第29話 作った魔法、試してみた
前回のあらすじ
春風君、初めて魔法を作って激痛に襲われる。
「だ、大丈夫ですか春風さん?」
あまりの痛さに地面に突っ伏した春風に、ティーアが話しかけた。
「だ……大丈夫……です」
春風はどうにか答えると、少しずつ体を起こして、新たに入手したスキルを確認した。
力魔法(専用スキル)……専用スキル[魔導式構築]によって作成された、属性を持たない純粋な魔力を用いた無属性魔法。攻撃と支援両方を得意とする。使用するには特別な道具を必要とする。また初めて使う際には詠唱を行わなければならない。
バレット(力魔法(系統:攻撃))……属性を持たない純粋な魔力を、弾丸に変えて撃ち出す。消費魔力:7。初魔法詠唱:「飛べ、“力”の弾丸、“バレット”」
(また特別な道具か)
せっかく作ったのにどうしたものかと悩んだ春風は、とりあえずこのまま試してみるかと考え、早速試してみることにした。
「スキル[力魔法]、発動」
すると、手に持っていたスマホの画面が輝き出した。
(え、ま、まさか!?)
春風はすぐにスマホの画面を湖に抜けて、作った魔法を唱えた。
「飛べ、“力”の弾丸……“バレット”っ!」
次の瞬間、スマホの画面から魔法陣が現れて、そこから小さな白いエネルギーの塊のようなものが、猛スピードで発射された。
(うわっ! なんか出た!)
驚く春風をよそに、発射された塊は湖を突っ切ると、その先にある岩を粉々に砕いた。
しばらくの間呆然とする春風とティーア。
その後、春風は無言でスマホの通話アプリを開いて、あるところに電話をかけた。
「もしもしアマテラス様、春風です」
かけた先は、日本の主神アマテラスこと天照大神だ。
『あ、春風君、どうしたの……』
「他人のスマホに何してくれとんねん!!」
『えぇっ!?』
その日、神様の住んでいる地に、春風の盛大なツッコミが響き渡った。
『いやぁ、まさかスマホで魔法作ったりぶっ放したり出来るようになるとは思わなかったよ』
「全くですよ! ホント何してくれてんですか!?」
軽い口調で話すアマテラスに、怒りながら文句を言う春風。
『えー? でもスマホで魔法をぶっ放すってかっこいいと思うんだけどぉ?」
「それはわかりますよ。いかにも現代風魔法使いで……ってそうじゃなくて、ここ異世界なんですよ? スマホがない世界なんですよ? 俺、目立つの嫌いって知ってるでしょ!? 変なふうに目立ってしまうでじゃないですか!」
『うーん、まぁそこは春風君の工夫次第かな。せっかくユニークな能力を持っているんだから、使わなきゃ損損、みたいな?』
「あの、今世界の危機なんですよね? そんな呑気なことを言ってる場合じゃないのでは?」
4秒の沈黙。アマテラスは「うん」と言うと、
『ま、とりあえず死なない程度に頑張って!』
「あ、ちょっと待って……」
ーーブチッ! ツー、ツー。
ガチャ切りされた。春風君、呆然となる。
「切っちゃったよ」
春風はため息を吐くと、スマホの画面を見た。そこには、「魔導式構築」と「魔導書」という、見たこともないアプリが入っていた。
(1つはきっとこれを使えば、いつでも魔法が作れるようになって、もう1つは作った魔法がここに記されて、いつでも使えるようになります……ってところかな)
ハァっと再びため息を吐く春風に、ティーアが近づいた。
「あの、春風さん」
「? なんでしょうか」
「落ち込んでいるところ、大変申し訳ないのですが……」
(あれ? なんか、嫌な予感が……)
たらりと冷や汗を流す春風に、ティーアが満面の笑みで言う。
「この調子で他の属性の魔法も、チャチャっと作っちゃいましょうか!」
「この流れで!? 冗談でしょ!?」
「本気ですよ?」
何を言ってるのと言わんばかりに首を傾げるティーア。
その言葉を聞いて、春風はさらに不安になった。
(俺、ホントこんなんで大丈夫かなぁ?)
その後、春風はティーアに促されるまま、他の属性の魔法を作り、新たなスキルを入手した。そして、その度に激痛に襲われる春風の悲鳴が響き渡った。
今回は、話的にちょっと短いかもしれません。物足りないと感じたらごめんなさい。
次回、準備回はまだまだ続く。




