迷宮突破 ♯.35
待ちに待ったその瞬間が訪れたというのに俺たちは呆然と立ち尽くしているだけだった。
静寂、そして平穏。
戦いの終わりを実感したのは俺たちの頭上にある結晶が音を立てて砕けたのを見て自動的に出現したコンソールにこの戦闘のリザルトが表示された時だった。
戦闘で得た経験値、それに伴うレベルアップ。そしてたった一つの獲得アイテム。
「進歩の雫?」
表示されたアイテム名を読み上げ、次にその性能を確かめる。
「所持スキルを強制的に上位スキルにする、か」
いつの間にか俺の隣にまで来ていたハルが感心したように言った。
「どう使うんだ?」
「ポーションなんかと同じだよ。飲み干せばいい。そうすれば自分のスキルを一つ強化出来る」
ムラマサがそう言いながら瓶の中身を飲みほしてみせた。
「ほら? 大丈夫だろ。やってみるといい」
体になんの状態異常も齎さないと証明してみせたように空の瓶をゆらゆらと摘まんで揺らす。
「強化するスキルは自分で選べるみたいだな」
ムラマサに倣うようにハルもまた進歩の雫を飲みほしていた。
「二人とも早いのね」
「なにが?」
「それ。売れば相当な値がつくはずよ?」
空になった瓶を指差してリタが告げる。
「だって、このアイテムはイベントのクリア報酬なんでしょ?」
「どちらかといえばレイドボスモンスターの討伐報酬かな」
「どっちにしたって手に入るのは一つだけでしょ」
「なるほどね。クリア出来なかった人にとってはのどから手が出るほど欲しいってわけね」
杖を抱えながらライラが会話に参加してきた。
「そう。だから、すぐに使うのは勿体ないって……いったのに」
振り返るリタの目の前でライラが進歩の雫を風呂上がりのコップ一杯の水のように勢い良く飲み干した。
「どんな金額だったとしても売るなんて勿体ないわよ」
飲み干して空になった瓶がライラの手の中で消えた。
「そうだな。お金はどうにか出来るが、これはここにある一本だけだもんな」
スキルを強化するにはそれなりのスキルポイントと面倒な手順がある。派生スキルは元になるスキルのレベルを上げればある程度簡単に習得できるが、上位スキルとなるとそうはいかない。一般的なのは対応したクエストのクリア、もしくは希少度の高いアイテムを使用した場合だ。今回はその希少度の高いアイテムの使用に該当する。
「フーカ達も自分で使うんだろ?」
「もっちろん。でも、もう少し後かなー。どのスキルを強化するか決めてないし」
そういいながら進歩の雫をストレージに収める。
「そろそろ先に進もうぜ」
皆が進歩の雫をどう使うか一通り聞き終えた頃にハルがいった。
「レッサーデーモンを倒したからってこのイベントをクリアした訳じゃないんだからな」
ハルの言葉に俺たちは一様に思い出したみたいに声を上げた。
元々このイベントも目的は迷宮を攻略すること。その障害となっていたがためにトロルやサイクロプス、そしてレッサーデーモンと戦ったのだ。障害を取り除いたいま、先に進む俺たちを阻むものはいなくなった。
第十五階層に位置するこの部屋はレッサーデーモンとの戦闘のためだけにあった階層というわけではないようだ。運営側からのアナウンスではこの迷宮は全部で十五階層ありこの階層が最終階層になる。しかしゴールらしきものはなく、ただ十四階層で目にしたものとよく似た巨大な扉がまるで覆い隠していた霧が晴れるかの如くレッサーデーモンを倒したことを切っ掛けにして現れたのだ。
あの扉の向こうが迷宮のゴール。
そう確信したのはこの場にいる皆が同じ。
徒競争のスタートのように一斉に俺たちはその扉を目指し歩き出した。
十四階層では扉を開けるために砂時計を祭壇に捧げた。けれどこの扉には取っ手になるようなものも扉を開けるための仕掛けのようなものも見当たらない。
