上洛 2
1489年6月
関東各地から集まった兵が鎌倉を出発し、一路、京を目指して東海道を進軍する。
この2ヵ月、色々な国人衆達から借銭の申し込みが多かった…。
ていうか、足利成氏がしれっと豊嶋家から5000貫文を借り、それを常陸、下野の国人衆に又貸ししているのには驚いた。
利息を思いっきり値切って来たから、流石に何故かと思って風魔衆に調べさせたんだが、安い利息で豊嶋家から金を借り、国人衆には相応の利息で貸していたのだ。
常陸はともかく、下野の国人衆達からしたら、成氏に従って豊嶋家と戦っていたので、直接頭を下げて借りるのに抵抗があったのか。
それとも、成氏の元に相談に行き、成り行きでそうなったのか…。
いずれにしても成氏恐るべしだ!!
因みに成田家、太田家は、豊嶋家と婚姻関係にあるのを良い事に、貸してくれではなく、1000貫文で良いので援助をしてくれと来た。
うん、まあ後々の事もあるし、川越の合戦の時も最後まで味方した家だから、援助したけどさ。
それに比べ、三浦家と里見家は自家で費えを賄っていたのだが、海運で収入を得ているとはいえ、三浦家はともかく、里見まで財政が潤っているとは。
2家ともここ数年、合戦とは無縁だったしな…。
だけど、相応の兵を関東から離れた地まで率いて行くのだから、恐らく当初の予想を上回る費えがかかるはずだが…。
そんな一抹の不安を残しつつ、鎌倉を発した軍は、駿河を通り、遠江、三河を抜け、尾張に入る。
途中、駿河で伊勢盛時率いる1000の兵が加わったのが気に喰わないのだが、流石に足利政知が参陣を認めたので、異を唱える事はしなかった。ただし要注意人物が加わった事で、風魔衆を増員する羽目になった。
因みに、京への行程は、各地に先触れを発しているうえ、幕府からも各国の守護へ通行を妨げないようにとの命が行き届いているのか、特に大きな問題も無く、東海道を進んで行く。
当然、行きは良い。
幕府の命での上洛である以上、邪魔をすれば表立って幕府を敵に回すようなものだから手を出すような者は居ない。
問題は帰りだが、まだ上洛途中で、上洛後、どうなるかが分からない以上、風魔衆を動員して各地の情勢を探らせる。
「小太郎。 京の情勢で新たな動きはあったか?」
馬に揺られつつ、馬廻りに紛れて俺の元に報告に来た風魔小太郎に問いかける。
「京では足利義尚様が4月に急死して以降、日野富子と畠山政長は足利義尚様の従弟で足利義視様の息子である足利義材様を次期将軍にしようと画策しておりますが、どうやら細川政元殿は、亀王丸様を元服させ次期将軍にしようとお考えのようで、日々両者の仲が険悪になっており、それに伴い、京の町も不穏な空気に包まれ始めておりまする」
「やはり、次期将軍を巡って政争が始まったか…。 恐らく細川政元殿は、亡くなった公方様の体調が思わしくない事を知っていて、我々に兵を率いて上洛させた可能性があるが、上洛早々、政争に巻き込まれる可能性があるとは…。 まあいざとなれば、石山三峯寺に籠り、海路で兵を江戸に戻すまでだな」
「それと、もう1つ、周防の大内政弘が、嫡男 義興と共に8000の兵を率い上洛する為に周防を出陣したとの事、恐らく足利義材様を擁立する方に味方するものと思われまする」
「分かった、引き続き畿内の情勢を探り、動きがあれば即座に知らせよ」
風魔小太郎は、「はっ!!」っと短い返事をすると、俺の側を離れて行く。
足利義尚が陣没するのは分かっていたけど、予想通りその後継者争いに巻き込まれるとは…。
だが、考え方によっては、ここで足利政知の次男である亀王丸を元服させて将軍にする事で、その後見をする為と足利政知を唆して、足利成氏を関東公方にさせるのもありだ。
いずれは、亀王丸を将軍の座から下ろし、足利政知が溺愛している潤童子を将軍にする為には、後見として京に留まる必要があると唆してみるのもありだ。
だが、問題は、日野富子と畠山政長、そして大内政弘、義興親子だ。
応仁の乱の再来とならなければ良いんだけど…。
とりあえず、尼子経久に大内親子が上洛している内に理由を付けて周辺を切り取るよう書状を送っておこう。
それにしても畿内の勢力図が…、いや、畿内周辺の守護がどちらに味方するかが問題だな…。
尾張の斯波家や美濃の土岐家が足利義材擁立派に味方したら退路を断たれるし。
伊勢盛時はどちらに味方するつもりだ?
稚拙な文章ではございますがお読頂き誠にありがとうございます。
また誤字報告ありがとうございます。
本当に、誤字脱字、言い回し等、稚拙で申し訳ございません。
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