第21話 500年前の、真実
前回のあらすじ
アマテラス様登場し、ヘリアテス様とご対面。
「そ、そんな、この世界が消滅するって!?」
「し、しかも、アマテラス様の世界まで巻き込んで? それほどまでに、この世界は弱まってしまっていたのですか!?」
アマテラスから告げられた事実に、リエラとヘリアテスはショックを受けた。その様子を見て、春風は心の中で呟いた。
(まぁ、そりゃそうなるよな)
現在、ログハウスの中は1つのテーブルを挟んで、一方にはヘリアテスとリエラ、それに向かい合う形でアマテラスと春風が座っているという構図になっている。
「まぁそういうわけで、今は春風君を通してこの世界の現状を見ながら、こっちは神様総動員で地球を消滅させないように頑張っているわけなのよ。で、この状況、一体どうしてくれるわけ?」
「そ、それは……」
責めるように問い詰めるアマテラスに、ブルブルと怯えるように震えるヘリアテス。
「それに、見たところもう1柱もいないけど、あの子どこにいるのかしら? いや、それ以前に、何でそんなに小ちゃくなってんの? 理由があるならもちろん聞くよ?」
「……」
ヘリアテスはなんとか答えようとするが、ショックが大きすぎて思うように言葉を出せずにいた。
するとそこへ、
『それは私達がお答えします』
そう言ってアマテラス達の前に現れたのは、4つの大きな光の塊で、それぞれ青、赤、黄、緑色に輝いていた。
塊はアマテラス達の側に近づくと、その形を変えて、青い塊は白いドレスを着た青い長髪の女性に、赤い塊は炎のような真っ赤な髪をした筋骨隆々の男性に、黄色い塊は杖を持った長い髭を生やした年老いた男性に、緑の塊は短い緑色の髪をした、春風とリエラと同じ年頃の少女の姿になった。
「おや、君達は?」
アマテラスがそう問いかけると、青い髪の女性から順に、
「水霊女王ティーア」
「炎霊王メイラス」
「地霊王ズーシン」
「風霊女王ヒューノ」
『我らはヘリアテス様に仕えし精霊の王』
まさかの精霊のお偉いさんの登場だった。
少し驚いたアマテラスの前に、ティーアと名乗った女性が1歩近づき、その場に跪いた。
「異世界の神様、そしてその契約者様。この世界の住人が引き起こした今回の事態、大変申し訳ございませんでした。御二方のお怒りは重々承知の上ですが、どうか私達の話を聞いてください」
ティーアの言葉を聞いて、アマテラスはフゥと息を吐くと、
「わかった、話を聞かせて」
と、説明を求めた。
ティーアは「ありがとうございます」と一言礼を言うと、
「実は、ヘリアテス様ともう1柱の神であるループス様は、共に神としての力を奪われ、長い間封印されていたのです」
「!」
その時、春風の脳裏に、ウィルフリッドから聞いたこの世界の昔話が浮かび上がった。
「『奪われた』とは、どういうことなの?」
さらに説明を求めるアマテラスに、ティーアは答えた。
「全ては500年前のあの日、この世界に『侵略者』が現れたのが原因なのです」
それはわかりやすく言うとこういうことだった。
今から500年前、この世界エルードは、『太陽と花の女神ヘリアテス』と、『月光と牙の神ループス』、そして彼らによって生み出された『妖精族』と『獣人族』によって、平和な時代が築かれていた。
ところがある日、空から邪悪な光と共に1隻の大きな船が現れて、世界に対して攻撃をしてきた。
妖精族と獣人族は力を合わせて反撃に出たが、船から出てきた見たこともない生き物や軍隊によって、次々と殺されてた。
この現状を嘆いたヘリアテスとループスは、世界を守るために戦うこと決意し、その船に突撃したのだが、船にの中にいた5人の男女は、神である自分達以上の強大な力の持ち主だった。
戦いに敗れたヘリアテスとループスは、5人に神としての力を奪われ、彼らの手下達によってエルードの別々の場所に封印されたのだった。
「なるほど、そんなことがあったとはね」
ティーアの説明に納得の表情を浮かべるアマテラスを見て、ヘリアテスが口を開いた。
「そして今から20年前に、封印が弱まって、私は解放されたのです」
その言葉を聞いてヘリアテスに向き直るアマテラスと春風。
「目覚めた時、平和だったこの世界は、見るも無惨に変わり果てていました。山や森は切り開かれて見たこともない都市や町が出来ていて、私達が生み出した妖精や獣人は数を減らして散り散りになり、たくさんいた精霊達が苦しみの末に消されて、挙げ句外は侵略者が放った生き物が、『魔物』として蔓延っていました」
「……」
「そして肝心の侵略者達の船は、この世界に降り立って、そのまま1つの国となりました」
その時、春風はまさかと思い、ヘリアテスに質問した。
「あの、ひょっとしてその国って……」
「そうです! 今回ルール無視の異世界召喚を行った、ファストリア王国です!」
そう話すヘリアテスの顔は、大粒の涙で濡れていた。
春風はあまりの事実に、言葉を失った。
次回、過去の話は続きます。(真面目な話)




