第22話 出会ったのは、小さな『希望』
1日遅れの投稿です。
前回のあらすじ
春風君とアマテラス様、500年前の真相を聞く。
(なんだよそれ? なんなんだよそれっ!?)
ヘリアテスの話を聞いた春風の体は、激しい怒りに震えていた。
(なにが『悪しき邪神』だ! なにが『悪しき種族』だ! 本当の悪党は、テメーらの方じゃねぇか!!)
その怒りの矛先は、ウィルフリッド達ファストリアの王族と、彼らが信じる5柱の神々……否、侵略者の親玉に向かった。そして、
「ブッ殺してやる」
その瞬間、春風はすぐにでもファストリアに向かい、親玉と王族達を皆殺しにしたいという衝動にかられた。
だが、
「落ち着いて、春風君」
アマテラスは優しく話しかけながら、春風の肩に手を置いた。
「君の怒りはよくわかる。だけど……」
「?」
「今の君は、まだ力に目覚めたばかりの未熟者。行ったところで返り討ちに遭うのは目に見えている。それはわかっているよね?」
「っ!」
その言葉を聞いた時、春風は頭が急速に冷えていくのを感じた。少しして、体の震えが止まると、
「すみません」
と、アマテラスに深く頭を下げた。
それを見て、アマテラスはよしと頷くと、ヘリアテスに向き直った。
「それで、目覚めた後はなにをしていたの?」
ヘリアテスは涙を拭いながら答えた。
「はい、私はその後、奴らに見つからないように生き残った精霊達に助けられながら、同じく封印から目覚めたループスと合流しました。神としての力を奪われたといっても、まだほんの僅かに残っていたので、居場所はすぐにわかりました」
「そう」
「ですが、力の無い私達に出来ることは何も無く、ティーア達精霊王と共に作ったこの空間に隠れて暮らすにしたのです」
「……」
「変わり果てた世界に、私達は絶望する日々を送っていました。ですが、それから3年が経ったある日、1つの出会いがありました」
「?」
ヘリアテスの説明によると、そのきっかけは、幼い精霊達が大きな籠を持ってきたことだった。なんでも川に流されていたのを拾ってきたのだという。
中を見てみると、そこには布に包まれた泣いている赤ん坊が入っていた。それは、侵略者と同じ種族『人間』の女の子の赤ん坊だった。
だがよく見ると、その赤ん坊の耳は僅かに尖っていて、お尻には小さな狐の尻尾が生えていた。尖った耳は妖精族、尻尾は獣人族の特徴だった。
ヘリアテスとループスは、僅かに残った神の力を使ってその赤ん坊を調べた。その結果、赤ん坊は妖精族、獣人族、そして人間の3つの種族の血を引く混血だということがわかった。
2柱はすぐに精霊達に、赤ん坊の親と故郷を探して欲しいと頼んだ。
しかし、それからしばらくしてわかったことは、どちらも既にこの世には無いということだった。
2柱はどうしたものかと悩んだ。いくら自分達が生み出した種族の血を引いているとはいえ、そこに憎き人間の血も混じっているからだ。
だが、悩んでいる2柱を見ておもしろそうに笑う赤ん坊を見ていると、いつの間にか自分達も笑っていて、悩んでいたのが馬鹿らしく思うようになっていた。
さらに、赤ん坊からもう1つ、あるものを感じ取った。
それは、両親からの深い『愛』だった。
その時、2柱は思った。
「この子はきっと、これからの世界の『希望』もしくはそれに近い存在かも知れない」
赤ん坊を包んでいる布をよく見ると、そこには「リエラ・フィアンマ」と書かれていた。
この子の名前に違いないと感じた2柱は、その赤ん坊ーーリエラを育てることを決意した。
「これが、私達とリエラとの出会いでした」
「……」
話が終わって、部屋の中が沈黙に包まれた。
しばらくすると、リエラはスッと椅子から立ち上がって、首につけているチョーカーを外した。
次の瞬間、リエラの体が一瞬ほど光ると、左右の髪の間からピョコンと少し尖った耳が、お尻から大きな狐の尻尾が現れた。
「これが私の、本当の姿です」
そう言われて、春風とアマテラスはその姿に見惚れた。それを見た後、リエラは再び椅子に座った。
そしてヘリアテスはまた話し出す。
「それから私とループスは、ティーア達に手伝ってもらいながら、リエラを育てていました。子供を育てるのは初めてでしたので、最初は苦労したのですが、成長していくリエラを見ていると、そんな苦労も吹っ飛んでいくの感じて、とても楽しい日々でした。ですが……」
「? どうかしたの?」
「外の世界では、人間達の間で、とある『予言』が広まっていたのです」
「!」
その瞬間、春風はそれが、謁見の間でウィルフリッドから聞いた、あの『予言』だと思い出した。
春風は恐る恐るヘリアテスに質問した。
「あの、その『予言』について、貴方は何かご存知があるのですか?」
「それは……」
ヘリアテスが答えようとしたその時、
「そちらにつきましては儂がお答えしましょう」
と、どこからか老婆の声が聞こえた。
春風とアマテラスは「誰だ!?」と部屋の中を見回すと、
「ここでございますじゃ」
そう言って、春風達の前にスーッと現れたのは、老婆の幽霊だった。
ここで新キャラクターの登場です。
というわけで、次回、予言について詳しい話を聞きます。




