4‐回廊
次の階で、まず目についたのは床だった。
「白いな」
これまでの市松模様だったのに、今回は無地の床だ。
「で、今回は廊下か」
正面と右手に、通路が伸びている。
片側は白い壁。もう片側は、真っ黒な壁だ。
白い壁を背に、俺は前へ進んだ。
右へ曲がり、直進。
さらに右へ曲がり、また直進。
もう一度右折すると――元の場所に戻ってきた。
「ロの字になってるのか」
つまり、通路はぐるりと一周している。
「フロアの真ん中は、何があるんだ?」
黒い壁を、コンコンと叩いてみる。
やや高く、軽い音が返ってきた。
……空洞、か?
ピロン、と通知音。
『【回廊】』
『白床のフロアに出た。
白壁と黒壁に挟まれた通路が、互いに直角な2方向に伸びている』
『左に4回曲がって、元の場所に戻ってきた。
どうやら回廊になっているらしい』
左に4回。
SOSさんは、俺とは反対周りで行ったんだな。
『黒い壁に囲まれた、中央の空間は何なのだろう?』
そこで、メッセージは途切れた。
「さて……」
謎解きの時間、か。
俺は画面を、穴の開きそうなほど見つめた。
白と黒の壁に挟まれた通路。
黒い壁に囲まれた中央の空間。
ここまでは同じ。
違いは何だ?
念のため、もう一度通路を歩いてみる。
今度はSOSさんと同様に、左回りに。
左に折れ、直進。
左、直進。
さらに左で、元の場所。
「……あれ?」
俺は勢いよく、スマホをのぞき込んだ。
「SOSさんの回廊……おかしくないか?」
画面をタップし、打ち込む。
『ロの字の廊下なら、曲がる数は3回ですよね?』
最後の角を数に入れるかどうかで、3回か4回かは意見が分かれる。
でも、普通は3回と数えるはずだ。
「――うわっ!?」
突然、床が色づいた。
白と黒の市松模様に。
これまでのフロアと同じ柄だ。
きょろきょろしていたら、メッセージ受信。
『最初、床が白かったのは、そういうことだったのか。
このフロアのおかしな点が、はっきりした』
「え? 何が!?」
それ以上の説明は来なかった。
スマホは沈黙する。
「……比較しなくても、おかしい点があるってことか」
前のフロアと同じだ。
SOSさんとの違いだけじゃない。
このフロア単体にも、仕掛けがある。
俺は白黒の廊下を眺めた。
「柄が後から出てきたな。それがカギなのか?」
もう一度、通路を歩いてみる。
階段から直進して、黒、白、黒、白、黒。
黒マスで右折し、白、黒、白。
白マスで、直角にターン――
「……あ?」
俺は足を止めた。
「この建物、全フロア同じ広さじゃなかったっけ?」
案内板の平面図では、どの階も同じ大きさの正方形だった。
なのに、このフロア――
『このフロア、1列分足りませんよね?』
縦は、黒白黒白黒の5マス。
横は、黒白黒白の4マス。
5×4。
つまり、1列足りない。
「出た」
隠れていた1列分が現れた。
次への螺旋階段も。




