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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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白焔を継ぐ者 ⑤

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「戻ったか。どこへ行ったのかと心配したぞ」

「お父様!」

 駆け寄って抱き着いたルナリアの金髪を、デレデレになったハロルド様が撫でている。

「フィオレが仕掛けていた野営地周辺のワナを処理しに行っていた」

「そうだったのか」

「なかなかのモノだったぞ」

「わたしもフィオレと一緒に作ったのよ!」

「ほう?」

 フレイア様が手放しで褒めてくださったからか、ハロルド様も驚いたようだ。

「あれなら、敵兵が掛かれば確実に仕留められるだろう」

「・・・ほ、ほう?」

 満足そうに言うフレイア様の一言に、笑顔のままで、ハロルド様の表情が引き攣った。

 ハロルド様よりもフレイア様のほうが、脳筋度が上だよね?

 フレイア様って、肉食系女子(死語)っぽいし。

 と、フレイア様のおなかがグウウウと鳴った。


「腹が減ったな」

「君は、さっき何か食べていなかったか?」

「やかましい。術式を使うと腹が減るんだ」

 おなかを摩っているフレイア様がジロリと睨むと、ハロルド様がさっと目を逸らした。

 なんか、このお二人の関係性が理解できた気がする。

 周りの騎士様たちは、篝火を用意したり飲み水を用意したりと、発掘作業中の方々の分まで設営作業中だし、食事の用意までは、まだ手が回らないんじゃないかな。


「・・・あの。干し肉で良ければ有りますが」

「ほう! まだ有るのか!」

 すごく嬉しそう。

 あの・・・。さっき渡した私とルナリア二人分の一週間分の干し肉は・・・?

 そうですか。あんなものでは足りませんか。

 まあ、大放出で良いかな。


「入り口を開けちゃうわね」

「・・・うん。お願い」

 ルナリアが土魔法で塞いでいた洞の入り口の土壁を除けた。

 ルナリアが魔法術式を行使する様子を見守っていたフレイア様が嬉しそうに目を細めた。

「数日見ない間に上達したな」

「フィオレと、いっぱい練習したもの!」

 フレイア様が私を見下ろした。


「お前も、術式を使えるようだな」

「・・・ルナリア・・・お嬢様から教わりました」

「お前はルナリアの友人なのだろう? 本人の前で他人行儀に言ってやるな」

 私の頭に、ポンとフレイア様の手が載せられた。

「・・・そ、そういうわけには・・・」

「そうよ! フィオレはわたしのお友だちなんだから良いの!」

「・・・ええ?」

 ルナリアやフレイア様は大雑把そうだから良くっても、ハロルド様がご機嫌を損ねたら無礼打ちになったりしない?


「ハロルドも狭量な男では無いから心配は要らん。私やハロルドに対しても普段通りに話せばいい。そうだろう?」

「いいわよね! お父様!」

「ああ。フィオレなら構わないとも」

 傍に戻ってきたルナリアがハロルド様の顔を見上げ、ルナリアに笑みで返したハロルド様が鷹揚に頷いた。

 ほんと、もう、デレッデレ。


「・・・はぁ。分かり・・・、分かった」

 私って、考えていることが分かりやすいのかな?

 今日、会ったばかりのフレイア様にまで、ハロルド様の器量を疑ったのを読み取られてしまった。

「そんなことよりも、だ。お前、術式を使ってみろ」

「・・・私?」

 フレイア様がニヤリと笑う。

 でも、何かを見定めようとするように、目の光が笑っていない。


「敵兵を斬ったのは、お前だろう?」

 や、ヤバい?

「・・・・・・・罪に問われる?」

 背筋に冷たいものを感じる。

 6歳なのに大量殺人罪で死刑とか・・・?

 ルナリアもバッサバッサと何人も斬っていたけど、高貴な身分の方の自衛行為だからルナリアはノーカウントで済むだろう。

 でも、私は?

 戦々恐々として青くなっていたら、ぐりぐりされた。


「守るべきものが有るとき、敵を斬るのを躊躇えば、次の瞬間に訪れるものは、自分の死。そして、大切な者の死だ」

「・・・じゃあ?」

「それでいいんだ。辺境では、自分たちの身は自分たちで守るのが鉄則だ」

「ルナリアを守るために敵兵を討ってくれたのだ。礼を述べることが有っても、罪を問うなど有り得んよ」

 ハロルド様も、ゆるゆると首を振っている。


「お父様! わたしも敵を斬ったわ!」

「すごいぞ、ルナリア! それでこそウォーレス家の跡継ぎだ!」

 ええ・・・? それでいいの? 5歳だよ?

 いや、いいのか。戦国時代のお武家様みたいな家系だし。

「おい! お前も食ってみろ!」

 洞から干し肉の備蓄壺をいくつか運び出して手渡したら、そのうちの一つを肉食系女子がハロルド様に押し付けた。

「お、おう」


 バリっと干し肉を噛み千切って咀嚼するハロルド様が目を丸くしている。

「柔らかいな。それに、塩辛すぎないのが良い」

「そうだろう、そうだろう」

 なんでフレイア様が得意げなのか、よく分からないけど、まあ、いいや。

 満足してもらえたのなら、マイナスには働かないだろうし。


白焔を継ぐ者⑤です。


干し肉って美味しいですよね。

次回、最終面接!

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― 新着の感想 ―
俺の分の干し肉が!?!?!?
この人達サイヤ人より戦闘民族してない?
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