表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
428/683

R:ep.12『剣士、小鬼と戦う。前編』



 なにが起ったと城石は地面に尻餅をつきながら呆然としていた。

 辺り一面から漂ってくる異様な臭い。それがゴブリン達の死骸から漂ってくるものであることは目の前に広がる光景からも明らかだった。

 だが、それはおかしい。

 この世界でモンスターが倒されるとその場で光の粒子となって消滅する。なのにどういうわけかゴブリン達は消えることなく地面に横たわったまま残り続けていた。



「はっはっはっ」



 呼吸が浅く短くなってしまう。

 体は震え、カタカタと歯が打ち合う。

 体のすぐ傍に落ちている武器を使えないにも関わらず掴もうと探るも、上手く動かせない手では掴むことができなかった。



「み…皆さんは……ッ!?」



 体ごと振り返ることで強引に視線を動かす。

 そうすることでそれを見てしまった。

 微動だにせず倒れているプレイヤー達。それは直ぐ前にいるフォラスも同じだった。



「フォラスさん!」



 腰が抜けてしまったかのように立ち上がることが叶わず、みっともなくも這い蹲って駆け寄っていく。



「だいじょうぶですか!? しっかりしてください」

「…ん……」



 手を伸ばしフォラスの肩に触れて揺さぶっていると微かに反応があった。

 安心した城石は仰向けになって地面に倒れ込んだ。

 一人の無事を確認したことで少しだけ冷静になっていくのが解る。元来この保護区ではHPが全損することはないのだ。だから自分以外の他のプレイヤー達のHPゲージがゼロになったように見えていたとしてもその実、ごく僅か、数字で言えば1だけが残されているようなものだ。それでいて起き上がってこないのは別の要因がある。

 そんな風に考えた城石は周囲を警戒することすら忘れて、何が起ったのかを思い返していた。


 この状況に直結している原因として真っ先に思い当たったのは自分達を襲撃してきたゴブリン達。

 戦闘を終える度に確実に強くなっているゴブリン達。直前まで比較的優位に戦えていた自分達であったが、最後に戦った時はそれまでと少し違っていたように思うのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「またゴブリンが来ます!」



 そう叫んだフォラスの言葉を証明するように、それらは現われた。

 まず先頭を切ったゴブリンは俗に戦士と呼称されている個体だ。それが三体一組となって襲いかかってきたのだ。



「パロックさん、一緒に前に」

「うむ」



 弓使いであるフォラスや非戦闘員である城石を庇うようにセイグウとパロックがゴブリン戦士の前に立ち塞がる。

 だが、ゴブリン達の襲撃と先制攻撃はそれだけに留まらない。

 ゴブリン戦士の後ろに控えていたのは魔法使い、ゴブリンメイジだ。それが横一列に並んで杖を構えたそれはいくつもの火球を放ってくる。



「ユートくん突っ切ってくれ」

「ああ」



 マキトの言葉に従い、ユートはゴブリン戦士を無視してゴブリンメイジの前に出た。そこで直刀を振るい数体のメイジの魔法攻撃を強制的にキャンセルしてみせた。けれどもメイジが放つ火球はまだ残っている。ゴブリン戦士はその火球の雨を当然のように避けながら攻撃を仕掛けてきたのだ。それにこの場にいるプレイヤー達は皆、即座に対応して見せていた。



「皆さん、気をつけてください」



 注意を促しながらフォラスは矢を放ち続ける。



「これは……」



 魔法と武器による攻撃が織り混ざる波状攻撃を見た時、城石が思ったのはまるでプレイヤーのパーティと対峙しているみたい、だった。

 当然一撃一撃の威力はプレイヤーの方が高く、ゴブリンは強いて言うならば初心者から中級者に至る程度。

 本来の自分達であったならばさほど脅威に感じる相手ではない。まして動きも普通のエリアで出没するゴブリンと変わらないのだから、熟練のプレイヤーであるマキト達ならば慣れたものだろう。



「また、ゴブリン戦士が――」

「メイジもリポップしてる、のか」



 なのに、次第に追い詰められていったのは自分達であった。



「別個体が出現しました」



 城石が焦ったように叫ぶ、

 次第に追い詰められていく戦闘の流れの切っ掛けを作った原因は戦っていた戦士やメイジではない。その後ろから現われた戦士の何倍もの巨体を誇るゴブリンの王。ゴブリンキングの存在だ。

 誰が作ったものなのか装飾の荒い王冠を頭に乗せ、背中には古ぼけたマント。手には錫杖が。その錫杖の先端は槍のようになっており、その首の部分には人の頭がい骨と思わしきものが取り付けられていた。



将軍(ジェネラル)……いや、キングだと」



 マキトがあり得ないというように呟いていた。

 ゴブリンキングは直接戦闘に介入してくるようなモンスターではない。あくまでも司令官のような立ち位置のモンスターだ。

 錫杖を掲げ何か呪文のようなものを叫ぶことで配下のゴブリン達に様々な効果を付与することができるのだ。

 例えば体力回復、例えば攻撃力増加、例えば狂化といった理性を無くす代わりに格段に攻撃力を増加させるバッドステータスの付与など。それらは全て普通のエリアに出てくるゴブリンキングも使ってくる技であったのだが、この保護区に出現するゴブリンキングが使ってくる技の中に一つ、違うものがあった。



「どうしてゴブリンの数が減らないんだ!」

「まさか――っつ!」



 セイグウが苛立ちを堪えきれないというように吠える横でパロックが何か気付いたように視線を地面に転がるゴブリン戦士へと向ける。

 倒したはずのゴブリン戦士やメイジが消えることなく残り続けていた意味をここに居るプレイヤー達はその時になってようやく理解したのだ。



「蘇っている…のか」



 保護区のゴブリンキングが使ってくる技。それは配下のゴブリン達の蘇生。但しそれは戦闘不能状態から回帰するような類ではなく、死体がそのまま動き出すような印象があった。



「アンデッド化してるっていうの――って、うわっ」



 遂に愕然とするフォラスへ火球が降り注いだ。

 ダメージとしては軽微。けれどこの直撃は戦闘の均衡を崩すのには十分な一撃だった。



一週間遅ればせながら新年の挨拶を。

あけましておめでとうございます。本年もどうか本作を宜しくお願いします。


新年早々、一発目の更新が今回なのですが、本文は予定の半分程度になってしまいました。

原因は単にこの寒波。

作者が住んでいる地域は雪が振りその雪掻きが大変なのです。


とりあえず、次週はこの続きを上げますのでどうか、忘れないで頂きたい。


では、簡単ながらお願いを。

本作の評価・ブックマークをお願いします。

してくださると作者が大変喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