表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/926

白焔の魔女 ⑩

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「そうだ、ルナリア。マーサとヘンリーの姿が見えないが、どうしたんだい?」

「2人とも殺されたわ。マーサはトーマスを人質に取られていたみたい・・・」

「セイデスたちは?」


 ルナリアが、私のほうをチラリと見た。

 トーマスさんって誰だろう?

 ヘンリーさんは、御者のお爺さんかな?

 マーサさんって、あの殺されていたメイドさんのことだろうし。

 セイデスさん? たちっていうのは、もしかして、ルナリアを逃がすために戦っていた騎士様たちのことかな?


「確認しに行けていないけれど、・・・おそらくは」

「・・・襲撃現場の場所は分かりますが、ご案内しましょうか?」

 ルナリアに動揺が見て取れたので、助けに入ったつもりだった。

「詳しい場所が分かるのかね? 案内を頼めると有難い」

 驚いた様子のハロルド様に頷いて返す。追われて感覚が狂った方角は誰かに聞けばいいだろうし、大体の位置関係は分かるから、問題無く道案内できるだろう。

 立ち上がったハロルド様が傍に居る騎士様に目線で頷くと、後ろに控えていた大勢の騎士様たちが一斉に移動の準備に取り掛かった。


 ものすごく統率が取れている軍隊なんだ、と、肌で感じる動きだった。

 余計な無駄口も無く、準備を進める騎士様たちの中に、見覚えがあるものを見つけて、私は首を傾げた。

 槍の穂先の根元に吊るされた旗―――、というか、所属を示すタペストリーかな?

「・・・あれ? オオカミと、リンゴと、剣・・・?」

「あれかね? あれはウォーレス家の紋章だよ。狼ではなく神獣ヘンリルだけどね」

 ヘンリル? フェンリルか。

 どこかで見たよね・・・。

 脳裏に閃いた光景にハッとなった。


「・・・あっ! 崖の下の馬車だ!」

「何? 今、何と言った?」

「・・・ひぅ!?」

 突然、全身から抜き身の刃物のような空気を発散したハロルド様に、私の両肩が跳ね上がった。

 こ、怖っ! 移動準備をしていた騎士様たちも一斉に動きを止め、湧き上がる殺気を放ちながら、私に注目している。

 な、何!? 私、何かしたっけ!?

 おろおろと周りを見回す。


「ちょっと、お父様! フィオレが怖がっているでしょ!」

「おっ? おお、済まない!」

 勢いよく頭を下げるハロルド様に、ぱたぱたと私は手を振って返した。

「・・・い、いいえ。お気になさらず」

 盛大に冷や汗をかいたけれど、私自身に落ち度が有ったわけでは無さそうだ。

 大きく深呼吸したハロルド様が、もう一度私の前へ跪いて目線を合わせてくれた。


「今の話、詳しく聞かせて貰っても良いかね?」

「私とルナリア・・・お嬢様が、隠れていた場所の近くに、崖下に壊れた馬車と倒れた騎士様のご遺体がありまして、騎士様の頭骨には刃物で付けられた大きな傷痕が有りました」

「あの木の近くに、そんな場所が有ったの・・・?」

 愕然とした様子のルナリアの呟きに、私は頷く。

 ハロルド様たちほど劇的な反応では無いが、ルナリアも深いショックを受けていることは分かった。


「・・・ご遺体の甲冑に、同じ紋章が有りました」

 背中に背負っていた折れた剣と、腰にぶら下げていたマグカップを、ハロルド様の前へ差し出す。

「・・・その馬車の場所で、これらをお借りしました」

「ふむ。見せてもらうよ」

 ハロルド様が顔を振り向けると、背後に控えていた騎士様の一人が折れた剣とマグカップを受け取りに来た。


 所々に錆が残った、折れた剣とマグカップ。

 何度も使って、何度も洗って磨いたけど、錆は完全には落ちなかった。

 目を皿のようにして、じっくりと検分した騎士様が、ハロルド様を見た。

「剣は我が領で作られたものではありません。カップは我が領、騎士団の制式品です」

 懸命に激情を呑み込んでいる様子のハロルド様が、静かに私と視線を合わせた。

 怒り、ではなく、ハロルド様が堪えている激しい情動は、悲嘆なのだろうと感じた。


「フィオレ。その馬車の元へ案内してくれるかい?」

「・・・かしこまりました」

 こくり、と頷く。

 どうやら、ルナリアが襲われた場所よりも、馬車の場所の方が、優先度が高いみたい。

 騎士様たちの三分の二ほどが、私が地面に略図を描いて説明をしたルナリア襲撃現場へ、残りの三分の一の騎士様たちと、ハロルド様とフレイア様、ルナリアと私が、崖下の馬車へと向かうことになった。

 暗殺部隊の残党を追って行った騎士様たちも、後で追い掛けてきて合流するんだって。

 また、私とルナリアの寝床だった松の大木が本陣に据えられ、集合場所に決められた。

 たった2日間でも愛娘が過ごした場所を、ご自分の目で見ておきたいのかもね。


 移動準備が終わり、一斉に人々が動き出す。

 この間、フレイア様は一言の言葉も発さず、感情が読めない目で私たちを見ていた。


白焔の魔女⑩です。


このお話で本章は最終回です!

不穏な空気! 幼女の運命は!

次回、新章、第5章です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
【良い】 祝!壊れた馬車、伏線回収。 フェンリルにリンゴって何か歴史が有りそうですね。リンゴが特産だったりしなかったりwww。
まぁ… 死が確定したような物だしな もともと生存の可能性はゼロに等しいとは思っていても死を決定づける物的証拠が出てきたら複雑な気持ちになるだろうね そして遺体の回収が出来ればルナリアだけではなくその…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