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嫌いな人

作者: 森 go太
掲載日:2026/02/11

 小説を書くことは、途方もなく苦しい。

 自分のことしか書けない僕にとって、執筆とは、自分の醜さや弱さを可視化して、自分に突き付けることと同義であった。

 だけどこうして今、言葉を紡がずにいられないのは、自分に何もないから、小説に縋っているのだと思う。

 抱え込んだ闇から、目を背けて生きていると、言いようもない孤独感に苛まれ、誰かに救いを求めたくなる。

 だけど他人への期待は、僕みたいな人間がして良いことではなくて、僕は他人に頼らず、1人で生きていくしかないのだと、諦めることで自分を保っているから、だから結局、抱え込んだ闇がこぼれ落ちそうになると、小説を書くことでしか救われないのであった。


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 今日は嫌いな人の話をしましょう。

 皆さんは嫌いな人はいますか。

 僕は「他人を嫌いになる」ということが分かりません。


 苦手な人はいます。それは、地雷原が分からない人です。情緒不安定な人、と言うべきでしょうか。そういう人と接していると、どの言動・行動がその人の敵意に触れるのか分からないため、とても怖いです。自分の意図していないところから、急に敵意を向けられると、まるで背中からいきなりナイフを突きつけられたかのような、叫びたくなるほどの恐怖に駆られ、急速に心が疲弊します。だからそういう人とは、自然と距離を置きたくなる。だけどそれは「嫌い」という感情とは、また違う気がするのです。僕はそういう人を、生理的に嫌悪している訳ではありません。むしろそれは、その人の個性であると捉えている。ただその個性が、僕の性格とは合わないため、自分の身を守るために避けているだけなのです。

 そもそも「嫌い」とは、相手に憎しみを向けることだと僕は理解しています。しかし僕は、相手のことを全て分かっていない状態で、相手に「憎しみ」という邪悪な感情を向けるということが、どうも分からないのです。

 自分のことは自分にしか分かりません。逆も然り、他人のことは他人にしか分かりません。それは人間に心を読む機能が備わっていない以上、至極当然のことです。自分が見ているその人の一面は、あくまでその人の一面でしかなくて、本当は僕の想像もしないような一面を、隠しながら生きている可能性が考えられるのです。実際、僕がそうだったので、尚更そう思います。僕は人前ではひょうきんな変人として振る舞い、他人からのいじられを許容する優しいキャラを演じることで、コミュニティ内で居場所を作っていました。しかしその実は、幼少期より続く吃音に始まる、様々なコンプレックスによって心に闇を抱え、性格は根暗で、自己肯定感の低さから、常に死ぬことばかり考えているような人間でした。ある日そのことを親しい友達に告白すると、とても驚かれました。結局その友達には申し訳なくなって、また壁を作ってしまいましたが。

 このように、その人の行動の意図、源泉には様々な可能性があります。その中で、どうして見えている一面だけを捉えて、憎しみなどという感情を向けられましょうか。

 僕は恐らく、親を殺されたとしても、その殺人犯のことを本当に憎むことは無いでしょう。それは僕が親のことを何とも思っていない訳ではなく、寧ろこの世で数少ない大好きな人間なのですが、やはり前述の理由で、殺人犯に憎悪の念を向けることは無いと思います。

 …いや、やはり親を殺されたら、その殺人犯を殺したくなるかもしれません。

 親を殺されたことが無いので分かりませんが、その瞬間を想像してみると、それはもう理屈ではない気がします。嫌いとか憎しみとか、そういったものを超越した感情を抱く気がします。しかしそれは、その時になってみないと分かりません。

 少し理論がぶれてしまいましたが、現状、僕に嫌いな人はいません。以上が僕の「嫌いな人」観でした。


 最後に改めてお伺いさせてください。

 皆様に嫌いな人はいますか。

 また、それはどのような人ですか。

 その人のことを、本当に理解していますか?

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