第19話 春風、神(本物)に会う
前回のあらすじ
春風君、リエラに衝撃の事実を聞かされる。
ファストリアから少し遠く離れた森の中を、リエラと春風はどんどん進んだ。
「よし、この辺りかな」
そう言って、リエラはその場に立ち止まると、
「おーいみんなー、出てきていいよー」
と、誰かを呼び出した。
春風は何だろうと思って首を傾げると、リエラの周りに、様々な色をした小さな光の塊のようなものが集まってきた。
「えっと、リエラさん、その子(?)達は一体……」
戸惑っている様子の春風に、リエラは笑顔で答えた。
「大丈夫、この子達は『精霊』。私の『家族』で『友達』なんだ」
そう言った後、リエラは精霊達に向き直り、
「お母さんへの道をお願い」
と頼んだ。
すると精霊達は、小さな光の粒を空中に放った。
いくつもの粒はリエラの前で1つに集まり、やがてそれは大きな白い扉となった。
「さ、行くよ春風」
そう言って、リエラはその白い扉のノブを掴んで、ガチャリと音を立てて扉を開けた後、扉の向こうへ入った。春風もすぐに、その後を追いかけた。
扉の向こうはまた森の中だが、さっきまでいた森と違って、どこか神秘的な雰囲気を感じた。
「エルード、なんだよな?」
と、思わずポロッと口に出してしまうくらい、春風はその景色に見惚れてしまっていた。
「こっちだよ春風」
スタスタと歩くリエラの後を追いかける春風。しばらくすると、一軒の木造の家ーーログハウスにたどり着いた。
リエラはログハウスの玄関の前に立つと、トントンとノックした。
「はーい」
玄関の扉の向こうから、幼い少女の声が聞こえた。
「お母さん、リエラだよ」
リエラがそう言うと、やはり幼い少女の声で、
「どうぞ」
と返事が来た。
リエラは扉を開けると、
「お母さん、ただいま」
と、中へ入っていった。
春風は後を追いかけると、
「お、お邪魔します」
と、恐る恐る入った。
中に入ると、そこは綺麗に片付いていて、部屋の中央には大きなテーブルに椅子が6つ並んでいる。その中の1つに、10歳くらいの幼い少女が座っていた。ちなみに、リエラは少女のすぐそばに立っていた。
固まっている春風に、リエラが口を開いた。
「紹介するね、春風」
そして、視線を少女に移すと、
「私のお母さんだよ」
「!?」
ギョッとなった春風に、今度は少女が口を開いた。
「はじめまして、異世界の方」
幼いながらも、どこかしっかりとした口調で話す少女。
「そこではなんですので、どうぞこちらへ」
少女はそう言って、春風を自身の近くへ来るようにと促した。
少女の言葉を聞くと、春風は意を決して、彼女の近くへと移動した。
春風は少女のそばに着くと、静かにスッと跪いた。
(この子……いや、この方がアイツらが言っていた『邪神』。そして……)
「お初にお目にかかります。地球人の、幸村春風と申します。無礼を承知でお尋ねしますが、『太陽』と『花』の女神、ヘリアテス様でよろしいでしょうか?」
春風の態度に少し驚いた少女。だが、すぐに落ち着いた口調で話しかけた。
「そんな風に呼んでもらえたのは、久しぶりですね。そうです、私の名はヘリアテス。『太陽』と『花』を司りし、この世界エルードの、真の神の1柱です。といっても、今の私にはほんの僅かしか神としての力を持っていませんが。と、恥ずかしいですので、どうか顔を上げてください」
恥ずかしそうに言う少女、ヘリアテスの言葉に従い、春風は
「はい、失礼します」
と言って顔を上げた。その後、
「あの、もう1つ無礼を承知でお願いがあるのですが」
「? なんでしょうか?」
「お手を拝借してもよろしいでしょうか?」
その言葉に、ヘリアテスは一瞬目が点になったが、すぐに穏やかな表情で右手を差し出した。
「どうぞ」
「では、失礼します」
春風は差し出されたその手に触れると、頭の中で声が聞こえた。
『エルードの神との接触を確認。地球の神と通信・通話が出来るようになりました』
声がそう言った次の瞬間、ピピピッと大きな音が鳴った。それは、春風のズボンのポケットからだった。
(まさか……)
春風はポケットに手を入れると、音の発信源ーースマホを取り出した。
画面を確認すると、そこにはとある存在の名前が表示されていた。
春風はスマホを通話状態にして、
「はい、もしもし」
と話しかけた。すると、
『あ、春風君、アマテラスこと天照大神でーす』
それは、春風の祖国である日本の主神、アマテラスこと天照大神の声だった。
次回、2つの世界の神、対面する。




