第1話 日常の終わりと、神々との出会い
本日2本目の投稿です。
少年の物語は、ここから始まります。
彼の名は幸村春風、17歳の男子高校生だ。
幼い時に両親を亡くし、現在は養父である涼司と2人で暮らしている。
平穏をこよなく愛し、必要以上に目立つ事を嫌う、そんな「ごく普通の高校生」だ。
そんな彼は現在……何も無い真っ白な空間にいる。
「ここは一体どこなんだ?」
見渡す限り、辺りには人っ子1人いない。建物どころか、木や草も生えてない。一応地面に立っているのは分かっているが、足元には小石1つ無い。
春風は辺りを一通り見回すと、次に自分の服装を確認した。
今、彼は自分が通っている高校の制服を着ている。青いブレザータイプの学生服でネクタイは赤。左の胸ポケットには「常陽学園」と、高校の名前の入った刺繍が付いている。右の内ポケットには自身の生徒手帳が、左の内ポケットには、「御守り」と刺繍された細長い布の袋が入っている。春風が「師匠」と呼ぶ人物に、高校の入学祝いに貰った物だ。手に取ると中身も入っていて少し重かった。右腕の袖を捲ると、肘から下の部分には2年前の「あの日」から巻き始めた包帯が巻いてある。ズボンの右ポケットには最新のスマートフォンが、左ポケットには自分が乗るバイクのキーが入っている。春風はすぐにスマートフォンーー以下スマホの電源を入れた。画面はつくが、「圏外」の表示が出ていたので、がくりと肩を落とした。因みに、足は校内で履く上履きを履いている。
以上を確認すると、春風は漸く、自分に何が起きたかを思い出した。
その日、春風はいつものように朝起きて、日課であるトレーニングを済ませると、シャワーを浴びて朝食をとった。そしてそれが終わると高校へ行く準備をして、
「じゃあオヤジ、行ってきます!」
「おう、行ってらっしゃい!」
と、涼司と元気良くやり取りをして玄関を出る。それから愛用のバイクに跨り、エンジンをかけて高校へと出発した。
高校に着くと、いつものようにバイクを降りて校内にある駐輪場に停める。そして校舎に入って下駄箱で靴から上履きに履き替えると、2階にある自分の教室に向かった。
教室に入ると、窓側にある自分の席に座る。暫くすると、1人のスーツ姿の気の強そうな女性が入ってきた。担任の高坂小夜子だ。その後、朝のホームルームが始まる。ここまでは、いつも通りだった。そして、いつもなら高校が終わった後は、涼司が経営する喫茶店を手伝う。それが、春風が過ごしている日常だった。
しかし、その日常は、何の前触れも無く終わりを迎えた。
それは、昼休みを迎えていた時だった。
いつものように、クラスメイトの何人かは昼食をする為に教室を出て行った。春風も用意した弁当箱を持って教室を出ようとした時、教室の扉がいきなり閉まり出した。その後、教室の中で何やら不気味な声が聞こえた。何を言っているのかは分からなかったが、とにかく異常事態だというのは理解した。
声が聞こえてから暫くすると、今度は教室の床が光り出した。その時、危険なものを感じた春風は、咄嗟に側にあるカーテンを掴んだ。次の瞬間、小夜子をはじめ、1人、また1人とクラスメイト達がその光に吸い込まれるように消えた。
次々と消えていく中で、必死にカーテンにしがみつく春風。そして教室の中は、春風ただ1人だけとなっていた。そんな状況でも、光は容赦なく春風を飲み込もうとする。
「(も、もう駄目だ)」
と、諦めかけたその時だった。
「この手に捕まって!」
どこからか女性の声が聞こえてきて、それと同時に上の方から春風に向かって一本の腕が差し出された。
春風はすぐに右手を伸ばしてその腕を掴み、その後もう片方の手で同じように掴んだ。
すると、物凄い力で光から引っ張り上げられたが、その時の衝撃で、春風は意識を失った。
そして気が付くと、真っ白な空間にいるというわけだった。
「どうやら、無事に思い出せたようだね」
全てを思い出した春風が、ハッと目の前を見ると、そこには、歳は20代半ばくらいか、着こなし方は違えど、白いワイシャツに青いジーンズ姿の、1人の若い女性と、2人の若い男性が立っていた。
女性は長い黒髪を後で1つに纏めていて、顔付きは良く表情こそ穏やかだが、その瞳には強い意志を秘めた感じがした。また、服の上から見ても抜群のスタイルを持ち、ワイシャツのボタンは上は2つ外れていて胸元が見えていて、下は1つ外れていて隙間からおへそがこんにちはしていた。
2人の男性はというと、1人は「ワイルドなお兄さん」を思わせるカッコいい感じの顔付きで、褐色の肌に短くカットされた白髪を持ち、ボタンを全開にしたワイシャツの下には無駄のない筋肉の付いたボディが見えていた。もう1人は女性と同じ黒髪だが髪型も身嗜みもキチンと整えられていて、一見「クールなお兄さん」を思わせる知的な雰囲気だが、右目に黒い眼帯を付けているのが気になった。
因みに、3人とも裸足だった。
「あの……どちら様でしょうか?」
春風が恐る恐る尋ねると、女性はニコリと応えた。
「私は|天照大神、日本の太陽を司る女。アマテラスと呼んでね」
自らを日本の主神と名乗った女性に続いて、白髪の男性も応える。
「俺はゼウス、オリュンポスの長だ。よろしくな」
今度はギリシャ神話の最高神である。そして、最後に眼帯を付けた男性が応える。
「ヴァルハラの主、オーディンだ」
最後は北欧神話の最高神だった。
「か、神様だって!? なんてこった、なんてこった……」
まさかの神様の登場に狼狽する春風。そんな彼の次の台詞は、
「その髪型、スッゲェ似合ってます!」
「「「え、そう? 嬉しいな……って、違うだろ!」」」
その時、真っ白な空間に、3人……否、3柱の神達のツッコミが響き渡った。
さて、前置きが長くなったが、これが、後に「常識デストロイヤー」、「口笛を吹く死神」、そして、「神殺しの大賢者」と、幾つもの二つ名で呼ばれる事になる少年、幸村春風と、地球を守る神々との、運命の出会いだった。
次回、目の前にいる神様から、とんでもない話を聞かされます。




