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言葉の彼方へ  作者: 美憂
4/10

恋愛指南~瑞穂~

おやすみって送ってからさらに返信するなんて、うざくないかな。


あたしは少し携帯を持ったまま考える。

返信くれたってことは、返してもいいんやよね?でも最初に送ったのはあたしだから修也でメールが終わるのが普通なんかなあ。


ああ。はじめて好きな人にメールする中学生じゃあるまいし。

いい年して何してんねんやろ。


でも返信してしまう。

今日が楽しかったからその余韻をまだ味わいたいような気がして。


・・・贅沢やな。


そう思ってあたしは自分にあきれた。


何をどうしたいとかわからへんけど、修也に関してはどうしようもないくらい悩む。

そして出来るだけ妥当に終われる所でメールを打ち切った。


正確に言えば、多分修也が妥当だと思ってくれるだろう所で。


「あ~何をぐだぐだと」


声に出して自分でけりをつける。


今日は修也に会えたそれだけでいいはずやのに、何をこれ以上望むっていうんやろ。


この続きは湯船の中で考えよう。



「ふ~」

浴室から出るとあたしは冷蔵庫をあけ、缶ビールを取り出す。

今日の夕食は修也と一緒だったから、アルコールは飲んでないねん。


修也はお酒を飲まない。

飲めないのではなくて「飲まない」んやって。



初めて修也を会社の仕事以外で呼び出すのに成功した時。


あたしは「税金のことを教えて欲しい」って電話したわけなんやけど・・・。

修也はいきなりのあたしの電話にも快く返事してくれて、いろいろ教えてくれた。


あたしはそのお礼にと理由付けて「飲みに行きましょう」と誘ったんやけど。


修也は「僕飲まないんですよね。それでも良かったら飯食いましょか?」と答えた。

それから修也と一緒にご飯を食べるときはアルコールを取らない。


かれこれ、1年になるのかな。あれから。


修也はあたしが誘えば来てくれる。

ご飯でも、映画でも・・・甲子園球場でも。


でもな。

修也から誘ってくれたことはない。


相談すればのってくれるけど、修也に相談されたことはないねんな。

・・・まあ頭のいい修也があたしに相談する事があるのかって話やけども。


あんまり修也は人と付き合いたがらないのかも知れへんな、と最近思う。


出会った税理士事務所でも事務所では冗談も言うし話はしてたけど。

忘年会とかそういうのには参加せえへんって事務の女の子が言ってた。


とっつき難い事もないし、どちらかといえば話しやすい人やのに。


でも。


話せば話すほどどこかの地点から近づけへん気がする。


それを感じたのも最近のこと。


『いい年してお友達もないもんやわ』


そういった親友の美弥の言葉を思い出してあたしはぐいっと缶ビールをあけた。


でも。それ以上入れてくれへんねんもん。しゃーないやん。


「しゃあないやんか~」


・・・思わず声に出してしまった。


PCを立ち上げて自分のブログへ入ってみる。


「・・・あう。」


ブログ経由のメールが7件。


皆あたしのブログの読者さんや。


『恋愛の営業力』なんて本を出しちゃったもんやから、恋愛相談のメールが毎日やってくる。


・・・それなのに。


当の本人はこの一年『お友達』から抜け出せないでいる32歳女子やで。


情けないったらありゃしない。


「人様の事やったらわかるのになぁ。自分の事となったらあかんなぁ。」


やべ。最近独り言が多くなった。


あたしの本の2章目にこんな言葉があるねん。


「独り言を言う女はモテない」


ああ。あたしの事やんっ。


・・・やばい。やばすぎるっ。



文字で恋愛語るのは簡単やのに、リアルな恋愛は文字のようにはいかへん。


あたしの読者様たち・・・・。


ごめんっ。
















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