またしても開け方のわからない扉に行く手を塞がれたのかと辟易しそうになったその瞬間、誰かの手に触れずして独りでに扉が開きだした。
「なにも、無い……のか?」
パーティ全員、総勢九人ものプレイヤーが横並びになって一度に扉を潜れるほど大きく開かれたその先は真っ白ななにも無い空間が広がっているように見えた。
戻ることは出来ず、進んでもなにも無い空間に行き着くだけ。それでは俺たちのしてきたことはなんなのだろう。全てが徒労に終わる。そんな結末が用意されていたなんて信じたくはない。
「行ってみよう。この向こうが俺たちのゴールのはずだ」
何も見えない暗闇に足を踏み入れることは勇気がいるが、光しか見えない場所に足を踏み入れることもそれと大して違いはないように思えた。
光と闇、白と黒。正反対のようで、その本質は同じなのかもしれない。
一歩、また一歩と進む度に、俺は自分の足下に地面があることを意識的に確認しながら足を踏み出していた。
そうして進むこと僅かに一分。俺たちは白い光を抜け別の部屋へと出た。
レッサーデーモンとの戦った部屋よりも小さく、中心には金で作られた宝箱が鎮座している。
「ここは……?」
今だ目がチカチカしているような気がするが、仄かな明かりと見慣れた石造りの部屋に出自分がて安心しているのを感じていた。
「ここは報酬部屋ですよ」
俺の問いに答えをくれたのは同じパーティメンバーではない別のプレイヤーだった。
自分たち以外がここにいることに驚き、さらにこのプレイヤーの顔を見てさらに驚愕した。
「お久しぶりです。みなさん」
礼儀正しくお辞儀して見せたこのプレイヤーは纏っている装備こそ違えど俺たちがこの迷宮内で出会ったことのあるプレイヤーの一人だった。
「ああ、久しぶりだな。グリモア」
名前を呼ばれ嬉しそうに顔を綻ばせるグリモアは直ぐに表情を曇らせてしまった。
「迷宮クリアおめでとうございます」
「グリモアこそ、俺たちよりも早くここに来ているとはな。そういえば、探していた仲間は見つかったのか?」
「はい。あの後直ぐに合流することが出来ました」
隣から顔を出したハルの問いにそう答えたグリモアが両手でしっかりと装丁された辞書のように分厚い本を抱きかかえた。
「どうしたの?」
未だ顔を伏せがちなグリモアにフーカが問い掛ける。
「あ、あの……ごめんなさい」
突然謝ったグリモアに首を傾げる皆を後目に、俺はこの時すでにグリモアのこの言葉の意味も、これから待ち受ける出会いにも気付いていたのかもしれない。
「待ってたゼ。約束だったなァ」
壁際にもう一つ人影があったことに気付けなかったのはグリモアとの思いがけない再会に気を取られていたことだけが理由ではないのだろう。
このまま出会わなければいい。出会っても気付かないで過ごしたい。そう思ってしまうほどの出来事が近々で起こり過ぎていたのだ。
「……アラド」
俺が知るPKで最も強く。尤も異質な存在。
「なんで……」
声を引き攣らせたのはマオで、この時はまだPKのことを引き摺っているようだった。
「ユウ、下がれ」
ハルバードを構えながら前に出るハルの手は震えているように見えた。
それは恐怖か、それとも対人戦を行おうとする時の得体も知れぬ高揚感か。
「あン? オマエじゃねェよ。そうだろ? なァ!」
武器も持たず、ただ会話しているだけだというのに、いつの間にか俺たちの大半は委縮してしまっていた。
例外だったのはずっとソロで戦ってきた経験を有するムラマサと顔を強張らせながらも真っ直ぐアラドを見つめ返しているライラ。そしてアラドの視線を正面に受けている俺だけだった。
「……ユウさん」
いつも元気一杯といった様子のフーカでさえ、俺の上着の裾を掴んで心細そうな表情を見せてくる。
