第17話 飛び出せ、外の世界へ!
今日は、本編と設定の2本を投稿します
前回のあらすじ
リエラと一緒に騎士を撃破した春風君、堂々と名乗る。
ーー彼は一体、何を言ってるんだ?
春風の名乗りを聞いて、リエラを除いた謁見の間にいる者達全員がそう思った。
しかし、春風はそんな彼らを無視して、
「それじゃあ国王陛下」
「?」
「ここ、出て行く許可をください」
「この状況でまだその要求をするのか!?」
3度目の要求に、ウィルフリッドはハッと我に返ってツッコミを入れた。
だが、すぐに真面目な表情になって、
「嫌だと言ったら?」
「普通に勝手に出ていきます」
「ちょっと待て! では何故許可を求めたのだ!?」
「陛下に許可を貰ってからの方が、後で面倒なことにならないと思ったからです」
4秒の沈黙。
一瞬呆けた表情になったウィルフリッド。しかし、再び真面目な表情になって、
「城の外には……国の外には、危険な魔物だけでなく、邪神によって生み出された魔物もいる。そんな状況でも、其方はここを飛び出して外に出るというのか?」
謁見の間に緊張が走る。
だが、
「それなら、ご安心ください!」
リエラがバッと右手を上げて叫んだ。
「む、其方は確か……」
「ハンターの、リエラ・フィアンマと申します! 彼の身柄は、私が預かります!」
リエラの発言に、「えぇっ!?」となる小夜子とクラスメイト達。
そんな彼らをよそに、リエラは春風に向き直る。
「春風……で良いんだよね?」
「うん」
「さっきまでの春風の話、全部聞かせてもらったよ。だから私にはわかるんだ、春風が求めているものがなんなのか」
「……」
「春風が求めているものは、私が用意する。私なら、用意することができる。だから……」
リエラはスッと右手を春風の前に差し出した。
「私を信じて、一緒に来て!」
そう言ったリエラの目を見て春風は思った。
この世界に来る前に見た、アマテラスの目によく似ていると。
その瞬間、春風の直感が、
「彼女を信じろ!」
と叫んだ。
そして、春風は、
「連れてってください、今すぐ!」
そう言って、差し出された手を握った。
その瞬間、リエラがパァッと笑顔になって、
「よおし、それじゃあいこ……」
「あっ! ちょっと待って、その前に」
行こうと手を引っ張ろうとするリエラを止めて、春風は小夜子達に向き直った。もちろん、リエラに「ちょっとごめんなさい」と言ってから手を離した。
そして、真剣な眼差しで小夜子達を見て、
「ごめんなさい、高坂先生、みんな。俺は国王陛下達を信用することが出来ません。なのでしばらくの間、みんなと別行動をとります。でも俺は、絶対に生きてみんなのところに戻ります」
そう言って、小夜子とクラスメイト達、特に流水と水音、そして1人の少女に謝罪の念を込めた視線を送ると、深く頭を下げた。
「もういいの?」
不安そうにリエラが尋ねると、
「うん」
春風は静かに、しかし力強く頷いた。
「それじゃあ……」
リエラは手に持つ武器を構えると、2人の兵士が守る大きな扉に向かって思いっきり振るった。
ブオンッ!
バアンッ!
扉は大きな音を立てて吹っ飛ばされた。
「わざわざ扉壊す必要あるの?」
「いやぁ、ただなんとなく」
無表情で問う春風に、笑顔で答えたリエラ。
そんなやり取りをした後、春風は再び小夜子達に向き直ると、
「それではみなさん、ちょっくら行ってきます!」
と、笑顔でそう言って、リエラと壊した扉に向かって走り出した。
だが、そこへ、
「「春風っ!」」
その声に春風がピタッと止まって少し振り向くと、そこには行かないでと言わんばかりの顔をした流水と水音がいた。
そんな2人を見て、春風は困ったような顔をしたが、すぐに苦笑いをしながら、
「ごめん」
と左手でジェスチャーをして、今度こそ、リエラと共に走り出した。
「こっちだよ春風!」
リエラを先頭に王城の中を駆ける春風。やがて階段を降りて、大広間を抜けると、城門までいっきに走った。
城門を出ると、そこにはとても綺麗で、活気のある街が広がっていた。走りながら周りを見ると、どれも地球では見たことがないものが沢山あって、改めて異世界に来たんだということを実感した。
出来ればもう少し見ていきたいのだが、今は一刻も早くここ出なければいけないので、グッと我慢して走った。
「あそこを抜ければ外に出られるよ!」
そう言ってリエラが指さしたのは、先程通った城門以上に大きな門だった。門番の監視の下、多くの人達が行き来しているのがよく見える。
2人は王城以上に速いスピードで門に向かって走る。が、
「そこの2人、止まりなさい!」
門番の1人が待ったをかけてきた。
だが、2人はそんなことでは止まらなかった。
「ごめんねぇっ!」
先に走っていたリエラは、勢いよくジャンプして門番の頭上を飛び越えると、スタッと着地して再び駆け出した。
それを見た春風は、
(スキル[気配遮断]!)
とスキルを発動して自身の気配を消して門番の横を通り過ぎた。
その後、門を通り過ぎて、先に走っていたリエラが外へ飛び出した。
そして、それに続くように、春風も門の外へ飛び出した。
(よし、出られたぁっ!)
こうして、2人はファストリアからの脱出を果たしたのだった。
次回は登場人物その2です。




