第一皇女と友達になったら元恋敵の公爵令嬢がやってきました
絶対にクリスティーネは怒りまくっているに違いない。
何しろ今は平民、王国が残っていても弱小ハウゼン王国の王女が大帝国の皇女殿下の頬を叩き返したのだ。今まで叩かれたことなんて無かったに違いない。
それにクリスティーネは我儘皇女としても有名なのだ。
また、叩かられたらどうしよう?
もう一度叩き返そうか?
昨日はつかれていたし、むしゃくしゃしていたしまだ叩き返せた。
でも、今日は1日ぐっすり寝れたから、そこまでむしゃくしゃしていない。
叩かれたら反撃する気力は残っているだろうか?
というか、怒り狂ったクリスティーネに反撃なんて出来るわけはなかった。
もう、良い。
叩かれるのなら叩かれよう……
私は屠殺場に引き出される牛の気分だった。
「アデリナ、いつまで寝ているのよ」
ムッとしてクリスティーネが言ってきた。
まだそんなに怒っていない。いきなりの張り手は無かった。
私は今のうちに謝ろうとしたのだ。
「私をわざわざこんなところまで来させて何様のつもりよ」
「……」
「本当にもう、昨日はロッテ・マイヤーに怒られてもう最悪だったわよね。で、あなたに見せるものがあるのよ。ここじゃなんだから私の部屋にいきましょう」
私が喋る暇もなく怒涛のごとくクリスティーネは話し出したのだ。
そして、私の手を取って連れ出そうとしたのだ。自分の部屋で私を料理するつもりなのか?
「えっ、ちょっとクリスティーネ様」
私は慌てた。
「ちょっと、何がクリスティーネ様よ。他人行儀すぎるわ。私のことはクリスと呼んで」
私の言葉に立ち止まると、クリスティーネはいきなり愛称呼びをするように言ってくれたのだ。
私には信じられなかった。それに見る限りなんか怒っていないんだけど……
いやいやいやいや、最初だけというのも可能性としてある。私が気を許したところでいきなり攻撃してくる可能性が……
「判った? お父様もお兄様もそう呼ぶわ」
でも、そう言って私を期待して見てくるんだけど……
「クリス様?」
私はおっかなびっくりで言ってみた。
「何で、様をつけるの? 私とあなたは友達でしょ」
ええええ! 私っていつの間にクリスティーネのの友だちになっていたの?
それに、良いのか? 大帝国の第一皇女を亡国の王女が呼び捨てにして?
私は思わずそう聞いてしまったけれど、
「何言っているのよ。あなたはお兄様の婚約者なんだから。全然問題ないわ。さあ、言ってみて」
私は期待に満ちた目でクリスティーネに見つめられたんだけど。
「クリス?」
「そうよ。最後の疑問符がよくなかったけれど」
クリスはとても機嫌が良かった。本当になのか?
私は半信半疑だったのだが……
「あなたのことはなんて呼べばいいの?」
「私のことはリナと」
「判ったわ。リナ」
そう言うとクリスは微笑んでくれたのだ。
クリスは笑うととても可愛らしかった。
「私、同い年の友達を作るのが夢だったのよ。でも皆、私より地位が低いじゃない。誰も呼び捨てなんかで呼んでくれなくて。でもあなたは私と本気で取っ組み合いの喧嘩もしてくれたし、本当に生まれて始めての友達よ」
嬉々としてクリスが言ってくれるんだけど、本当に良いんだろうか?
喧嘩してくれたって普通は自分の地位や、国のことを考えてクリスと喧嘩なんか出来るわけ無いのだ。貴族も王族も守るべき領民がいるのだから。
でも、私は守るべき国が無くなったから、好きに反撃できただけなんだけど……
「そよりもちょっと来て。皆を待たせているんだから」
そう言うと、私が止める間もなく、強引にクリスに連れられてクリスの部屋に連れて行かれたのだ。
部屋の規模は私が与えられた部屋とそんなに変わらなかった。私はなぜそんなに優遇されているんだろう?
私にはよく判らなかった。
そして、そこには多くの婦人方が待機していた。
「遅くなってごめん。この子がなかなか起きなくて」
「いえいえ、お時間取っていただいて有難うございます」
その中でも偉そうな女性の人がクリスと私に頭を下げてきた。
そして、皆で寄って集って服を脱がされていきなり採寸に入ってきたんだけど。
「ごめんなさいね。リナ。あなたの服。サイズが大きすぎたでしょ」
クリスが謝ってきた。
「お兄様に言われて急遽用意したんだけど、お兄様があなたのお母様に合わせて胸は大きくなっているはずだって言うから大きくしたのよ」
クリスが言ってきた。やっぱり服の胸が大きかったのはルヴィのせいか!
確かにお母様は胸が大きかったのだ。私は何故かお母様に似なかったのだ。
「何を悲しそうにしているのよ。私も胸はそんなにデカくないから私のサイズで注文したら良かったわね」
「そんな事無いわよ。胸はあなたのほうがあるわよ」
そう見る限り、クリスの方が胸は大きそうだ。
「これはパットで誤魔化しているのよ。実際は同じくらいよ」
クリスは笑って言ってくれたんだけど。
「胸はできるだけ誤魔化せる方が良いみたいよ」
「じゃあ、あんまり露出の大きいのは出来ませんね」
「そうね。そこはあなたの所の腕に期待しているわ」
私の意見を挟む間もなくクリスとそのオーナーで話はついて行くんだけど。
「何か希望はある?」
最後の方でクリスが聞いてくれた。
「露出は少なくていいわ」
「まあ、そこは上手くやってくれるから」
まあ、どのみち払うのは私でなくてルヴィなんだろうけど、前世の記憶の戻った私は若干出してもらうことに良心の呵責は感じていた。
そこに侍女の一人がクリスに寄って来た。
「クラーラ・アプト、メンロス王国公爵令嬢がいらっしゃいましたが」
侍女の言葉に私は固まってしまった。
な、何で、何でクラーラが来たの?
私は驚いてクリスを見たのだ。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
すみません。しばらく山ごもりしまして更新が不定期になります。
6日から通常に戻る予定です。
クラーラは何故来たのか?
リナを糾弾するためなのか?
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