「グリモアの仲間っていうのがアンタだったとはな」
フーカの手を振り解こうとはしないで俺は感慨深く呟いていた。
「なンだよ。文句でもあンのか?」
「いや、意外だと思ってな」
「どういうイミだ」
「グリモアの話だと結構いいヤツだと思ってたからさ」
たった二人で協力し合いながら迷宮に挑んでいる仲間。それが俺がグリモアの話から受けた印象だった。
少なくとも俺の仲間を威嚇して委縮させているような奴ではない。
「あ、あの……」
俺の言葉を受けて反論しようとしたのはアラド本人ではなく、グリモアの方だった。
「アラドは――」
「いい。黙ってろ。これから戦う相手に余計なコトはいうンじゃねェ」
そしてそれを遮ったのも俺たちの誰かではなく、アラド自身。
アラドの本心がどこにあるのか。この時の俺はまだ測りかねていた。
「戦う、か。俺たちもアンタ達もここにいるってことはイベントをクリアしたってことで間違いないんだよな」
「あン?」
「そこの宝箱からクリア報酬を取り出して、迷宮を出れば終わり。そうだろ?」
「ああ。その通りのはずさ」
俺の問いに答えたのはいつの間にか隣に来ていたムラマサだった。
ライラは他の人達を下がられてその前に立ち、険しい顔で事の成り行きを見守っている。
「だったらこのまま全員でクリアすればいいだけじゃないのか?」
最後の最後でプレイヤー同士が戦うことはない。
俺の言葉にアラドはただニヤリと嗤ってみせ、
「ミジンも思ってないことをよく言う」
正面に立つ俺にそう告げた。
「決まってたンだよ。オレとオマエが会った時から。ここで、この場所で、戦うことはなァ」
始まりの合図などあるわけが無かった。
慣れた手付きで出現させた大剣を俺に向かって振り降ろすアラドの攻撃を受け止めたのも慣れた手付きで引き抜いた剣銃の刃だった。
「御託はいい。始めようぜ。オレ達の戦いをよォ」
無理矢理振り抜いた大剣は俺の目の前を翳め、そのままアラドの手を離れ壁に突き刺さった。
「どうした? チャンスだぜェ、攻撃して来ないのか?」
武器を放し、文字通り無防備を晒すアラドに俺は反撃することはなかった。
黙って数歩後ろに下がり距離を取るとそのままコンソールを出現させてアイテム一覧から幾つかの小瓶を取り出した。
「ユウ?」
俺の様子を不思議に思ったのか、アラドを牽制し続けていたライラが俺の名前を呼んだ。
「どうした? 武器を拾わないのか? 俺は攻撃するつもりはないぞ」
手の中にある小瓶の栓を抜き、中身を一気に飲み干した。
「ハハッ。いいねェ。そうだ、全力で来い。オレも……全力だ」
凄い勢いで回復していくHPとMPを確認しながら俺は目の前に立つアラドではなく、後ろに控えているライラに視線を送った。取り出した小瓶がポーションの類であることはこのゲームに慣れ親しんだプレイヤーなら一目瞭然。そのことに気付けなかったライラはまだかなりの緊張を残しているようだ。
「全力、か。そうだな。全力だ。俺も、出し惜しみはしない」
最後に先程手に入れた進歩の雫も飲み干した。
出現しているコンソールにスキル一覧が表示されると俺は迷うことなく一つのスキルを選択する。
「行くぜ」
「ああ」
再び出現させた別の剣を手に取ったアラドの右手には金色に輝く手甲が備わっている。
再び激突する剣と剣。
衝撃波を発生させる程の衝突が俺とアラドを同時に後ろに弾き飛ばした。
「SPEEDブースト!」
俺の声に反応して速度強化の光が全身を覆う。それが今までの≪基礎能力強化≫スキルにあった技の証のようなもの。けれどいまはその代わりとも言える小さな手のひらくらいの魔法陣が俺の手の中に浮かび上がっている。
「もう一つ。ATKブースト!」
