京の情勢と北の凶作
10月となって刈入れが終わると、本来であれば合戦の季節となるのだが、相模、武蔵は平穏な時が流れていた。
長尾景春の乱が終わり、古河公方である足利成氏も息を潜めているからだ。
収穫高の報告書を確認し、順調に石高が上昇しているのを確認していたら、京に向かわせた斉藤勝康から現状報告のような書状が届いた。
書状によれば、管領家の畠山氏、斯波氏の家督争いから端を発し、将軍家や細川家、山名家といった守護大名を巻き込んだ大乱が終わったものの京の町は荒廃しており、その中でも特に寺社、公家、武家屋敷があった上京の被害が大きく、帝を始め公家衆が困窮しているという状況らしい。
予想通りと言うか、ネットの情報通りだ。
そして書状には京についてから中堅どころの公家に狙いをつけ、土産に清酒と食べ物を持って前触れ無しに訪ね歩いては、京の現状を嘆き、豊嶋家や三浦家は帝や公家衆を心配し支援を行いたいが、関東では幕臣である関東管領家と足利家一門の古河公方が不毛な争いを繰り広げ荒廃している旨を話して廻っているらしい。
しかも帰る際には「些少ですが…」と言い10貫文を置いて帰るという憎い演出をした事で、今では斉藤勝康が借上げ滞在している下京の家へ公家衆から誘いが来るようになっているらしい。
まだ大物と繋がりの強い公家衆を見極めている段階で、大物とは接触出来ていないらしいが、恐らく年内には大物との繋がりを持てるだろうとの事だ。
ただ、困窮する公家衆を相手にしているため金がすぐ飛んで行くので、追加の金が必要となりそうだとも書いてあった。
うん、確かに5000貫文は用意したが、公家を一回訪問する度に10貫文を置いて来るとなれば、500回で5000貫文になるな。
しかも官位が高い公家と接触するようになれば、それなりの金を置いて来る必要も出てくる。
俺の予測が甘かったのだが、恐らく後5000貫文は必要になるはず。
品川湊の宇田川清勝と石神井の川上屋彦左衛門に支援をさせているが、それだけだと心許ないので追加で5000貫文を送る事にした。
うん、関東管領上杉顕定から褒美として5000貫文貰ったし、収穫高も交易も順調だから財政的にも何とかなるしな。
それにしても今年、東北は冷夏によって米が凶作というのが何より大きい。
本格的な冬が来て海が荒れる前に豊嶋領で採れた米や麦、稗や粟、今年の冬に作った8~9ヵ月ものの干し芋を、北の葛西領、大崎領、南部領、安藤領、蝦夷に船で運び売る事でかなりの利益が出ている。
まあ実の所、東北方面は金があまり出回っていないので物々交換に近いのだが、砂金や銀、銅に加え鮭や昆布などの海産物や毛皮などが手に入った。
特に砂金と銅での交換を奨励したので、銅が江戸城の蔵にどんどん溜まっていく。
銅は灰吹き法を用いれば、銅に含まれる金、銀が取り出せるうえ、取り出した後の銅を今後明などとの取引にも使えるし、将来は私鋳銭を作る際にも使える。
そして俺が欲しかった津軽で採れた米、それも冷夏で凶作の中でも収穫出来た物が10石程手に入った。
どうやら向こうは売り渋ったようだが、津軽の米1石に対し関東の米2石と言ったら、不思議そうな表情を浮かべながらも快諾してくれたらしい。
津軽で育てられている米は寒冷地でも育っている。その上今年の冷夏で凶作の中で育った米なので、それなりに寒さに強いと思う。
なので津軽から仕入れた籾米を来年、塩水選で良い籾米のみを選別したうえで育苗し、一部の田に植え育てる予定だ。
津軽の米だけを植えた田だけでなく、豊嶋領で採れた米と津軽の米を交互に植えた田を作り、あわよくば寒さに強く収穫量の多い品種を作り出せればと思っている。
それにしても東北に米や麦、稗や粟、干し芋は、船で運んだら運んだ分、飛ぶように売れるので豊嶋家の財政的にも大いに助かる。
商人達も利益を上げているので税も増えるし、豊嶋領以外から米を買い入れて売っても買値の倍の利益となる。
ただ惜しいのは、宮城城下の造船所と品川湊の造船所で建造中のガレオン船もどきの完成が年末になるという所だ。
廻船よりも大きく外洋向きな上、積載量も船足も早いから既に完成していればもっと利益が出ていたんだろうけど、こればっかりは仕方がない。
それにガレオン船もどきが出来ても、乗り手の育成や操船技術の習熟も必須だしな。
来年の春ぐらいには交易に使えるようになってるといいな…。
うん、それには水軍の将が欲しい。
三浦家から引き抜く訳にはいかないから、三浦時高に相談してどこかに優秀な海賊衆を率いていて、豊嶋領に来てくれそうな人を教えて貰おう。
誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。
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