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第五話

 ある時、積極的にアプローチをしている途中で、自分を見失ってしまう時がある。相手の事を好きすぎて、自分の気持ちしか考えずに、相手の気持ちを無視してしまって、傷つけてしまう。恋愛というのは一人でするものではなく、二人でするもの。そんな当たり前の事も忘れてしまうぐらい夢中になってしまう女性は、それはそれで、素晴らしいのだが、こちらのペースはめちゃくちゃになってしまう。


 あげくの果てには、いい感じの所まで進んでいたのに嫌われてしまい、目も合わさない、話しても素っ気ない態度、メールも電話も無視で、アプローチのやり方がどんどんなくなってしまった。


 簡単にいえば振られているという状況だが、臆することなかれ、女心というのは前にも述べたが、変わりやすい。悪い方にも変われば、もちろん良い方にも変わる。ただ、一つ問題なのは、女性は一度信用をなくすと、取り戻すのに、よっぽどの事がない限り、時間がかかり難しい。


 嫌われた原因にもよるが、まだこちらから話しかけて返答があれば、全然問題はない。向こうから、軽い挨拶をしてきてくれれば、完璧には嫌われてはいないので充分に挽回の余地はある。最悪なのは、生理的に受け付けられないと思われ、全ての存在自体が無視で、嫌いとかではなく、どうでもいい存在と思われれば、もう終わりだ。


 そこまで思われるのは、恋愛経験が全くない男か、いい年になって、デートもしていないのに「好きです、付き合って下さい」と言ってしまう様な、モテない童貞ぐらいだろう。 


 このような男性たちは、全てがそうだとは言えないが、女性に告白して振られたら、ほとんどがショックで諦める。けれども、なかなか忘れられずに、ウジウジする。学校や職場が一緒で顔を合わす環境ならば、相手の女性は避けてしまい、振られた男性も同じように気まずくなり避けてしまう。 


 それで、なんとなく毎日がすぎ、過去の失恋の一部として風化してしまう。大体が惚れた女性を落とせないのは、振られたら終わりと思い込んでしまっている所にある。


 惚れた女性を落とせる男は、振られてからがチャンスと意気込む。少し嫌われてからがアプローチの本番だと進んでいく。


 相手の女性がしつこく押されて、嫌がっている空気を読むのは、ある程度の恋愛経験は必要だが、男なら、嫌われるのが怖くて躊躇している様では、いつまでたっても女性は変わらないし、落とせない。その間に他の男に落とされるだけだ。


 確かに押すだけでは落とせない。どこかの安っぽい恋愛指南書ではないが、押してダメなら引いてみなとよく聞くけれど、それはタイミングが重要で、そのタイミングもやはり、ある程度の恋愛経験が必要である。だから、たくさん恋愛して、たくさん失恋して、色んな女性と出会えればいい。


 何事もそうだが、はじめの一歩を踏み出すのが一番難しい。頭の中で色々と考えて、実際の行動を止めてしまう。恋愛は自信と余裕が大切だが、それも経験で培われる。

何とも皮肉で矛盾しているが、そういうものであると、あまり難しく考えないことが一番であるということである。

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