言葉の後にもう一つの魔法陣が先程の魔法陣に重なるようにして浮かび上がった。
明滅する二つの魔法陣を俺はそのまま握り潰した。
「ハアッ!」
剣を振る速度と自分が移動する速度、そしてアラドの動きを認識するスピードすら発動前とは比べ物にならないくらい速い。それと同時に俺の剣銃が与えるダメージも上昇しているようで激突したアラドの剣が一方的に粉砕された。
驚くアラドだがそれで意識を削ぐことなど出来やしない。
すぐさま距離を取り、また別の剣をストレージから出現させて構えた。
「無駄だ!」
何度別の剣を出現させようとも、その強度がそれまでと同じなら結果は変わらない。
打ち合い続けていれば直ぐに砕けてしまうだろう。
俺の予想を証明するかのように、目の前で三本目の剣は再び粉々に砕け散った。
「ハッ、いいぞ、もっとだ! もっと楽しませろォ」
今度は二本同時に剣を出現させ、二刀流のように連続して振りかざしてきた。
絶え間なく繰り出される攻撃に、俺は防戦一方になってしまうが、それでも武器に蓄積するダメージ値には明らかな開きがある。
剣銃で防御して剣同士が衝突することで先に砕けたのはやはりアラドが振るう二刀の方だった。
「……凄い」
遠くの方でそう呟いたのは人一倍委縮していたアカネだった。
ユウとアラドとの戦闘はこれまでアカネが目にしてきたプレイヤーとモンスターとの戦闘ともプレイヤー同士の戦闘とも、ましてこの迷宮内で見たPKが行っていた戦闘とも違う、全く別のモノに見えていた。
「ユウ、いつの間に、あんなに――」
強くなった。その最後の言葉を呑み込んでハルはただ目の前の戦闘に視線を奪われていた。
自分ならどこまで戦えるのだろう。あそこにもし立っているのが自分だったのなら、自分はあそこまでの戦いを繰り広げることができるのだろうか。
その答えを知る人は誰もいない。自分すらその仮定の未来を想像することもできていないのだから。
「ふふっ」
満足そうに笑みを溢しているムラマサは隣で不思議そうな視線を送るアオイに気付きそっと刀の柄に手を置いた。
「羨ましいよ。オレもあのような戦いをしてみたい。もっと強くなりたい、アオイもそう思わないかい?」
「そう……だね。わたしも強くなりたい。今よりも、もっと、もっと」
「だったら強くなろうじゃないか。共に、どこまでも」
それは誰に対する言葉だったのか。
未来を夢見るアオイに向けたものか、それともまだまだ先があると自分に向けた一言だったのか。
「なにを――」
「え?」
不意に口を開いたマオにリタが視線を向けていた。
「あたしは何を怖がっていたのかな」
マオがPKを怖がっていたことはリタも気付いていた。気付きながらも掛ける言葉を見つけることが出来なかったのだ。
βの時代からPKという行為を目的にしたプレイヤーは存在していた。今回のイベントではそれが悪い方向で目立ってしまっただけ。そう考えていた。だからこそ悩んでいたマオに何を言っていいのか解らなかったし、自分に何ができるのかも解らなかった。
「単純なことだったんだ。強くなればよかったんだよ。PKする人達よりもあたしの方が、レベルやパラメータなんかじゃなくて、自分の意思を言葉に、行動に出せるくらい心が強くなればいいんだ」
マオは自分で答えを見出した。自分の問いに対する自分だけの答えを。
「だね。私も強くなりたいな。もっと一緒に居たいから」
仲間が悩んでいた時、自分には何も言えなくても側にいたい。そうしていつか乗り越えられる日を信じたい。この優しい、親友の側で。
「すごい、すごい! ユウさん凄く強い」
フーカは戦っているユウの姿に素直に感動していた。
何も知らない初めの頃のユウを知っているからこそ、あの場所で戦っているユウの姿がどれだけ凄いものなのかひしひしと感じることができていた。
