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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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白焔の魔女 ①

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 崖を目指す。

 ただし、崖を目指しはするけれど、いつものように馬車の場所や岩塩採掘場へ直接行くのではなく、小川を渡り、崖との距離を保ったまま並行するかたちで、一旦、北上し、2キロメートルほど入った辺りで転進し、崩落現場を越えて、洞の方向へと迫っている居るであろう暗殺部隊の背後を迂回するルートを取る。

 このルートは、私たちが目指しているウォーレス領から反対方向へと遠回りするものだ。


 なぜ、わざわざそんなルートを取るのか?

 その理由は、崩落場所から崖に沿ってのルートに、ブービートラップを仕掛けまくったからだ。

 誰かがワナに掛かれば、それは暗殺部隊以外の何者かが森の中に存在する証明になり、ワナに掛かりながらもワナが有る方向へと向かえば、そのうち洞の周辺へとバカでも到達できることになる。

 だから、私たちは暗殺部隊と行き違いになるであろうルートで崖から離れて進み、ぐるりと回り込んで接敵の回避を図るのだ。

 何事も無く崩落現場から崖上へと上がれれば良いけど、崩落現場が使えない事態も想定している。風ジェットカッター魔法の習得が私たちに新たな選択肢を与えたのだ。


 その手段は間違いなく大きな音を立てるから、出来れば、その手段は使いたくない。

 崖上へと上がったら森の奥側へ向かって真っ直ぐに東進し、3キロメートル程度進んでから再び転進して南下する。

 暗殺現場を大きく迂回する分、踏破距離が伸びてしまうが、これでも、消耗で動けなくなるリスクとの交換条件としては少な目な安全マージンだと考えている。

 なにせ、向こうは馬を持っている。私たちの痕跡を見つけるまでは馬が痕跡を荒らすから使えなくとも、一度、私たちを捕捉してしまえば馬は非常に有効な追跡手段になる。

 私たちが崩落現場付近を無事に抜けられれば、次に敵と接近する可能性が高くなるのは、崖上の小川を渡る辺りかな。

 崖上を捜索して私たちの痕跡を見付けられなかったとしても、そのうち崩落現場を発見して崖下へ向かった可能性が高いことには気付くだろう。

 小川の流れが崖を削って出来たと思われる谷が崖から300メートルは奥へと入り込んでいるせいで、崖側に寄ったはずの捜索エリアが、小川を渡って行き来するために敵のほうから私たちの方へと戻ってきてしまうからだ。


 追跡、と言えば、私的には一つの懸念事項がある。

 アレを放たれたら、どうにも打つ手が無くなるんだけれど、そう言えば来ないね。

 私、というか、狩人なら絶対に使うと思うんだけど、敵は何を考えているんだろう?


「・・・うーん?」

「どうしたの?」

「・・・おかしいな、と思って」

 投入されていれば、のんびり魔法の練習をしている時間なんて無くなったはずだしね。

「なにが?」

「・・・猟犬。私が獲物を追跡するなら間違いなく使うんだけど、来ないんだよ」

「そんなの、使うわけ無いわよ」

 予想外の答えに、ルナリアの顔をまじまじと見る。

「・・・なんで?」

「猟犬だけじゃないけど、普通の動物は魔獣の気配を恐れるから、“魔の森”へ連れてきたって役に立たないもの」

「・・・居ないんだ? 猟犬」

「居るわよ。森の外では普通に使うもの」

「・・・そうなんだ」


 猟犬まで連れて来られては逃げ切れないな、と心配していたから、朗報では有るね。

 魔獣を怖がって森では使えないって、こっちの世界の猟犬ってヘタレなのかな。

 北海道の猟犬なんて、自分よりも大きなヒグマ相手でも挑み掛かったりするからね。

 まあいいや。心配しなくて良いなら、スッパリと忘れよう。

 森の中は平坦に見えても意外に地表の凹凸が多くて障害物が多い。

 足跡を極力残さないために靴を脱いでもらっているから、ルナリアが足を怪我しないように、私が先に踏んだ場所を踏むように改めて言い含めてある。

 ルナリアは不満を漏らすことも無く、足元に集中して歩き続けている。


「・・・この辺で少し休もうか」

 崩落現場から100メートルほど手前の木の陰から様子を伺う。

 さて、どうかな?

 木々に邪魔されて見えにくいが、見たかった「モノ」の様子は判別できた。

 私が崖の上り下りに使った倒木の位置が変わっている。

「・・・ヨシ」

 崩落現場に真っ直ぐ寄り掛かっていた巨大な倒木が、崖下で横倒しになっている様子が、この位置からでもハッキリと見て取れる。

「崩れてるわね・・・」

「・・・うん。狙い通りだよ」


 斜面を下りようとしたのか、倒木を伝って下りようとしたのか。恐らく後者かな。

 自分が崖を下りたときの恐怖を思い出したのか、私の上から一緒に様子を伺ったルナリアが顔色を悪くしている。

 体重の重い大人がバランス悪く乗ったせいで倒木が転がって、新たな崩落を誘発した。

 私が最後に置いた障害物の枝が効いたのかは判別しようも無いけど、最低でも1人、あわよくば数人を巻き添えにしてくれたなら僥倖だ。

 この場所から現場を遠目に見る限り、人の姿は無く、動くものの気配は無い。

 負傷者や犠牲者を救出しようにも、いつ再び崩落するか分からない場所で作業を続けられないだろう。


 事故・事件現場はどうしても人目を集める。

 ただでさえ非合法な暗殺計画を企てて、いつ敵の救援が来るかも分からない状況では、暢気に救出作業なんてしているヒマは無かったはずだ。

 焦って無理押ししたなら何人かは肝を冷やしながら崩落現場を伝い下りただろうし、冷静な判断力を残していたなら崖下へと下りるべく迂回しに向かったはずだ。

 救出作業が行われていない以上、今この時点では崩落現場周辺に人が残っている必要性が無いし、可能性は低いと予想する。


「・・・行くよ」

「うん」

 崩落現場から数十メートル敵領地側へと移動した場所で、すぐ傍に生えている木と崖上とを見比べる。

 崖の高さは20メートル。木の高さは30メートル。

 この木は地上数メートルの低い位置まで枝が有るし、木の高さも十分。

 枝ぶりが良くて倒れたときの角度が良さそうな木を見つけた私は、2回目の小休憩をルナリアに告げた。


白焔の魔女①です。


新章、第4章です!

本章は戦闘描写が有りますのでご注意ください!

次回、逃避行の続きです!

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― 新着の感想 ―
ちょっと序文部分の「趣味で書いていた~」が邪魔というかきつくなってきました。できれば早い段階で省略したほうがいいと思います。
訓練された猟犬でも役に立たなくなる魔の森に臆病な馬を入らせるのは少し変かな それともアレは馬ではなく家畜化された魔物なんだろうか
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