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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 8 -Starting of the END 《魔女王の後継者》-
143/188

114.5 with The impact on humanity

 国連本部が観測室。

 裁定者の出現に備えアタフタと人が動き回る。

 何十人ものエキスパートがモニターや衛星情報を注視。

 あらゆる事態をすぐに把握できる体制に。

 ここは人類で最も優れた観測場である。


 「しかし衛星が何もキャッチできねえとは」

 「あれっきり現れませんもんね」

 「データによりゃ空間を超えるらしいからな」

 「ほんっと恐ろしいですわ」


 退屈、なんて言葉は似合わない。

 観測員たちは何も起きない現状に対して言葉を吐く。 

 ただ両の手はしっかりと動作、仕事をしている。

 しかし成果は表れず。

 こんな日々が1ヵ月半以上続いているのだ、流石のプロも口ぐらいは動くと言うもの。


 「それと赤眼ちゃん、もう動けるらしいです」

 「はっや! 回復速度トンデモねえな!」

 「なんせSS級ですし、あの人たちは人間辞めてますから」

 「だとしたら、あとは変幻か」

 「ですね。彼が見つかれば————」

 

 フィンランド事変から変幻ユウ・ヨンミチの行方は知れず。

 裁定者が消えてから周囲の調査に入ったが手がかり無し。

 それもそのはず、あの魔女王が連れ去っていったのだから。

 理由は不明、だがなんにせよ観測は確かに。

 映像として共に転移したのは捉えている。


 「まさか魔女王に人体実験されてたりして」

 「悪い冗談だな」

 「いやでも、魔女王だったらエロいことも……」

 「それ以上言ったら上にチクるわ」

 「じょ、ジョークだよ! ジョーク!」

 

 人体実験というなら、わざわざ瀕死であった赤眼を送り届けた真意が見えない。

 共に連れ去ればいい話、優秀なモルモット2体が手に入る。

 消えてからの期間、果たして何処で何をしているのだろうか。


 「っん!?」

 「どうしたんだよハンス?」

 「北極で大きい魔力の波を感じ、ってこれはパターン(バイオレット)じゃねえか! レイナードそっちは!?」

 「……紫の魔法と確定! 波長も魔女王と一致!」

 「衛星の座標合わせろ! 上にも知らせろ!」

 「やべえやべえ! これきてるわ!」


 もう駄弁ってる暇はない。

 何十日ぶりの手がかり、逃すわけにはいかない。

 けたたましく鳴る非常音、魔女王が北極に現れたことを告げる。

 

 「座標固定! モニターに映像出ます!」


 誰もが手を動かしつつ画面を見据える。

 果たして何をしに現れたか。

 ただその中継を見て、止まるはずのないプロの手は静止してしまうことに。

 魔女王の魔力を放つ存在、氷の大地に立つその人物は予想とは異なっていたから。


 「へ、変幻だと!?」

 「嘘ろだろおい! 偽装の魔法か!?」

 「い、いえ、空間への干渉は見つかりません!」

 「銀神の神力も察知しました、本物です!」

 「じゃあ変幻が魔法を使ってるってことなの……」

 「上の予想が的中したってことか」


 変幻が魔法を使うってことは軽く噂になっていた。

 それも仮想の話だったがここで現実に。

 少なくとも人類最高峰の科学はそう証明している。


 「しかし何故北極に……」

 「あ」

 「どうした?」

 「えっと、1週間ぐらい前、魔熊族の王ベアルが居るのを確認しました」

 「移り住んできたばかりの魔王が居るわけか」

 「はい。もしかしたら……」


 それ以上は語らずとも。

 既に画面上では魔王に対し、変幻が正面相対している。

 彼の周りには幾つもの魔法陣が、魔法を使う、使えるのは一目瞭然。

 

 「磁場安定! 音声も入ります!」


 静音から音をキャッチ。

 果たして何を語っているのか。

 もはや皆モニターを見ることしか出来ない。

 仕事を吹き飛ばすくらい興味が先走っているのだ。


 『————力試しに来たんだ。師匠の命令でな』


 久方ぶりに聞くその声音は自信で満ち溢れていた。

 画面越しでもメラメラと闘志が伝わってくる。

 間違いない、彼は魔王をたった1人で倒しに来たのである。

 そして放った師匠という単語、これを指す人物とは————


 『魔女王が一番弟子、ヨンミチ・ユウだ』

 

 人類に衝撃を与える。

 姿を消していたSS級の能力者。

 相棒は脳筋、内に神と魔風を秘めるその男は魔法片手に。

 その余りに強大な魔力量、観測器も悲鳴を上げている。


 『————行くぜ』


 展開される魔法の海。

 その姿は確かに魔女王を彷彿とさせる。

 否応なく飲み込まれていく魔族たち。

 観測員たちも絶句、画面越しながらその様相に心を奪われる。

 かの幻の男は、魔女王の後継者として帰ってきた。

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