「負けていられないわね。わたし達も」
「うん!」
そっとフーカに寄り添うように、ライラは皆の近くまで下がって来ていた。
自分が気を張って、潰れそうな皆の盾にならなければならない。アラドが現れてライラが真っ先に思ったことはそれだった。
けれどもうそれは必要無いかもしれない。
相手がどれだけ強くても、どれだけ怖くても立ち向かう勇気をあの戦っている背中は伝えてくれているようだ。
「多分、そんなこと、これっぽっちも考えてないんだろうけど」
無我夢中で、必死で戦っているだけのはずだ。ライラが知るユウという人物はそれができる人なのだから。
「楽しそう」
アラドが戦う姿はこれまで何度も見てきた。
時には隣で、時には後ろで。
無数のモンスターと無数のプレイヤーとの戦いはいつもどこか物足りなさそうな顔をしていたことを覚えている。
それはひとえにアラドが強過ぎるから。
レベル差があろうとなかろうとアラドはいつも勝ってしまう。
どんなに大きなダメージを受けそうな攻撃も避けて、受け流して、決して致命傷を受けることはない。
どんなに小さなダメージしか与えられなくても、何度も、そう何度も繰りかえして、最後には勝利を手にする。
いつしか他のプレイヤーはアラドを怖がり戦いを挑むことはおろか近付こうとさえしなくなっていた。時折り挑んでくる人もいたが、それはどこか一度はアラドと戦ったという勲章のようなものが欲しくて挑んでいるだけで、決して勝とうとはしていない、はじめっから勝てないと割り切っているように見えた。
退屈を感じながらもこのゲームを止めなかったのはおそらくグリモアのためなのだろう。
ここにいる間だけ、グリモアは自由で、それでいてアラドと共にいることができるのだと知っているから。
「……アラド」
だから純粋に自分のためだけに戦っているアラドを目にするのはどれくらいぶりになるのだろうか。
いつまでも続けばいいのにと願い見つめるグリモアを呼ぶその声が示すものはこの夢のような時間の終焉だった。
「グリモアァーー」
かれこれ何本目かになる剣が砕けたその時、アラドが叫んだ。
あまりの大声に俺は剣銃を振るうその手を止め、これから何が起こるのかじっと待っていた。
「ホントいいよ、オマエ。最高だ。だからオレも本気の本気で相手してやる」
両手に持っていた剣を投げ棄てるとアラドは左手にも右手と同じ手甲を装着した。
「……アラド」
戦いの最中、グリモアがアラドの隣に並ぶ。
「心配すンな。オマエとの戦いは一対一でするからよォ」
「ユウ、さん。こんな形での再会になるなんて……」
「気にするな。多分、これは、俺も願っていた戦いなんだよ」
本を開き、何かの魔法の発動準備に入る。
「安心してください、これは攻撃魔法じゃありません。回復魔法でもない」
じっと見つめる俺にグリモアが告げた。
「≪ソード・サンクチュアリ≫」
辺りに突風が巻き起こった。
俺とアラドを囲むようにして出現した無数の刀剣が壁や床だけではなく天井にも突き刺さっている。
「これが僕のスキルなんです。≪刀剣誕生≫これまで作ったことのある武器を瞬時に作成して出現させることができる」
武器を作れるのは鍛冶スキルを持っていれば誰にでもできること。けれどそれをこのようにして出現させるのは初めて見た。
武器は通常多くても二つしか同時に扱えない。
そのためにこれほど多くの武器を出現させても意味はない。そう、普通なら。
「第二ラウンドの始まりだ」
近くの剣を二つ引き抜きアラドが言った。
これまでいくつもの剣を使い捨てにしてきたアラドだからこそこの無数の剣たちは意味を成す。
グリモアの持つこのスキルはまさにアラドのために、アラドの力を最大限生かすためのスキルだ。




