ネコと節分
今回は節分特別編。
連載している
『ネコの肉まん~痛いネコのほのぼのストーリー~』
を短編でお届けいたします。
「んにゃ? 頭が重いにゃん……」
ぼくは頭に違和感を感じて目が覚めた。
しかも、目の前には子どもたちがいる。
「何で、子どもがいるにゃ? しかも子どもたちはぼくを見てニヤけている。嫌な予感がするにゃ……」
すると、子どもたちはぼくめがけて小さな粒を投げてきた!
次から次へと投げつけてくる。
「痛いにゃ! 痛いにゃ!!」
投げつけられた粒を見ると…… 。これは豆?
ぼくは何も悪いことなんてしていないのに、どうして豆を投げつけてくるの?
ふとカレンダーを見たらあることに気がついた。
「あっ! 今日は、2月3日だから節分だにゃ!」
節分だから豆まきをするのは分かるけど、ぼくに豆をぶつけるのはおかしいにゃん。
ぼくは鬼じゃない。ネコ!
子どもたちからの攻撃から逃れる為、リビングを抜け出し隣のお部屋に行った。
ふと、鏡が視界に入る。
「んにゃ? コレは……」
ぼくの頭の上には、鬼のお面がつけられていたのだ。
「いたぞー!」
ぼくを見つけた子どもたちは、さっきよりも勢いよく豆を投げつけてきた。
「痛いにゃ! 助けてにゃ!! ご主人様~!!!」
子どもたちの攻撃はまだまだ続く。
このままではずっと豆を投げ続けられるかもしれない。
必死にご主人様を探すぼくを追っかけ、豆を投げつけてくる。
「ご主人様はどこ~!? どこにもいないにゃん。痛いにゃん!! ご主人様~。助けて~!!!」
リビングに入り窓の外を見ると、庭にご主人様がいた。
「助けて~。ご主人様~!」
ご主人様はぼくに気づき見ている。
「チャンスだにゃん。この状況なら、いくらご主人様だって、子どもたちの方が悪いって分かるはずだにゃ!」
いつもは重いぼくの身体も、このときばかりは軽かった。
夢中でご主人様の元へ走った。
ぼくの思いが通じたのか、ご主人様も慌ててぼくに駆け寄って来る。
「ご主人様~。今、そっちに行くにゃ!」
ご主人様との距離は、あとわずか~!
「ゴンっ!」
その瞬間、ぼくは窓ガラスにぶつかり、倒れ落ちた。
「にゃ……」
なんと、窓は開いていなかったのだ。
ぼくはご主人様の顔が見られたことで安心してしまい、肝心なことを忘れていたのだ。
そう言えば、前にもこんなことがあった気がする……。
ぼくが窓にぶつかることを予測したから、
ご主人様は慌てて駆け寄って来たのだった。
遠くなる意識の中でぼくは、
来年こそは子どもたちに豆を投げつけてやると誓った。
「鬼は外にゃん。」
《終わり》




