚された「勇者」という名の24人の異世界人だ。
勇者達の様子を見ながら、5人の男女のうち、4人は話し合う。
「順調に育っているようだな」
「えぇ、若干そうじゃない子もいるけどね」
「ま、勇者とはいえ、人間だからね」
「……」
「そういえばさぁ……」
「? なんだ?」
「1人勇者達から去った『アイツ』はどうなったかな?」
「『アイツ』か……」
「実に腹立たしいわね」
「……同感だ」
4人の心の中で怒りが募っていく中、沈黙していた1人の青年が口を開いた。
「よせ4人共、前にも言った筈だ、奴のことは放っておけとな」
「でもさぁ……」
「奴1人が足掻いたところで、世界の消滅を止めることは出来ない。今はただ、我々が生き延びることが最優先だ」
そう言われて、他の4人は黙って球体に視線を戻した。それに合わせて、青年も球体を見る。
(そうだ。我々さえ生き延びればいい。我々さえ、な)
同時刻。
現在、エルードという世界は、2つの大国によって統治されている。
1つは西に位置する「ファストリア王国」。もう1つは東に位置する「ウォーリス帝国」。
そして、2つの大国のちょうど中間に、1つの大きな都市が存在している。
その都市の名は、「中立都市マイスターン」。
そこは、大小様々な「ギルド」と呼ばれる組織によって発展した都市で、別名「ギルドの聖地」とも呼ばれ、2つの大国からも注目されている。
さて、そんなマイスターンから少し離れた森の中に、少女、リエラ・フィアンマはいる。
「……」
彼女はそこで、とある人物を待っていた。そう、1週間後に再会することを約束した、1人のとある「少年」を。
そして1週間が過ぎた今日、準備を終えたという知らせを受けて、リエラはすぐにマイスターンを出て、1人、そこから離れた森の中で、その少年が来るのを待っていたのだ。
森の木の下に座ってじっと待っていた次の瞬間、
「! 来た」
突然、リエラの前に白い大きな扉が現れた。
すぐに立ち上がったリエラは、扉の側に近づいた。
すると、扉は音を立てて大きく開き、その向こうから青いローブに身を包んだ、少女を思わせる顔立ちの少年が現れた。
リエラはその少年に向かって言う。
「待ってたよ、春風」
リエラにそう言われると、その少年ーー幸村春風はニコリと笑って返事をする。
「うん、待たせたね、リエラ」
次回、春風君、「ギルドの聖地」に足を踏み入れます。




