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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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白焔を継ぐ者 ⑦ ※ハロルド面

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 休息に入った騎士や兵士が思い思いに寛いでいる様子を眺めていると、ハロルドの隣にフレイアがどっかりと腰を下ろした。

 ハロルドの手にも、フレイアの手にも、あの娘が作ったという干し肉がある。

 領の携行食の在り方を再考せざるを得ないほど美味いのだから、仕方がないだろう。


「気付いたか?」

「無詠唱かい?」

 (おもむろ)に発せられたフレイアの問いに、ハロルドは端的に返した。

 ハロルドも部下たちの様子を眺める姿勢を崩さない。フレイアも同じように眺めている姿勢を取っている。

 周りから見れば、どうと言うことの無い雑談をしているように見えることだろう。

 それは、部下たちにも、まだ“異常事態”を気付かせたくないからだ。


 どこからどう見ても、他国からの流入民の浮浪児にしか見えない銀髪の幼い少女。

 あの白い肌に髪の色と瞳の色は、数か国を隔てた他国民に多い身体的特徴だ。

 何かしらの事情が無ければ、人類棲息域の最果てともド田舎とも揶揄される辺境へ流れてくる者は少ないが、そこまで珍しい他国民ではない。

 あの幼さで身に付けている高度な罠の技術も驚くべきものではあろう。

 浮浪児にしては垢や汚れが無く随分と身綺麗だったが、“異常”なのは、そこでもない。

 魔法術式の行使に必須と言われる呪文の詠唱を、あの娘は一切しなかった。

 あろうことか、ほんの数日前までは呪文詠唱による初歩の魔法術式を学び始めたばかりのルナリアまでもが、呪文詠唱無しに魔法術式を発動するほどに魔法の腕を上げていた。


 実のところ、100年に一人の天才魔法術師と呼ばれるフレイアも無詠唱で魔法術式を使うのだが、術式の実戦使用に拘るフレイアがその高みへと至るまでに、魔法学の講壇学者どもに異端呼ばわりされながらも、物心がついて以来、十数年間もの探求と血が滲む鍛錬を要したことを、彼女の身近で成長を見守っていたハロルドは知っている。


「それもだが、フィオレもルナリアも、魔石から直接、魔力を利用していた」

「君が教えたのでは無かったのか?」

「私は教えたことも無いし、あんな魔力制御を普通は出来ん。・・・いや、あんな使い方をしようと誰も考えない、と言った方が正しいな」


 頭の中で思索を広げながら新しい魔導書のページを捲るときのような目で呟く。

 好奇心。探求心。向上心。フレイアの目が湛えている光は、そういったものだ。

 付き合いの長いハロルドでも、フレイアがこんな目をする姿は久方ぶりに見た。

 道理で、この頑固者の従妹が手元に置いて手放そうとしない訳だ、と得心する。


 魔石というものは、魔獣の体内で魔力が凝固して生成されるものだとされている。

 その個体が持つ特有の魔力が凝固して形を持ったものであるからこそ、魔石は魔力を内包したまま安定して存在し続け、他者の魔力に反発して干渉を受け付けない。

 他者同士の魔力は相克し、混じり合うことは無いのだ。

 他者の魔力に干渉できるということは、他者の魔力を使用できるという意味にもなる。

 個々の生物が体内に持つ魔力を他者が勝手に使用するなど、現実には出来ない。

 そのために古い時代の亜人種族が編み出したものが魔法道具と呼ばれるものだ。


 魔石が内包する魔力を、魔法術式を刻印した魔法道具で強制的に吸い出して使うのが、普通の魔石の使い方だという基礎知識ぐらいは、ハロルドも持っている。

 だが、その魔法刻印の技術とて、ドワーフ族など、特殊技能を秘伝する一部の技術者にしか製造できないものと聞くので、ハロルドは詳しくない。

 フレイアが佩いている愛剣も魔法刻印が施された骨董品なのだが、積み上げた軍功に対する褒章品として王家からせしめた愛剣は、滅亡したエルフ族が作ったと言い伝えられている失伝技術が用いられていて、現在の技術では複製不可能な遺物だ。


 王都の騎士団に在籍していた頃には、稀に魔法道具に触れる機会は有ったが、ウォーレス領のような最辺境には高額な魔法道具が流通することも、ほぼ無い。

 自分たちでは作れない道具の製造方法にまで手を出すほどの余裕は多忙だったハロルドには無かったし、魔法術式に深く通じているフレイアたちでさえ興味を示さない以上、魔法道具の解析や複製を指示できる相手も居なかった。


 魔法道具に関する現状は、リテルダニア王国全体として同様だ。

 自分たちでは使い道が無い素材だから、採取された魔石は、ほぼ全量が国外輸出に回されていて、比較的高額な取引相場で利益を生む資源としか見ていなかった。

 そんな魔石を、我が娘たちは魔法道具を用いずに、直接、魔法術式の行使に利用した。

 それは、魔石を産出するリテルダニア王国において魔法術式という“技術”の在り方が激変するということだ。


白焔を継ぐ者⑦です。


面接官というものは、よく見ているものなのです。

次のお話で本章は最終話です!

次回、フレイアの決断!

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― 新着の感想 ―
メディーーーーック!!倒れた人が!!巻き添え多数!! 面接官という言葉を出すな!!馬鹿者どもが!!
ハロルドさんなら、なぜ塩がある?って突っ込んでくれるはず!脳筋じゃないから
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